大型犬は「3歳児の愛くるしさ&知能」と「15歳児の体力」を持つ
※この記事はゴールデンドゥードルをどのようにしつけて、どのような結果になったかを中心に書いています。
そして最後に性格・知能について触れています。
2017年8月23日、先代犬(バーニーズマウンテンドッグ)が、あと3カ月で12歳というところで逝ってしまった。
その様子はこちら↓
http://dog.iehikaku.com/article/452926504.html
そして2017年11月12日、泰楽(たいが・ゴールデンドゥードル)がわが家にやって来た。
なぜゴールデンドゥードルにしたのか、はこちら↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/6
https://large-dog.iehikaku.com/archives/56
ちなみに泰楽は、引き渡し前にブリーダーから
「この子は頭のネジが1本外れています。本当にいいですか?」
と確認されたほど最初からおっとりしている。
さて、しつけはどうするか?
基本的に希望することは先代犬とまったく同じで以下の5つ。
1.リードを引っ張らない
2.無駄吠えをしない
3.勝手に食わない(拾い食いしない)
4.噛まない
5.留守番できる
その上でアウトドア犬になることを前提に迎えたので、できるだけ早くノーリード、
つまり
・ツケ(付いて)
・呼び戻し
を覚えさせたかった。
また、気構えとしては、先代犬よりちょっぴりやさしく接しようと思った。
先代犬のときは目を△にして、「リーダーになってやる!」と鼻息を荒くする傾向があった。
初めての犬、しかも40kgオーバーの超大型犬を迎えるのだから多少は仕方がないでしょ?
だが、先代犬との経験から「オレはリーダーだ!」といばっても、そうしなくても結果はあまり変わらないと感じていた。
大事なのは支配者になることではなく、「してはいけないことを守らせる」こと。
これさえ根気強く徹底すれば、しつけは成功すると肌感覚で分かっていた。
なので以前書いた「飼い主にお腹を見せるトレーニング↑」は、するつもりはなかった。
先代犬の場合、このトレーニングをはじめた当初は狂ったように吠えた。
「助けてくださいぃ~」と叫ぶように。
それでも私はしつこいので1年くらい週4で続けた。
すると、段々と吠えなくなり、やがて黙ってにらむようになった。
その表情は「身体は売っても魂は売らないわ」と決意しているかのようだった……。
これで先代犬の態度に変化はあったのか?
残念ながらそんなことはない。
相変わらずリードを引っ張りまくった。
要するに信頼関係は力ずくでは構築できないようだ。
と、いうことで泰楽に対して行ったしつけも、お腹を見せる以外は先代犬と同じ。
具体的にはこちら↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/4051
まずはシーザー・ミランの『あなたの犬は幸せですか』を12年ぶりに再読。
そして、いよいよしつけ開始。
緊張する。
大至急、拒否られるか!?
嫌われるか!?
ところがびっくり。
しつけたくてもやることがない。
なぜなら、下記の希望をはじめからできてしまうから。
「1.リードを引っ張らない」
そもそも動きがトロいので最初から私たちの後ろしか歩かない。
「2.無駄吠えをしない」
散歩中に他の犬とすれ違うと、かすかに「う~っ」と唸る癖があるが、うるさいほどではないので大人になれば治りそう。
「3.勝手に食わない(拾い食いしない)」
食には慎重派のようで、今では大好物のサツマイモやスイカも2歳までは見向きもしなかった。
つまりがっつかない。
「4.噛まない」
人間でいう「不思議ちゃん」のような性格で、そもそも「噛む」という選択肢がないようだ。
なので多分どんな酷いことをされても黙って耐えると思う。
※5歳を過ぎてこれは勘違いと判明。くわしくはこちら↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/4373
「5.留守番できる」
さすがに家に来て2~3日は夜鳴きしたがそれだけ。
迎えて2週間後に私たちが登山へ行き、10時間ほど留守番をさせたが平気だった。
試しに遊び感覚で「お腹を見せるトレーニング」もやってみたが1発で成功。
「これは何の儀式でしゅか?」と私の顔を見上げたかと思うと、20秒くらいで寝息を立ててしまった。
1年間大暴れした先代犬とは大違い。
そんな息子の姿を目を細めて眺め、
「お腹を痛めて産んで良かった……」
と胸を熱くしたことは1度や2度ではない。
性別どころか、生物学上の区分けさえも飛び越える妄想を抱かせるほどのいい子っぷり
「こっこれがゴールデンレトリバーの血なのかーー」と驚愕した。
(個体差も大きいと思うけど)
この驚きは生後半年を過ぎても続いた。
「遊んで!」と、おもちゃを持ってきたときに、
「父ちゃんはテレビを観ているんだよ」と無視をしたら、
「じゃ~こうすればいいか!」と、自分でおもちゃを投げて、
自分で取りに行くという妙技を編み出した。
初めて登山に連れて行けば、最初からノーリードでも離れないし、呼び戻しなんて朝飯前。
それどころか1歳になる頃には山頂で「そこ」と指を差せば、「あいよ!」と座って撮影が終わるまで3分でも5分でもじっとモデル犬を演じ切るようになった。
なお、この「指を差す」という行為を理解できるのは犬ならではの能力で猿はできないらしい。
泰楽を育てる中で強いて気になったとすれば
・クルマ酔いする(しつけじゃないけどね)
・ペットシーツをぐちゃぐちゃにする
・トロい(しつけじゃないけどね)
くらい。
クルマ酔いは、当初車内に入って10分以内に吐いた。
なので子ども用のクルマ酔い止め薬を飲ませていたが、結局、1歳になる頃には治癒の兆しが見え、2歳には根治した。
その過程↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/11
ペットシーツをぐちゃぐちゃにする原因は、サークルに対して身体が大きくなったことがメインだが、反抗期も関係していたと思う。
これも今となっては屋外でしか排泄しないので解決。
(介護が必要になった時が怖いけど)
当時の様子↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/16
トロいについては、具体的にはこんな感じ。
1.呼ぶ
2.こちらをじっと見つめる(5秒)
3.ゆ~~っくり来る(人間が歩くより遅い)
ただし、これは家の中だけで、屋外でテンションが上がっていれば普通のスピード。
とはいえ、ドッグランでおもちゃを投げると、十中八九ほかの犬に取られる。
だが「トロい」は「おとなしい」とニアリーイコールなので、逆に良かったと思うようにしている。
そんな感じなので、泰楽のしつけは1歳で免許皆伝。
成功の理由で一番大きかったのは犬種だと思う。
さて、ここからが「ゴールデンドゥードルの性格・知能」です!
知能ランキングで↓2位のプードルと4位のゴールデンレトリバーの組み合わせは、やはり半端ない。
この地頭が良い上で最初から「キッチンに入るな」「2階には行くな」といったルールをきっちり教えたことで、「なるほど、言うことさえ聞いていれば幸せに生きられるのですね」と理解したのだろう。
だが問題がないわけではなかった。
実は2歳、3歳と年月が経ってくると、その「聞き分けの良さ」が気になるようになってきた。
泰楽は、ほかの犬と比べてかなり喜怒哀楽がないのだ。
褒めても口を開けて喜ぶことはない。
逆に叱ってもいじけることがない。
(先代犬は頭を下げて上目遣いになった)
ドッグランに連れて行ってもワンプロすることはない。
土曜の夜に嫁さんがダンシングクイーンになっても、先代犬のようにキレキレダンス↓をしてくれない。
それどころか大音量の中でもダイニングテーブルの下に潜って寝てしまう……
ずっと手がかからないけど腹を割って話をしてくれない子という感じだった。
しかし、これも3歳以降は気にならなくなった。
きっかけはサッカー日本代表のテレビ観戦。
得点が入った瞬間に夫婦で立ち上がり、「うぉ~~っ、イエーイっ!」とハイタッチをすると、泰楽が「ウォンっ! ウォンっ!」と重低音で間に割り込んできた。
そのときは「仲間外れにされたと勘違いして文句を言っているのかな?」と思った。
しかし、それは違った。
・スポーツ観戦で盛り上がる
・美味しいものを食べて盛り上がる
・いちゃいちゃして盛り上がる
とにかく夫婦のテンションが上がったときに、泰楽も一緒にはしゃぐのだ。
※後日、専門書↓を読んだら違うことが書かれていた。
犬は近くで仲間同士が長時間やたらに接近していると「ケンカをしている!」と勘違いをして仲裁に入るそうだ。つまり、はしゃいでいるのではなく焦って間に入っている。
でも、泰楽はどう見ても一緒に遊びたがっているように見えるんだよなぁ。
どちらにしても仲間意識が高いことには変わりないけど。
家族の喜びが自分の喜び。
泰楽はこの気持ちが非常に強い。
4歳になってからは気遣いも見せるようになった。
泰楽の体力は、私たちよりもはるかにある。
それでも登山のときはずっと後ろをついて来る。
そして、どちらかが遅れると定期的に走り寄ってきて「大丈夫?」と確認をする↑
それでも遅れると、途中で待とうとする。
そのとき私が「行くぞ!」と手招きをしても動こうとしない。
(当然、周囲に誰もいない場合です)
また、夜になって一緒に会社員の嫁さんをバス停まで迎えに行くと、泰楽は大喜びで彼女に飛びつく。
しかし、1分くらいはしゃぐとこちらへ戻って来て、私の足にもスリスリしてくる。
そして見上げてこう言う。
「何よりも家族が大事です!」
タマラナイ
5歳(2022年)となった今でも喜怒哀楽は相変わらず乏しい。
だが、先代犬同様に会話ができるようになった(親バカですいません)。
「2階の仕事部屋に一緒に行きたい」
「食後のおやつが欲しい」
「寒いからマットを敷いて」
といった要求は表情で理解できるし、
「ちょっとどいて」
「もう寝るよ」
「まだ散歩には行かないよ」
「10m先で待てて」
といったこちらの都合は、言葉や視線などで理解してくれる。
日常生活で「もう~、分かってよ!」という場面は、ほとんどない。
生活も遊びもわが家のペースを理解している。
泰楽といるとチームワークを感じる。
先代犬のように私が酔っぱらって床に寝っ転がると寄り添ってくるといった愛想はないが、
愛情は日々感じる。
↑先代犬は私が寝っ転がると、いや~な表情をしながらも、そっと寄り添ってきた
ここまで来たら、もう泰楽に禁止事項はない。
先代犬との反省も踏まえて、人間が食べているものでも身体に悪くないなら与えるし、シャンプーをした日や熱帯夜は寝室に入れて一緒に寝る。
最近は仕事中もずっと横にいる。
だからといって今でも泰楽からこれらを強引に求めることはない。
仮に求めて騒ぐようなら無視をするだけだ。
泰楽はそのことを理解していると思う。
息子・親友・伴侶・相棒・パートナー・右腕・仲間
すべて泰楽に当てはまる言葉だ。
飼い主とペットというより、猟師と猟犬の関係に近いかもしれない。
だが、猟犬のように生活のためというのではなく、人生を豊かにするために必要な存在だ。
大型犬は、3歳児の愛くるしさ&知能と15歳児の体力を併せ持つ。
15歳児だから筋力なら負けないが瞬発力と持久力では敵わない。
(当方、普通体力のアラフィフです)
そんな活きがいい息子が、3歳児のかわいさで遊びにとことん付き合ってくれるのだ。
マジでタマラナイ
まとめ
今までドッグラン、ドッグショー、山、川などで、体重2kgのチワワから90kgオーバーのスパニッシュマスティフまで、80犬種前後の飼い主さんとめっこりお話をさせていただきました。
その上でゴールデンドゥードルの性格・知能は、トップクラスに愛情深く、賢いです!
飼い主が大好き。
飼い主との会話を楽しんでくれる。
だから、しつけをすればするほど応えてくれる。
基本的に陽気だけど、「もう勘弁して!」というほどハイテンションではない。
そして他人に対して攻撃的になることもない。
泳ぎや運動も好きなので、家庭犬としてだけでなく登山やキャンプ時などで一緒に行動するアウトドア犬としても最適な犬種だと思います。
ただし!(以下、少々長いです……。)
それはある程度しつけができた結果のこと。
今まで全犬種でもっとも頭がいいと言われるボーダーコリーをはじめ、2位のプードル、3位のジャーマンシェパードなど賢い犬の飼い主さんと話してきたが、しつけが簡単な犬種など存在しない。
すべての犬種は、飼い主が「噛まれても平気です!」と気合を入れてしつけた結果、心が通じ合うようになる(だからといって噛まれるのは稀だけど)。
しつけを成功させるための原則は、
「この人について行けば安心して生きていける」
「何をされても信じているから平気」
と思わせることだ。
「吠え癖」「噛み癖」といった問題行動は、対処療法のしつけでは根治しない。
ほとんどは信頼関係の構築で解決する。
1度信頼を得れば言うことはほとんど聞くようになるはず。
そのためにシーザー・ミランは、「散歩」「ルール」「愛情」の順番が大事だという。
シーザー・ミランについてはこちら↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/4075
だが、個人的には
1.やり切る
2.無視する
3.愛する
が秘訣だと思う。
1年でも2年でも3年でもリードを引っ張られたら方向転換をやり切る。
(ユーチューブでドッグトレーナーが「1日で治る」とか言うけど嘘だと思う)
「遊んで」「さびしい」と吠えても無視をする。
だからといって雑に扱うのではなく、毎日一緒に遊んだり、定期的に健康診断へ行ったりと愛する。
(単純に犬好きならば自動的に愛せるはず)
犬のしつけは気合が必要。
難しいし、面倒だし、時間もかかる。
でも、やり切ればその負担を十分に埋めてあふれる満足感を得られる。
その後は一生、飼い主とペットを超えた関係が続くのだ。
個人的には、しっかりしつけを行わないことは、犬を飼う醍醐味の半分を捨てていると思う。
実際に賢い犬種でも言うことを聞いてくれない子はたくさんいる。
あるゴールデンドゥードルの飼う主さんは、いつもリードを引っ張られて街中でダッシュを繰り返していた。
その方が「泰楽くんはおとなしくていいですね~」と言うので、私がその子のリードを持ってみた。
すると最初からまったく引っ張らなかった。
また、賢いゆえに他人の言うことを聞きたがらない犬もいる。
あるドーベルマンの飼い主さんは、「この子は飼い主以外がリードを持つと座り込んで動かなくなるんですよ」と言う。
そこで試しにリードを持たせてもった。
すると、すいすいと私の横を歩きはじめた。
このような経験で感じたのは「犬は初対面でも相手の心構えを見抜いている」ということだ。
おそらくこの子たちは頭がいい(やさしい)ので、
「この人に敵意はない」(大好きな飼い主と親しく会話しているから)
「この人になにを主張しても無駄」
そう直感したのだと思う。
したがって、いくら頭のいい犬種でも、
飼い主が「絶対にわがままは許さない!」と腹を括っていなければ言うことを聞いてくれない、
と考えている。
泰楽のしつけが最初から上手くいったのは、この部分も大きかったはずだ。
しつけについては、ここでいったんおしまい!
※犬種選びとブリーダー選びについて
どの犬種もネットで性格を検索すると「賢い」「温和」「忠実」などと、いいことばかり書いてあることが多い。
でも、それは嘘だと思う。
なぜなら、それぞれの犬種は目的を持って作出されているから。
人の言うことに従って猟の手伝いをすることを目的とする犬種と、かわいいことを目的とする犬種が、同じ性格になるはずがない。
そういったことから、猟犬であるスタンプ―とゴールデンを掛け合わせたゴールデンドゥードルは、人の指示に従う傾向が強い犬種だといえる。
とはいえ、その特長を引き出すのは、やはりしつけ。
なぁ~んもしなければ、いくら地頭が良くても暴れ放題、わがまま放題の犬なる。
これはどの犬種でも一緒。
ただ、犬種によって完璧に理解してくれるものもいれば、いくら言っても半端にしか理解してくれないものもいるのは事実。
しかし、どんな犬種でもしつけることで成長するのは間違いない。
そもそも犬という動物は、人の言うことに従うことで1万5,000年を生き延びてきたのだから。
期待どおりにはならなくても成長を実感することはできる。
どんな犬種でも最低飼い主に対してだけには「噛まない」「吠えない」「拾い食いしない」「リードを引っ張らない」はマスターできるはずだ。
その結果、関係性が「ペット」から「仲間、または価値観の合う子ども」になる。
たとえば、一般的には警戒心が強くて神経質といわれているチワワとミニチュアピンシャーについて、腰を抜かしたことがある。
両方とも5匹前後の多頭飼いだったのだが、飼い主が一言発するだけで全員が整列して、数分間動かずにモデル犬を演じていた。
その間無駄吠え一切なし。
私には、これらの犬種をここまでしつける自信は、これっぽっちもない。
もちろん個体差(遺伝)も大いにアリ。だからブリーダー選びも非常に重要だと思う。
ブリーダーのなかには、「見た目」「大きさ」ばかりを重視するところもあれば、多少見た目は悪くても「健康」「性格」にこだわるところもある。
先代犬のブリーダーは、やたらと「健康」「性格」に執念を燃やすところで、ちょっとブサイクな父親犬を何年も交配させていた。
また、泰楽の父親(スタンプー)も体重19kgと小柄だ。
個人的には大きな犬が好きだが、それと引き換えに短命で短気だったら割が合わない。
先代犬も泰楽も親犬を確認し、その犬を選んだ理由をブリーダーに聞いて納得できたので子犬を迎えた。
コメント
はじめまして!
ゴールデンドゥードルを迎え入れたいと思うようになってからブログを拝読させて頂いております。
そして大きなワンちゃんを迎え入れたい!それも少しでも大きめがいい!っていう発言に共感してしまいました。
ブリーダーを当たってますが小ぶりなこが多くなかなか決めかねてます。
もし差し支えがなければブリーダーさんのお名前を教えて下さることは可能でしょうか?
突然のメッセージ、失礼いたしました。これからも楽しく見させて頂きます!
宜しくお願いします♀️⤵️
ご愛読ありがとうございます!
泰楽はピッコラさん出身です。
ちなみに今まで会ってきた大きめのドゥードルは、ほとんど湘南ドゥードルさん出身でした。
とはいえ、親犬は定期的に交代するので今はどうなっているのかはわかりません。
親犬のサイズを確認するのが一番確率が高くなると思います。