大型犬のしつけ③「バーニーズマウンテンドッグを飼う前に準備したこと」

大型犬のしつけ5原則を決める

2006年1月、先代犬のバーニーズマウンテンドッグをわが家に迎えることになった。
その際に考えた愛犬との理想の関係は、フランダースの犬のパトラッシュと少年ネロのようにツーと言えばカーの親友になること。

そのためにどうすればいいのか?
実家では小学生のときに柴犬、高校生のときにポメラニアンを飼っていた。
しかし、どちらも「よち、よち」とかわいがるだけで、しつけについては放置プレイ。柴犬は父親に対してたびたび牙を剥いていたし、ポメラニアンは1日8時間は吠えていた。
どちらも今振り返ると申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

なので今回は妥協せずにしつけをしようと心に決めた。
目指す姿は「親友」
だが、その前に人間社会に受け入れられるように下記5つをしつけの原則とした。

1.リードを引っ張らない
リードを引っ張り、常に落ち着かない状態の犬は周りの人に恐怖感を与える。
また、飼い主も落ち着かない。
(この時点でノーリードは夢のまた夢で、恐ろしくて考えていなかった)

2.無駄吠えをしない
うるさいのはとにかく迷惑。

3.勝手に食わない(拾い食いしない)
拾い食いは病気の元。また、人の食べ物を横から奪うのは迷惑だし、恐怖感を与える。

4.噛まない
犬の禁止事項ナンバーワン。特に大型犬の場合は包丁を振り回すほど危険。

5.留守番できる
わが家は共働き。分離不安では生きていけない。

その頃のわが家は友人たちを招き、頻繁にホームパーティーを開催していた。
なので日常的に豪快酔客が群雄割拠。
それでも、この5つをクリアできていれば皆さんにかわいがられるはず、と考えた。

しつけに対して最初に行ったのは、ネットによる情報収集だ。
どうやら犬は上下関係にうるさいらしい。
(あとでこれは誤りだと気づく)

だが、ネットだけだと浅い情報だけでイマイチ「これで何とかなるだろう」という気持ちになれない。
(今はユーチューブ情報でも役に立つが網羅的でないのが難点)

なので本を読むことにした。
アマゾンで検索すると当時評判がよかった本がこれ。
『あなたの犬は幸せですか』シーザー・ミラン


帯には「犬と気持ちを通わせてその絆に奇跡が起こる!」とある。

気持ちを通わせる!? これ、これ、これだっ!」
と大至急“購入”ボタンを押した。

この本で学んだことまとめると下記になる。

1.しつけとは犬の心とつながり、望ましくない行動を修正すること
人間の思い通りに動くようにするのは、しつけではなく訓練。
しつけとは、犬を人間社会に順応させること。

2.大事なのは「散歩」「ルール」「愛情」の順
犬の体力は半端ない。
なのでとにかく毎日散歩しないと飼い主がなにを言っても聞く耳を持たない。
散歩によってある程度疲れさせたらしつけタイム。
やっていいことと悪いことなどのルールを教える。
散歩やルールを徹底しないで「かわいい」「かわいそう」といった愛情を優先すると、ただのワガママ犬になる

3.犬の問題行動のほとんどは飼い主側にある
飼い主が上記の順番を守らないから問題行動をする犬ができあがる。

4.犬にとって何よりも大切なのは群れ
何かが群れの調和を乱したら、それぞれの犬の平安も乱される。
飼い犬にとって群れは家族。なので犬は家族全員を大事にする。

5.犬の世界では「いつ休み」「いつ眠り」「いつ遊ぶか」はリーダーが決める
これもルールの一部。決めてもらわないと普通の犬は不安で神経質になる。

6.犬にとってご褒美は「群れに馴染むことで得られる食糧、遊び、睡眠」といった生きるために必要なもの。つまり安心。
おもちゃやバースデーパーティーはご褒美にならない。
「家族が円満だから安心して暮らせる」と思わせることが大事。

7.飼い主について行くのは群れから離れるのが不安だから
ついて行くのは愛しているからではない。単純に不安だから。
不安を感じさせないようにするには、まず運動をして疲れさせる。
そして「離れるのは一時的。だから騒がなくても大丈夫」と信頼されることが大事。

8.怖がって吠えているときに「大丈夫?」と愛情を注ぐと吠えることを肯定することになる
吠えさせないために必要なのは、愛情ではなく「怖くはない」と思わせるリーダーシップ
怖がるものに近づかない。または飼い主から近づいて平気だということをわからせる。

9.愛情を注ぐべきときは、食事後のくつろいでいるときや指示に従ったとき
このときの愛情がご褒美となる。

10.散歩中にどこにいくか、どこで立ち止まるか、どこで遊ぶかなどすべては飼い主が決める
移動中の狼の群れで1匹が勝手に立ち止まったらおいて行かれるだけ。

11.庭やドッグランを走らせても散歩代わりにならない
リードでつないで一緒に歩くことでリーダーとして認識させることができ、周辺の環境にも慣れさせることができる。なので伸縮式のリードはNG。
※リードを持つことの奥深さはこちらでも触れています↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/4373

すべてに共感&納得!
どれも理屈に合っていると、ひとりで「うん!うん!なるほどっ!」と何度もうなずいてしまった。

ただし、今振り返ると誤解していた部分もあった。
それは「犬の問題行動は自分がリーダーになろうとしていることが原因」だから「①自分②嫁さん③犬、というように家族の順位付けを徹底しなければならない」と理解したことだ。

この考え方は、飼育下の狼の行動研究を当てはめた、いわゆるアルファシンドロームに基づくもの。
ところがアルファシンドロームは、すでに学会で否定されている。
野生の狼の群れは単なる血縁関係のある家族。
上下関係ではなく助け合いながら生活している。

愛玩動物飼養管理士のテキストにもこうあった。
「犬は人に飼われやすいように進化してきた動物。もし人を犬の階級制に巻き込み、飼い主に挑戦を挑むような動物だったら、現在のようなペットとしての地位は確立されていない」
「だからといってリーダーシップが必要ないということはない。しつけにおけるリーダーシップとは、教え導くことであり、「支配者」や「絶対者」という意味ではない。なので「保護者」や「親」というイメージが合っている」

シーザー・ミランの本には、
「リーダーになろう」と書いてあったが「家族を順位付けして犬を最後にしよう」とは書いていない。

しかし、当時の私はネット情報などとごっちゃにして、「犬をリーダーにしてはいけない」と考えてしまった。
その上でシーザー・ミランの本をバイブルにしたのだ。

とはいえ、最終的に先代犬(バーニーズマウンテンドッグ)のしつけも上手くいったと思う。

では、実際にどのようなしつけを行ったかは次回
https://large-dog.iehikaku.com/archives/4091

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