犬連れ登山「過去最高の難易度で6合目Uターンでも満足!」巻機山(新潟県)

井戸の壁はシャレになりません!
前日天気予報 やまてん:曇5℃風速4m てんくら:B晴2℃風速5m眺望△ 実際:小雨5℃風速1m眺望△

我が家の登山シーズンは基本的に降雪期のみ
理由は3つ。
1.雪山が美しいから
2.犬連れなので登山者が少ない方がいいから
3.犬は暑いのが苦手だから

なので3月は今期のラストマンス。
なのに週末の天気が悪かった。
予定していた18日は関東甲信越全滅ーー。

もう25日しかない!
と、1週間八百万の神に祈っていたが、
前日になって一気に全域雨予報ーー。

それでも北に行けば行くほど晴れに近づくらしい。
北に行けば積雪も期待できる。
一石二鳥。

と、いうことでとりあえず百名山の巻機山へナビを設定し、
高速を降りる前の時点で天気NGなら、
二百名山の守門岳(スモンダケ)へ行き先変更するつもりで家を出た。
目的は両方とも茫然自失するくらい広大な天空の大雪原だ。

塩沢石打SAで天気予報を最終確認。
巻機山は雪ときどき雨予報。
守門岳も曇り。
嫁に相談すると
「どちらも快晴でなければ近い方がいい」
とのこと。
それもそうね、と巻機山へ向かう。

8時28分到着。
先行者は3台のみ(路駐)。

そのうち1台(4人)は、バックカントリーに来たが、
予想より雪が少なくて登ろうか悩んでいた。

9時、お先にスタート。
気温3℃。
今回はこんな暖かい日のために購入したマム―トの極薄ハードシェルを初おろし。
Masao Light HS Hooded Jacket AF Men
わずか200gチョイの激軽。
疲労度激減を期待している。

道路の脇から適当に巻機山麓キャンプ場へ進む。

そこは多分ただの藪の上。
すでに雪が1m以上とけているようで横倒しになった木々が目立つ。

巻機山麓キャンプ場を越えて50分・1.4㎞で桜坂駐車場に到着。

ここからが本当の登山コース。
前情報ではこの先に
「井戸の壁」
と呼ばれる悪魔のような急傾斜が待ち受けているらしい

だが最初の300mくらいは普通の登り。
それより雪解けで出てきた藪が邪魔。

とはいえ、
「ウッキー!」
「こんのやろー!」
となるほどではなく、意外に楽?

なんて思っていたら、
段々と傾斜が増してきて、
気づいたらスキーの上級者コース並み(傾斜30度くらい)になってきた。

「なるほどこれはキツいかも。でもこの程度なら経験済みさ」

なんて思っていたのは5分くらい。
足元を見ながら歩いていて、ふと顔を上げたら
まだ視界が真っ白。

なぜなら正面が雪の壁だったから。

家族全員で
「えええっ~~」

登山道のイメージを根本から覆すほどの傾斜。
夏道なら普通に鎖があるレベル。
個人的には白毛門や前三ツ頭(八ヶ岳)より険しく、
日光白根山の湯元温泉 コースと同等レベル。
要するに即Uターンクラス。

しかもスマホでヤマレコのマップを確認すると、
この壁の終点は500m先らしい。

500mの鎖場なんて聞いたことがない。
でもここは大人気コース。
登れないことはないはず。
とりあえずアイゼンの爪を突き刺してみた。
すると運よく雪が腐っていて歩きやすい。
泰楽も四輪駆動を活かして
「イケるっす!」
とドヤ顔でついて来る。

パウダスノーだとマイケルジャクソン(ムーンウォーク)しちゃうし、
アイスバーンだとそもそも危険なので「ハイ、ここまで」となるが、
今回は何とか進むことができた。

しかしながら、キツいものはキツい。
途中で何度も立ち止まってしまう。
すると泰楽が「お尻を押しましょうか?」と様子を見に来てくれる。
相変わらず家族想い

そんな感じで悪戦苦闘すること3時間弱。
やっと稜線に出ると、
そこが5合目。

井戸の壁突破だ。
振り返るとこのコース初の展望が。
仙ノ倉山、万太郎山、谷川岳など谷川連峰の面々が立ち並ぶ。

ここで先行者が下山してきた。
当日の1番手の方でニセ巻機山でUターンしてきたとのこと。
ここからの所要時間を聞くと1時間以上はかかるらしい。
その方も山頂まで4時間かかったと言っていた。

この時点で3時間が経過。
ここで登頂を諦める。
とにかく眺望のいいところを見つけてUターンしようと進む。

そこからもそこそこの傾斜。

しかも再度樹林帯に入る。
嫁は足がつって大幅に遅れる。

泰楽はふたりの間を
「お父しゃんは、先に行っちゃうの?」
「お母しゃんは、なんで遅いの?」
とオロオロ。

私は
「とにかくゴール地点を決めて、そこで嫁にはゆっくり休んでもらおう」
と進む。

ヤマレコマップで確認すると6合目が近い。
そこを迂回して先に行くと、再度尾根に出た。
今度は5合目以上に広いスペース。
3.96㎞・4時間18分・標高1423m。
本日のゴール地点が決定。

泰楽は
「今回は疲れましたねぇ~」
とへたり込んで嫁を待つ。
私はイスとテーブルを並べる。
3分ほどで嫁が到着。

気温5℃、風速1m。
時折小雨がぱらついたが、比較的快適な天候でゆっくり休憩。
本日のメニューはカップラーメンとカップお汁粉。
足がガクガクの身体に、甘~~いお汁粉が染みた。

下山を開始すると、視線の先に雲海が成長中。

霧氷の次に雲海が大好物の嫁は、
一気にテンションアップ。

嫁がアガれば泰楽もアガる。
2人で急斜面をぐいぐい下りて行った。

するとすぐに6合目に上陸。
ここが小学校の校庭のような広さ。

泰楽と思い切りヒップソリを投げて遊ぶ。

その後もしばらく見晴らしのいい稜線が続き、
ヒップソリ投げを楽しむ。

だが、急にブナ林となってしまった。
泰楽が
「もう終わりなのでしょうか?」
と、つぶらな瞳で問いかけてくる。

「それは仕方がないでしょ」
と周りを見回す。
木と木の間が意外に空いているーー。

なので、また投げた。

ずっと投げながら下る。
泰楽はずっと大喜び。
ベルトコンベアのように拾ってきた。

ここで事件が発生。
調子に乗って投げていたら、
ヒップソリが大木の根元の穴に落下。
見下ろすと深さが2mくらいある。
雪は1mくらいとけているはずだからピーク時は3m以上あったことになる。
さずが豪雪地帯。

吸い込まれそうな大穴。
それでも泰楽は
「余裕っす! 拾うっす!」
と身の程知らずなことを言う。

ここは父ちゃんの実力を見せつけるチャンス。

幸い途中に刺さっていたので拾うことができた。
泰楽も一安心。
「さぁさぁ再開しましょう!」とうるさかった。

登りで度肝を抜かれた井戸の壁は、
雪が柔らかかったのでいい感じに足が踏ん張れて楽に下りられた。
そんな感じでサクサク下山。
7時間・8.04㎞
の山行でした。

大雪原まで到達しなかったのは残念だが、
この日に行っても天候が悪くて楽しめなかっただろう。
6合目でも眺望が良かったので満足。

でも、とにかく井戸の壁はキツ過ぎ。
フルマラソンに本気で挑みたい。
または1度走ったけど再度走ってもいい、
と思うくらいの体力自慢じゃないと楽しめないと思う。

私は仲間5人で
「ハーフマラソン走ろうぜ!」
と盛り上がったときに、
ひとりだけ
「嫌だ」
と言い切ったくらい身体を追い込むことが好きではない。
120%くらいまでならいいけど、ここは130%以上。
なのでこの山のリピートはないかなぁ。
大雪原は大力山とかでも満足できるし。

ちなみマムートのハードシェルは大満足。
雨・風はしっかり防ぐのに、
とにかく軽い!
それに小さくたためる!
気温-5℃以上、風速5m以下ならコイツを持参することに確定。

これで今シーズンの雪山登山は終了。
全部で6回行くことができたが、
そのうち晴れたのは最初の2回だけ。

帰りの車中で
「あぁ~、今シーズンは2勝4敗だぁ」
とぼやいていたら、
嫁が
「えっ! そうなの!?」
と目を丸くした。

彼女の優先順位は
①十分な積雪、②霧氷、③雲海、④眺望。
なので、よほど吹雪くことがない限り、
雪さえあれば登山は楽しいらしい。

一方で私の優先順位は
①眺望、③真っ白で広大な稜線、②スノーモンスター、④霧氷。
なのでとにかく晴れていなければ満足できない。

出会ってもう30年。
こんなに好みが違うなんて初めて知った。
そして
「雪さえあれば満足できるなんてズルい」
とうらやましく思った。

さぁ、4月からはカヌーです!
今年も清流を潜って潜って潜りまくるぞぉーー!!

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