天気予報は大外れだったが霧氷は大当たり!
前日の天気予報:てんくらA 晴れ-7℃風速2m 眺望◎(槍ヶ岳からの眺望も◎) ヤマテン(霧ケ峰)晴れ-1℃風速2m
実際:スーパーガスガス-7℃風速2m
2~3年前からだろうか。眺めたい山ナンバーワンが富士山から北アルプスに交代した。
富士山は比較的どこからでも見えちゃうし、どこから見ても同じような山容だ。
一方で北アルプスは千葉県に住んでいるとなかなか見る機会がないし、見ることがあってもスケールが大きすぎて全体像を掴むことが難しい。だから「もう一度見たい!」となってしまうのだ。
魅力はなんといってもあの存在感。富士山の裾野は約40km。対する北アルプスは約100km。とてつもなくデカい。しかも日本アルプスの中でもっとも雪深く、冬季はいつでも横一直線に真っ白けっけ。あの純白のスーパー長大な屏風姿を一度眺めてしまうと、目に焼き付いて忘れられなくなる。
(まぁ、単独で40kmの富士山が断トツすごいのは間違いないけど)
それで昨シーズン、北アルプスの展望台として知られる高ボッチ山(長野県)にチャレンジした。ところが天気がまさかの予報と正反対のガス一色……↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/3921
なので今シーズンに入ってからは、毎週のように高ボッチ山の天気予報をチェックしていた。条件は快晴&積雪10㎝以上。
そして時は来た。
てんくらでもヤマテンでも晴れ予報。
山頂からの見晴らし予報も◎。
しかも見渡す先の槍ヶ岳(北アルプス)からの眺望も◎。
(だから北アルプスは絶対に見えるはず)
さらに前日に降雪があり、前夜は-10℃以下に下がった模様。
嫁さんが雪山に登る理由ナンバーワンの霧氷も期待できる。つまり完全無欠のコンディションということだ。
今度こそ北アルプスのお姿を端から端まで味わってやる!
中央道を走行中に南アルプスに沈む満月を発見! ずば抜けた美しさ。いい予感しかしない。
7時50分、駐車場に到着。先行者5台。つまりラッセルはなさそう。ホッとする。
だが!
駐車場から眺める北アルプス方面は、なんとオールガス。これっぽっちも山容を確認できない。これなら前回の方がまだマシ。「でっでもスタートして2時間近くは森の中だから」「その後に晴れればいいわけだから」。自分に言い聞かせる。
8時15分、休業中のホテルの脇から登山開始。標高1015m、気温-7℃、無風。積雪10㎝弱。最初からチェーンスパイクを装着する。
嫁さんの期待どおり、すぐに霧氷のトンネルに突入。
「うわうわ、枝の先が透明に凍ってる。赤面山↓みたい!」
一気に上機嫌に。
我々の足音以外に何も聞こえない白銀のトンネルが永遠に続く。
嫁さんは、「夢だ。夢のようだ」と瞳をキラキラさせてつぶやきっぱなし。
とはいえ、枝の一本一本をよく見ると、前日の雪が乗っただけのようだ。「これは本物の霧氷ではないぞ」という言葉を胸にしまいつつ、なんとなく空を仰いだ。
すると高木の先端部分はサンゴのように真っ白ではないか! つまり風が当たるところは、しっかり霧氷が付いているということ。森林を抜けた先が楽しみだ!
その後も途切れることがない霧氷地帯が続く。ずっと緩斜面なので余裕を持って眺めることができる。
そして「これは美しい!」と感じるところがあれば泰楽(ゴールデンドゥードル)をモデルにして撮影大会。
なので全員ずっとニコニコで登る。だが、もし霧氷がなければ、ただの眺望無しだらだら登山道。降雪後でなければ、もしかしたら飽きてしまうコースかもしれない。
10時12分、1時間58分・2.46㎞で樹林帯を抜ける。積雪はほとんど変化なく10㎝強。ここから山頂までは牧場地帯になる。したがって、遮るもの無し! 期待どおり、大雪原の中でぽつん、ぽつんとたたずむ木々はすべて完全無欠の霧氷をまとっていた。どこから見ても真っ白サンゴ礁だ。嫁さんのテンションはついに120%を超える。
「うばばばばぁ~」
「うひょひょひょひょひょ~」
もう何を言っているかわからない状態。
一方で私の雪山に登る理由ナンバーワンは、「北アルプスを眺める」だ。牧場に入って数十メートル登って振り向くと、北アルプスどっかーん、のはず。
あと3歩、2歩、1歩――。振り向く!
視線の先はガッスガス! それどころか360度100%ガッスガス。眺望一切なし!
「そそそ、そんなはずは……」
大至急、てんくらを確認。
「11時の見晴らし予報◎!」
……。所詮「予報」なのだ。100%信じた自分が浅はかだった。
「でも10分後にいきなり、さわわ~っと晴れ渡るかもしれない。山の天気ってそんなものでしょ?」
どうしても現実を受け入れられない――。
幸いほぼ無風。気温は―7℃のままなものの、時々かすかにすーっと風が吹き抜け、汗が浮かんだ額をひんやりさせる。見渡せば360度ガスの中だけど特大の雪原。清々しくて気持ちいい~!
欲を言えばもう少し積雪がほしい。だけど少ないおかげで踏み抜くこともゼロ。ある意味ちょうどいいかも。
牧場コースの途中で低木の樹林帯が登場した。これが全部が全部純白サンゴ状態。真ん中を突き抜けるコースがうねうねと曲がって迷路のようになっているので、アトラクションの中を進むように最上級の霧氷を楽しめる。そこである言葉が頭に浮かんだ。
「ここは”霧氷の迷宮”ではないか!」
私もついに上機嫌ゾーンに突入。
あまりに美しかったので時間を忘れて撮影タイム。
その後も霧氷に覆われた牧場エリアを進む。
3時間12分・4.25㎞で山頂に到着!。
で、そこからの眺望は?
360度ガス! 見えるもの一切なし!
「あれ~!? てんくらAだったのに!」
近くにいたご夫婦らしき二人連れの男性がつぶやく。
「そうですよね? しかも見晴らし予報も◎でしたよね!?」
てんくらの文句で大いに盛り上がる。
復路は第二駐車場の展望台経由で下りる予定。途中の休憩所でランチ。ここの霧氷が殊更美しかった。これ以上成長したらスノーモンスターだね。
天気回復を願いながらここで1時間粘るつもり。食後に泰楽と遊ぶ!
すると徐々に陽の光が眩しくなってきた。見上げると青空だ!
だが、肝心の北アルプスはガスの中。唯一デッカい頂が顔を出したので調べると……。
御嶽山だ! こんなに近かったの!? 高ボッチ山のポテンシャルを再確認する。
「晴れるっ! 晴れるっ! 晴れるっ!」。全員で小躍りしながら展望台へと急ぐ。
第二駐車場の展望台に到着すると、まるで合図をしたかのようにガスがしゅわしゅわしゅわ~。またも濃厚な霧に囲まれてしまった
こんなだだっ広いところで視界10mくらいなので、世界に我々しかいないような気分になる。さびしいような、ワクワクするような……。
ちなみに仮設トイレは使用可でした。
そこから池の方面へ下りて行く。行き先に目を凝らすとずっと森の中。つまらなそう。もし天気が回復しても景色は見えないはず。なのでUターン。山頂までは行かずにショートカットして牧場コースへ戻る。
泰楽へヒップソリを投げながらのんびり進む。このように愛犬と遊びながら登山をしていると「あ~楽しんでくれてよかったぁ」と心がほっこりしてくる。これだけでも来た甲斐があったかも。
途中で高さ10m以上ありそうな電波塔が立っていた。あんなにデカいのに、数十メートルまで近づかないと見えないとは! ガスのこんちくしょう――。
牧場コースと合流して、再度大雪原に出る。360度見渡す限り無人。泰楽のために思い切りヒップソリを投げる。牧場万歳!
そしてなんとわずかだが北アルプスの一部が見えた。だが、かすんで山容がはっきりせず同定できない……。
樹林帯に入ってしばらくすると、ガスがずずずーっと晴れた。奥穂高の山容がくっきり! 15分早ければよかったのに!! でも、こうなったら駐車場からゆっくり眺めよう。
帰路では意外にヒップソリができた。緩斜面ゆえに恐怖感なく楽しい!
7時間4分・9.2㎞でゴール! 思い切り撮って、遊んでこのタイム。
「さて、北アルプスを拝もう!」
と期待してたらまたまた眺望一切なし! スタート時以上のガスガスでした……。
とはいえ、スタートからゴールまで切れ目なく霧氷の嵐。霧氷については高ボッチ山の実力を100%出し切っていたと思う。これで青空と北アルプスが登場したらどうなってしまうのだろう。高ボッチ山のポテンシャルは百名山と比べてもまったく引けを取らないかもしれない。だから来シーズンも絶対に行こうと思う。
帰宅後、あまりにくやしいのでユーチューブで冬季の高ボッチ登山動画を観る。
どれも青空&北アルプスどどーん!
しかし、地面の半分は土が出ていて霧氷はゼロ。嫁さんは満面の笑みで「これなら今日の方がよかったわ。霧氷がないあのコースは飽きるでしょ」と今回の登山にご満悦だった。
彼女は霧氷が一番好きだが、眺望だけでも90点くらい満足できる。ところが私はいくら霧氷が綺麗でも眺望がなければマックスでも70点。満足の幅が広くてうらやましい――。
とはいえ、嫁さんがご機嫌なら私もご機嫌。だから、これでいいのだ!
ちなみに帰りの車中で、ふと右側を見ると、思い切り鹿島槍ヶ岳が姿を見せていた。
登山あるある――。
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