登頂したらイキナリ富士山どーん!県内最長クラスの岩稜も
2025年12月27日 てんくら見晴らし予報:富士山◎鋸山◎ Windy:雲なし
※先に年始の「富山」と「伊予ヶ岳」と公開しましたが、登ったのはこちらの方が先です。
千葉県のメジャーな山は、ほとんど登った。
残りは山頂に自衛隊の基地がある最高峰の愛宕山とバリエーションルートくらいだ。
だが、たっぷりと心残りがある。
その代表選手が富津市のトビ岩山だ。
ここは2025年3月に泰楽と二人で登った。
バリエーションルートだが山頂からの眺めは天下一品!
切り立った断崖絶壁の上を頂に向かって一直線に進む。
その時点で向こう側は急斜面に阻まれて見えない。
だが、登り切った瞬間、正面に富士山がどーんっと現れる!
はずだった――。
分厚い雲に包まれて拝むことができなかったのだ。
そのときの様子↓
トビ岩山-千葉県|断崖絶壁の大パノラマ!千葉県最高レベルの犬連れ稜線歩き
とはいえ、トビ岩山の高い実力は十分すぎるほど体感できた。
なので空気が澄み切った時期を見計らって、今度は家族全員で登ることにした。

7時20分、梨沢区公民館の駐車場に到着。
ここは登山者でも無料で停められる。
キャパは10台くらいで我が家は4台目。
トイレは無いが、クルマで15分圏内にコンビニが複数ある。
掲示板に登山届の用紙があるので、記入してダッシュボードに置いておく。

7時35分、登山開始。
まずは1㎞近く車道を歩いて手前の物見塚山を目指す。

ところどころ錦秋のなごりあり。
このコースの狙い目は晩秋かも。
途中で2回くらい道を間違える。
とにかく一般道歩きが長いのです。
しかも何度も枝分かれしているのです。

目印は千葉のグランドワゴニア😝
※富士山の中腹には本物のグランドワゴニアが放置されています。

スタートして約800mで民家に出る。
その向かい側を通らせてもらう。
快晴の青とみかんの橙。
南房総らしい風景に胸がほんわか暖まる。

ここからは舗装されていない林道。
高低差がないのでハイキング感覚だが、整備されてないので落ち葉が多い!
所々30㎝くらい積もっていて、落ち葉のラッセルが続く。
そもそも何のためにつくった道なんだろう?
そんなことを考えていると、右側にある登山道の入り口を見落とす。
100mUターンーー。

そこからやっと登山らしい尾根道に入る。
でもさすがバリルート。
リボンが少ない!
3分に1回くらいヤマレコのマップを見ないとすぐに迷子になる。
リボンの数は、感覚的には一般コースの3分の1です。

とはいえ、あまり人が入っていない広葉樹の森。
360度大自然そのまま!
地面に踏み跡がほとんどない。
周囲は落葉していて風通しが良く、さらに尾根道は幅が5mくらいあって爽快に歩ける。

右側の木々の隙間に苗場山のような平な山塊が広がっていた。
マザー牧場(鹿野山)だ。
小学生の遠足で行ったことを思い出して、なんだかワクワクする。
具体的に何をしたのかはまったく覚えてないけど。
このエリアには珍しく2019年の台風の影響が少ない。
つまり倒木が少ないので小鋸山のように左右の視界がスコーンっと抜けることは無いが、とにかく歩きやすい。
絶景もないが、嫌なところもない。
70点がずっと続く感じ。

スタートして2㎞を過ぎた辺りでやっとロープ場が登場。
小鋸山のようにさらさらの土ではないので登りやすい。
と思っていたら、物見塚山の手前で見上げるような急登が。
でも、ここも滑りづらくて問題なし。

そこをえっちらおっちら登り切って1時間23分・2.7㎞で物見塚山に登頂。
けれども360度樹木に囲まれて基本的には眺望無し。
「なんだぁ~」と山頂に設置されていた石碑を眺めて何気なく振り向いた瞬間、木立の間に何かを見つけて目を見開く。
胸の鼓動が走り幅跳びの助走のように徐々に高まっていく。
1歩、2歩、その木立に近づく。
「こ、これは!?」
👀👀👀

間違いない富士山だ!
はっきりくっきりの二等辺三角形。
しかも期待していたよりデカい!
もしかして今日は大当たりかも。
ここからは、てんやわんやの大騒ぎ。
嫁さんは壊れた印刷機のようにスマホのシャッターを切り続け、
泰楽はその後ろにぴったりくっついてしっぽを扇風機のようにブルンブルン、
私は彼女に「ダメ!」と言われるまで気づかず霊峰に近づき片足が膝まで落ち葉に埋まっていた。

その後は、全員がハイテンションを維持。
なぜなら、大好物の稜線が続き、左側に富士山がずっとついて来てくれたから。

霊峰同伴が実現できたのは、幸か不幸か台風の爪痕のおかげ。
倒木が多くなり、その分、見通しも良くなったのだ。
「あそこ富士山が見えるよ!」
「ここからの方が綺麗だぞ!」
「そういえばこの間さー!」
夫婦の会話が5割アップ。
泰楽はお気に入りの棒を見つけて振り回しはじめた。
(家族が不仲になったら一緒に登山をすればいいと思う)

ここでボーナス特典も支給された。
神峰の足元に青く輝く東京湾も登場。
その背後には丹沢山塊の面々が悠然と整列しはじめた。
この日の海はやたらと船が浮いていた。
お正月前の書き入れ時だから漁に出まくっているのかな?
そんなことを嫁さんと話していたら、大海原から「ぼぉ~~っ!」という船の汽笛がやたらと聞こえてきた。
船の汽笛といえば、「故郷を離れて社会に出る」または「北国へのひとり旅」のイメージだ。
そんな旅情をたっぷり噛みしめつつ青空の下で登山。
そのうえ、ハッキリクッキリの富士山がずっと見守ってくれている。
そんな異種格闘技のような山行コースほかにある!?
千葉県ならではの贅沢体験だ。
さらにテンションアップ。
嫁さんはやたらと「岩に登りたい~!」とへんてこりんな替え歌を叫び出し、
泰楽は拾った木の枝を寄り目にして噛みだし、
私は取りつかれたように「あっ富士山だ!」を繰り返す。

そんなことをしていたら、本当に岩稜が増えてきた。
嫁さんの瞳が生まれて初めて生のアイドルを目撃したように輝く。
我先にとエヴァ初号機のように岩をわしわしとつかんで超えていく。

そして巨鬼の拳のようなゴツゴツの岩頭に立って富士山方面を見渡した。
「うわぁ~っ!」
こだまが響き渡る。

どうした?どうした?
私も慌てて登る。
再び
「うわぁ~っ!」
という絶叫がこだまする。

富士山の右側に雪化粧を施した南アルプスが連なっているではないか!
調べてみると約160㎞も離れている。
千葉県に住んで約半世紀で初めて見た。
奇跡的に空気が澄んでいるということか。
ちなみに富士山までの距離は105㎞です。

そこから先は房総の稚児落とし(自称)も丸見えに。
(本物の稚児落としは山梨県の岩殿山にあります)

トビ岩山まで50mのところで分岐点に。
真っすぐ先には垂れ下がったロープが見える。
トビ岩山までの高低差は30mくらい。
ほぼ垂直。
本当に登る人がいるのか?
迷わず右側のう回路を選択。

100mくらい進むと大岩壁が見事にえぐられていた。
大波にしか見えない。
勝手にビッグウェーブの岩と命名。
ハイテンション継続中の嫁さんは、見事に波に乗っていた😆
さらに100m進んで結構急なロープ場を登ると山頂につながる稜線に出た。
そこから200m戻ることになる。

途中に裂岩あり。

山頂までラスト50mというところで今コースの最難関が立ちはだかる。
高さ5mの岩塊だ。
前回は、どうしたらいいのかわからず3分くらい頭を抱えてしまった。

正解はさらに5m進むと垂れ下がっているロープで登る。
そこは傾斜50度くらい。
足場を切ってくれているので人間はもちろん、犬でも中型サイズ以上で慣れていれば登れる。

登り切って20m進むといきなり視界がわっと広がる。
いつの間にか大絶壁の上に立っているのだ!
高さ30mの垂直の壁。

見下ろすと樹海に吸い込まれそう。
高所恐怖症偏差値65の私はへなへなと腰が抜けそうになる。
けれども、それではもったいない。
そこからの景色は絶品。
雲一つない紺碧の空の下、地平線の先まで南房総の山々が広がっている。
千葉が意外に山深いことを再確認。
富士山は無いが、ここまでで最高の眺めだ。

だが、ここでも時間をつぶすは、もったいない😝
ゴールまであとわずか。
この大岩壁コースは山頂まで一直線に続いている。
「怖い」
「でも美しい」
頭の中でローテーションしつつ進む。
前方の傾斜が結構きついので山頂は最後の最後まで見えない。
“オチ”を知っている私は、嫁さんに先に行ってもらう。
あと3m、2m、1m――🫣
彼女の後ろ姿を見つめながら心でカウントダウン。
そして期待どおりの反応が。

「えええっーーー、富士山だわわぁ!」
そうなのです。
山頂に着いた瞬間に最初に目に入るのが、悠然と裾野を伸ばす富士山なのです!

私も
「うばばばばぁ~~~っ!」
と絶叫。
見えることは知っていたが、ここまで大きいとは!
以前、鋸山からの富士山を
「千葉県からは最大! 横浜中華街の肉まんをひっくり返して掌に載せ、腕を伸ばして眺めたサイズ」
と絶賛した。
でも、こちらは距離が3㎞ほど遠くなっているのに、とにかくデカい。
しかも、
登頂=どっか~ん!
なので衝撃が段違い。
赤ちゃんが産まれて初めて“いないいないばぁ!”をされたくらいの新鮮さ。
まさに脳天からつま先にビビビっと電流が走るようなインパクトだ。
嫁さんは、仁王立ちしたまま動かない。
泰楽は、またどこからか棒を拾ってきて彼女の周りをぐ~るぐる。
私は、その後姿を眺めて目頭を熱くする。
登山バンザイ。
富士山バンザイ。
人生っていいものですね。
やがて彼女はつぶやいた。
「登頂イコール富士山は凄すぎる。山頂だけの評価なら千葉県イチだわ。小鋸山を抜いた」
「富士山大きい、海青い、断崖絶壁の上、風無し、貸切り、最高です!」

彼女のご満悦は、まだまだ続く。
この山頂がそのまま貸切の食卓になったのだ!
そこは6畳間くらいのスペースで絶壁側が1枚岩、藪側が芝生になっている。
この岩がちょうど椅子のようないい具合の段差なのだ。
そこに腰かければ正面は大海原のように果てしなく連なる房総の山々。
右を向けば本物の海に浮かぶ霊峰富士。
快晴・無風。
これ以上贅沢な食卓はありますか?

本日のメニューは鍋焼きうどん(生卵付き)です。
もくもくと湯気をたなびかせる鍋焼きうどんを前に山座同定をする。

富士山から右に南アルプス、丹沢山塊ーー。

横浜方面の高層建築物、マザー牧場(鹿野山)、天城山(伊豆半島)、鋸山、嵯峨山、箱根山。
おそらくここから物理的に視認可能な見どころは全部見えていたはず。
これ以上に空気が澄んだ日は、ほとんどないだろう。
気温8℃。
ぽかぽかと暖かい日差しを浴びながら、熱々の鍋焼きうどんをハフハフ言いながら味わう。
泰楽には登山時しかあげない焼きいもだ。
視線は常に富士のお山。
視覚、味覚、触覚、嗅覚、聴覚、不快なもの一切なし。
食後に腰を下ろしたまま背中を反らす。
360度の青空ドームが広がる。
無限の碧。
見上げる一点に吸い込まれそうだ。
慌てて富士山に目を向ける。
鼓動が穏やかになっていく。
そんなことをひとりで繰り返し、久しぶりに泰楽を見たら、お腹を大きく波打たせて芝生の上で寝ていた。
嫁さんは体育座りで読書に夢中。
登山なのに本を持ってきてたんだ!?
結局、1時間近くこの空間を貸切ってしまった。

次に向かうのは房総の稚児落とし(自称😝)。
500mも続く落差数十メートルの断崖絶壁の上を歩ける。
視界が開けた岩稜コースとしては、おそらく千葉県最長だ。

先に私だけ下って嫁さんたちを見上げる。
いかにエグい場所で食事をしていたかが分かる。

ここでうれしい誤算が。
なんと、ここでも富士山がずっと伴走してくれたのだ。

写真で見ると危険そうだが、道幅が広いので落ちる心配はない。
でもスリル感は十分!

岩稜の終了地点でUターン。
山頂に戻って下山は妙蔵寺方面に向かう。
そこは往路と打って変わってリボンがたくさんあった。

山頂からたった800mで車道に出る。
そこを約1㎞歩いてゴール。
かなりゆっくり歩いてランチもして6時間30分、7.2㎞だった。

クルマに戻るとワイパーに梨沢成年部会からの賞状が挟んであった。
こんな心遣いもうれしい登山でした。
今回のコースは大当たり!
富士山大きい、海青い、山頂は断崖絶壁の上、房総の稚児落とし。
見どころ盛りだくさん。
この充実度は千葉県トップクラスだと思う。
なお、今回のルートは初心者や犬連れには、あまりおすすめできません。
まず、山頂までリボンが少なく踏み跡もわかりずらい。
簡単に道に迷います。
それに最後の岩登りは、登山に慣れた中型犬以上のサイズでないと登れないと思います。
初心者や犬連れの人が山頂の絶景を味わいたいなら、この岩登りを覚悟で妙蔵寺側からピストンすることをおすすめします。

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