「泰楽とのんびり遊ぶ!」と決意
最近焦っている。
愛犬の泰楽が8歳になったからだ。
逆算する。
15歳まで生きてくれるとしたら、あと7年。
いつまでも子犬と思っていたのに、気づくと半分を過ぎていた。
この8年間、私は泰楽と本気で向き合ってきただろうか。

気になるのは登山のとき。
泰楽と登ると楽しい、さびしくない、とさんざん書いてきたくせに、実は登っている最中はそんなに気にしていない。
もちろん、変なものを食べていないか、排せつしていないか、については片時も忘れていない。
だが、それだけの時間が多い。
登りはじめると頂に立つこと第一、絶景を見つけること第二。
早く山頂からの景色を見たい。
ひとつでも多く美しい風景を目に焼き付けたい。
前のめりな性分がむき出しになる。

楽しんでるか?
うれしいか?
はっと思い出して表情を確認する。
そんなとき泰楽はいつも私を見ている。
おそらく登山中ずっと見ている。

かわいいのぉ~!
立ち止まって思い切り首筋からお尻を両手でゴシゴシ撫でる。
泰楽はブルンブルンと尻っぽを回転させ、バタバタと足踏みをして私の太ももに顔面をうずめる。
でも、1分後にはきっぱり切り替えて頂に向かって全集中。

ようやく登頂。
泰楽は私を見上げている。
綺麗だな?
疲れたか?
お腹空いたか?
話しかけて達成感をしばし共有。

その後は撮影と山ごはんに全集中。
一段落ついていつも気づく。
泰楽と遊ばなきゃ!
棒を投げたり、お尻をもみもみ。
下山は帰宅時間を気にして、駆け降りるように戻る。

先代犬とカヌーや登山をはじめたのは8歳になってから。

だから泰楽を迎えたとき、先代犬よりたくさん遊ぶことを楽しみにしていた。
ところが泰楽は、あの頃の先代犬と同じ歳になってしまった。
こいつは、今の遊び方で満足しているのだろうか。
本当は、もっとゆっくり歩いてと思っているのではないか。
山頂で一緒に昼寝したいと願っているのではないか。

なにより私自身が、泰楽との思い出がほしい。
写真の枚数や登った山の数でなく、一緒にすごした匂いや温もりを胸に刻みたい。
あの瞬間、後悔したくないから――。

今までは登山なら頂に立つことばかり考えていた。
登山ってそういうものでしょ、と。
キャンプなら肉を焼いて酒を飲むことばかり考えていた。
明日も遊ぶための通過点でしょ、と。

だが、いつの間にか焦りはじめている。
泰楽が、あの急斜面を登れるのはいつまでだろう。
あの急流を泳ぎ切れるのは何歳までだろう。

泰楽との時間をじっくり噛みしめなければ。
コースの途中で立ち止まって泰楽の気持ちを確かめよう。
キャンプ地には早めに到着して1時間一緒に本を読もう。

今年の目標が決まった。
「泰楽とのんびり遊ぶ!」


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