爽快と恐怖が共存する穴場低山
てんくら見晴らし予報◎(12時から△) WINDY:雲なし
午前中は高宕山は大満足!↓
千葉県の高宕山で犬連れ登山|6つの富士山展望台に感動し、岩登りでスリルを味わい、氷瀑に驚く!
でも、下山した時点の時刻は13時過ぎ。
すぐに帰ったら自由を満喫している嫁さんに「邪魔するな!」と追い返される。
仕方がないからクルマで15分の笹郷山の登山口へ向かう。
前日にネットで2座目を探していた時、空へと飛び出す滑走路のような一枚岩の稜線を見つけて目が釘付けになったのだ。

13時45分、清和県民の森の第一駐車場に到着。
たぶん20台くらい無料で停められる。
ただし、利用時間は8時30分から16時30分まで。
トイレなし。

登山口は、そこから50mくらい離れた国道410号沿い。
草がぼうぼうなので、ヤマレコ地図がなければ絶対にわからなかった。

「本当にこんなのが公式ルートなの!?」
恐る恐る足を踏み入れる。
ところがどっこい、10mほどでコンクリート製のしっかりした階段が現れた。
こんな立派なの、なにに使う?

さらに進むとコースは清流を横切っていた。
向こう岸に立ちはだかる岩肌に階段が切ってある。
だれがこんなのつくったの?
答えはすぐに判明する。
ちなみに川の水がオレンジ色なのは鉄分だそうです(byAI)。
上流にコンクリート製の堰堤があった。
このために整備されていたのね。
それを脇目に登りはじめる。

これがまた冒険感が大盛。
急斜面のザレ場がずっと続く。
とにかく滑る滑る。
ところどころロープがあるので悪態はつかないものの「なんじゃこれ、なんじゃこれ」と愚痴が止まらない。

やっと平らなところに出たとホッとしたら、手つかずの原生林が広がっていた。
樹皮がボロボロになったアカガシが怖い――。
全力で目を凝らさないとリボンを発見できない。
これは夏に来たらマダニとヤマビルの集中攻撃で再起不能になっていたはず。

そんな遭難気分を味わいつつ、26分で経由地の川又大塚山に登頂!
といっても360度原生林。
まったく楽しくない。

大至急、先に進んだら結構な急降下。
と、いうことはあとで登り返しがあるのね――。

ちょっぴり気分が落ちかけていたら、コースは段々と明るい尾根道になってきた。
ご機嫌やや上昇。

だが、その尾根が曲者だった。
見上げるような円錐岩が次々に登場する。
全部、這わないと登れないレベル。
急・滑る・恐怖!
泰楽がいなければ、怖いし孤独で絶対にUターンしていた。
(後で確認すると、ほとんど巻き道がありました)

そしてラスボス登場。
傾斜60度・長さ10mの一枚岩の下りだ。
高所恐怖症偏差値65の私にはムリ!
逆切れご立腹でしゃがみ込む。
泰楽もその脇でオスワリ。
親子で、しばし呆然――。
念のためヤマレコ地図を確認。
あれ、コースから3mくらいズレてるぞ。
脇の谷底をのぞき込む。
落ち葉の間に薄っすらと巻き道があるような――。
体育座りのまま両手を岩につき、お尻をすりすりしつつ落ちてみる。
幅30㎝くらいの巻き道があるではないか!
安堵を噛みしめつつこれに従う。

するといきなりパーンっと視界が広がった。
目の前には痩せこけたシロナガスクジラのような岩肌が伸びている。
これだ、ネットで見た滑走路岩稜は!
全長30m。
左右は大ナタを振り下ろしたように切れ落ち、右側の落差は約50m。
エグ過ぎて、立ちすくむ――。
谷底は西日が入らず暗黒だ。
どうする泰楽!?
こんなときの彼はいつもニコニコで見上げてくる。
「お父しゃん次第です!」
わかった、行っちゃうもんね!
一歩踏み出すと岩肌がざらざらで滑らない。
安全地帯の幅は1m以上ありそうだ。
意外に安定して歩ける。
なんだ、怖くないじゃん!
3m進んで暗黒谷底をのぞき込む。
魑魅魍魎が両手を広げて叫んでいる画が浮かぶ。
背筋がブルっ!
そこから3m進んで、またのぞき込む。
背筋がゾワっ!
よせばいいのに、怖いもの見たさが止まらない。
「泰楽、怖いね~」
「あそこに落ちたらイチコロだね~」
本当に怖いから無駄口も止まらない。

突き当りで振り返ると、そこは天へと首を突き上げるブロントサウルスの背中のようだった。
さっきまであの頭の上に乗っていたのか。
やるじゃん!
ちょっぴり鼻が伸びる。
ここでヤマレコから大事なお知らせが。
「バッテリー残量が10%になりました。モバイルバッテリーを接続してください」
やばい、笹郷山は諦めるか?
自問自答を繰り返しつつ先を急ぐ。
そこにザレザレのトラバースが登場。
実はこの組み合わせが高い場所よりも苦手。
足を滑らせて谷底へ落ちていく自画像しか浮かばなくなる。
50m進んでUターンを決意。

帰路は巻き道を選択したが、ことごとく細くてザレザレ。
手前で足場とつかむ枝が見つけられず立ちすくむこと多数。
それでも腹筋に力を込めて前進する。
足元からズザァ~っと崩れる音が山中に響いて身体がカチンコチンに。
やっと枝がつかめた。
心拍数は上がり、脇汗が止まらない。
振り返ると3mしか進んでいない。
そんなときでも泰楽は私の後ろでじっと待っている。
「おいで!」と声をかけると「ハイよ!」と軽やかに飛んできて、ドヤ顔で見上げる。
鼓動が静まっていく。
あんたがいてくれてよかったよ――。
そんな大冒険は1時間43分・1.9㎞で終了。
私には完全に許容量オーバー。
もう行きません。

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