富士山の絶景の次は石切り場の連続で飽きる時間がない!
2025年2月8日
千葉県でもっとも富士山が美しく見える山を見つける。
そのために午前は嵯峨山に登った。
その様子はこちら↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/9076
だが、本命は鋸山だ。
言わずと知れた日本百低山。
おそらく千葉県で一番有名な山だろう。
この山は富士山の展望台としても知られている。
私は過去2回登っている。
最後は2012年だから13年前。
実は、そのときの印象は、あまりよろしくない。
確かに石切り場の異空間感覚はハンパなかったが、それよりも「最初の階段登りがキツい!」という印象が強い。
そして富士山を眺めた記憶がまったくないのだ。
ネットでもガイドブックでも、鋸山といえば「石切り場」「地獄のぞき」「富士山」
それなのになぜ富士山の記憶がない?
80座以上を登ってきた現在、鋸山の実力を再評価するために3回目の登頂に挑んだ。
11時40分、車力道と関東ふれあいの道分岐点の手前200mの駐車場(500円・トイレ無し)にクルマを停める。
ここが一番安くて、二番目に登山口に近いらしい。
(トイレは浜金谷駅近くのコンビニを利用)
11時57分、登山開始。
気温8℃。
200mで分岐点に到着。
左に行けば車力道コース。右に行けば関東ふれあいの道コース。
過去2回は、関東ふれあいの道から登った。
記憶では、スタートから階段登りが永遠に続く。
足を踏む場が狭く、胸がつくような角度の階段を1時間くらい登った。
なので、今回は車力道から登って関東ふれあいの道で下山するコースを選択。
ところが左へ行くと、いつまで経っても登山道にならない。
ずっと普通の車道が続いていた。
スタートして800mでやっと登山口が見つかる(左)。
しばらくは、登っているのを忘れるくらい緩い傾斜。
樹木が少なく、明るくて清々しい。
ここも嵯峨山同様に、2019年の台風の影響が少ない。
ただし、こちらはすでに整備済みのようだ。
車力道の由来は、ここが切り出した石を街まで運ぶルートだったから。
1960年頃まで女性がネコ車で240kgの石を降ろしていた。
足元の凹みは車輪の跡。
当時の苦労に思いを馳せる。
そんな奥深い歴史に触れられるところも鋸山の魅力だ。
コースの要所には案内標識が立っていた。
一般的な山では、これらは手づくり感が満載だ。
一方で鋸山は、手づくり感ゼロで立派だった。
さすが日本百低山。
約1.4㎞で中程度の傾斜に。
右側に海が見えるようになる。
さらに上がっていくと横浜の摩天楼も。
途中で「猫丁場」というスポットへの分岐点があった。
ちょうど行ってきた人とすれ違ったので何があるのか聞いている。
石切り場に猫の彫り物とハート型のくり抜きがあるそうだ。
今回はスルー。
さらに進むと、いよいよ石切り場(切通し跡)が登場。
つい寄ってみたくなるが、ここは下山時も通るので先へ行く。
木立の向こうに富士山も登場。
期待が膨らむ。
気分が上がりはじめたタイミングでコースがいきなり階段に。
這っていくような急斜面で、すれ違えないほど狭い。
これだ、これ、トラウマになっている階段の角度は!
でも50mで終了。
そこは峠の広場になっていて山頂方面と「東京湾を望む展望台」との分岐点だった。
10mほどの緩い階段を登って展望台へ向かう。
午後12時50分、登り切るとぶわっと視界が開けた。
突然広がる真っ青な海。
その先には――。
心行くまで裾野を広げた富士山のお姿が!
遮るもの一切なし。
100%富士山。
真冬なのに南国のように鮮やかなブルーの海原に直接ドーンっとそそり立つ真っ白な霊峰。
これまたデカい。
逆さにした横浜中華街の肉まんを手のひらに置いて腕を伸ばして見たくらいのサイズ感だ。
こんなに贅沢な場所が千葉県にあったとは!
これで鋸山の人気に納得。
たぶん、過去2回はここをスルーして登頂したのだろう。
なぜなら山頂からの景色が一番という先入観があったから。
だが、ここに寄らないのは鋸山の魅力の半分を知らずに帰るようなものだ。
望めるのは富士山だけではない。
真後ろ以外丸見え270度の大展望。
富士山の左側には箱根の山々↑
続いて伊豆半島(天城山など)、伊豆大島。
右側には丹沢山地、奥多摩の山々、横浜の摩天楼などを見渡すことができた(写真無し)。
その富士山を中心とした一列感の爽快さは半端ではない。
レベルは違うが、松本市周辺から見渡す北アルプスに似たズドドドドーっ感だ。
だからだろう、多くの人がここで一休みしていた。
展望台も広場になっていて真ん中に円状のベンチが設置されており、15人くらいの登山者で賑わっている。
最前列をなんとか確保して我々もランチ。
天気予報では風速9m。
長髪なら常に視界が遮られ、砂浜なら目を開けていられない。
だが実際は4~5mだった。
全身に風圧を感じるレベルだが、ぽかぽか陽気と大絶景のおかげで皆さん気にしていないようだ。
きらきらと照り返す海面の眩しさも真冬を忘れさせてくれる。
あまりに気持ちよくて、の~んびりとドッグフードとカップラーメンの用意をしていたら、「ゴールデンドゥードルですか?」と女性に声を掛けられた。
2家族で初めて登ってきたという。
大人たちにもみくちゃにされて上機嫌の泰楽。
それを2歳くらいの息子ちゃんが指をくわえて見ていた。
「触れる?」
もみじサイズの手のひらが伸びる。
「どうぞ、どうぞ」と泰楽が鼻先をちょんっ!
男の子は、大仕事をやり遂げた表情になった。
結局、東京湾を望む展望台には12時50分から13時40分まで50分も居続けてしまった。
13時を過ぎると誰もいなくなる瞬間がたびたび。
みんな12時のランチタイムにこだわるんだなぁ。
さて、視覚もお腹も満足したので山頂へ出発。
案内板によると距離は400mしかないらしい。
時速2㎞でも12分。
ところがこれが意外に面倒。
アップダウンが多いのだ。
そして肝心の山頂は森に囲まれていて開けているのは90度くらい。
しかも赤城山や那須岳方面で、遠過ぎてなにも見えなかった。
だから過去2回の印象はそれほどよくなかったのか。
記念写真を2枚撮って、さっさとUターン。
東京湾を望む展望台を通り過ぎて分岐点を日本寺方面へ曲がる。
ここからは石切り場エリアとなる。
ここからが見どころが多くて楽しい。
石切り場は全部で3つくらいあるのだが、それぞれにはっきりとした特徴があって飽きないのだ。
どれもが見上げると、切り出した空間に吸い込まれるような迫力がある。
そして奥から冷たい風が吹いてくるような錯覚に陥る。
凹んでいるのに立体的な高層ビルに見えるのはなぜだろう。
さらに細部まで目を凝らすと
「どうしてあんな高いところにレンガが積み重なっているの?」
「うわっ!あんなところに仏像が彫ってある」
といったそれぞれに発見がある。
さらにジブリ映画に出てきそうな錆び付いた重機が打ち捨てられた空間も。
鋸山の石切りは1985年まで行われていたという。
ここでは時間が停止しているようだ。
ちょうど無人になる瞬間があり、泰楽と二人で昭和の時代にタイムスリップした感覚を覚えた。
少しも飽きる時間がなく日本寺北口に到着。
ここから先に進むには大人700円・子ども400円の拝観料が必要になる。
ワンコもリードにつないでいれば拝観可能だ。
はじめて来た人は、有名な地獄のぞき↑もあるのでぜひ入るべきだろう。
だが私は以前行ったことがあるし、時間の都合もあるので、ここから下山することにした。
さぁ、いよいよトラウマになっている関東ふれあいの道だ。
歩き出した途端、頭に「?マーク」が。
足元はコンクリートの階段ではなく、自然な登山道。
左右は見通しがよく明るい。
おまけに富士山の展望も続く。
「???。下りでこのコースを使うのは、かなりいいんじゃない?」
いやいや、そんなはずはない。
すぐに階段地獄の入口が待ち受けているはずだ。
ところがいつまで経っても現れない。
それどころか綺麗な水洗トイレ(水道あり)まで登場した。
登山道にこんな近代施設があるのは、千葉県ではここだけだろう。
その先には、富士山がどーんっと眺められる展望台(観月台)もあるではないか!
記憶では地獄の階段は1㎞くらい続いていた。
だが、この時点で登山口まで300m……。
結局、階段はたった100mだった。
しかもそんなに急ではない!
たぶん最近、登山道を再整備したんだと思う――。
4時間・5.2㎞でゴール。
そのうち撮影含む休憩が1時間40分なので実質2時間20分。
意外に楽!
鋸山からの富士山の眺望は千葉県内では歴代ナンバーワン!
そして、複数ある石切り場のあの空気感は唯一無二、ほかの山では決して味わえない。
今回の山行で鋸山の評価はジャンプアップしました。
ただし、次回からは山頂には行かずに今回のコースを辿ると思う。
あと、空気が澄んだ真冬以外、富士山はあまり見えないんじゃないかな。
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