風速20mでも超絶の八ヶ岳と甲斐駒ヶ岳を堪能
2021年1月30日 てんくらA -4℃風速6m 実際は快晴-6℃&風速20m
どうしても大菩薩嶺(標高2,057m)へ登りたい。
最近分かったことだが、百名山は頂上からの景色がいいだけではなく、登る過程も楽しい。
以前は頂上からの絶景だけを求めて山に登っていたが、最近はコースが単調だったり、途中で展望が開けるようなところがないとがっかりするようになった。
要するに贅沢になってしまったのだ。
そして大菩薩嶺は百名山。
ヤマレコなどの記録を確認すると、やはりコース自体が魅力的だ。
湖越しにゆったりと構える富士山を眺めながら、長い稜線を歩けるようだ。
だが大きなネックもある。
それは雪が少ないことだ。
大菩薩嶺を含む秩父の山々は、2000m級であっても比較的緯度が低い位置にあるため、毎年降雪量が少ない。
雪が少なければ犬は喜び駆け回ることもない。
なので今シーズンは「いつ大菩薩嶺に大雪が降るのだろう」とじりじりしていた。
そして1月23日、ついに雪が降り始めた。
しかも25日まで降り続いたようで、積雪は30㎝を超えたらしい。
行くしかない!
ところがここで大きな壁が立ちはだかった。
風だ。
秩父どころか首都圏から日帰りで行ける山はどこも大風の予報。
八ヶ岳なんて風速30mを超えるらしい。
もう地球上とは思えない。
それでも大菩薩嶺は風速12mの予報(てんくらC)。
前回那須岳(茶臼岳)で風速20m(推定)を経験した身としては、
「風速15m以下なら天気さえ良ければ楽しいでしょ」
と考えた。
ついに大菩薩嶺に登れる。
期待でパンパンに胸を膨らませて4時半に起床。
いつまでも目がしょぼしょぼ状態の嫁さんと、泰楽(ゴールデンドゥードル)をクルマに放り込み、5時半にアクセルを踏んだ。
ちなみに泰楽は毎朝7時半に
「おはよう」
と声をかけるとしっぽどころかお尻全体を
ぶるんぶるん
に振って
「父ちゃん、朝が来るのが待ち遠しかったよ。
おはようございます! おはようございます! おはようございます!」
と永久に頭突きとジャンプを繰り返すが、7時より早く起こすと、狛犬のようにピクリとも動かず、かすかに目を開ける状態が続く。
どうやら低血圧らしい。
さて、クルマは順調に中央自動車道を突き進み、6時50分に談合坂SAでトイレ&ドッグランに寄ることにした。
ついでに、てんくらもチェックする。
👀
👀
👀
えっ!?
ちょうど見晴らしのいい尾根道を歩いていると思われる午後12時の風速が
18m
の予報になっている!
さすがにこれは無理。
たとえ快晴で見晴らしが良くても、すっ飛んですってんころりで鼻血がブー、では楽しくない。
またもやご縁がなかったということか……。
急遽、こんなこともあり得るだろうと、代替候補に挙げていた日向山(標高1660m)へ向かうことにした。
ここは南アルプスの甲斐駒ヶ岳の展望台として知られている。
しかもこの日は雪が積もっているようで、天候もてんくらAの風速6m。
ヤマレコの情報では、急登はなく、のんびりコースのようなので、「雪さえあればいつかは登りたい」と思っていた山だ。
9時10分、駐車スペースに到着。
矢立石登山口への道は手前200mくらいで冬季通行止めなので、その手前に停める。
9時26分に登山開始。
この時点(標高1120m)の積雪は5㎝。
ちなみにこの日の泰楽はゴーグルを初装着。
嫁さんがインスタで知り合った方によると、犬でも紫外線で白内障になる、しかも雪山は照り返しで紫外線が増幅されるので、UVカット効果があるゴーグルを付けた方が良いとのこと。
ネットで調べるとそのとおりだった。
そしてその方にお勧めしていただいたゴーグルがRexSpecsだったので購入した↓
|
なので「高いなぁ~」と思いつつRexSpecsにした。
サイズはXLで、やや大きいくらい。
泰楽はゴールデンドゥードルとしてはやせ型で体重31kg。
サイズで迷ったら視界が広い大きい方を選んだ方がいいらしい。
結果は正解。
最後まで外れることなくウルトラ過酷な状況でも活躍した。
(くわしくは後述)
さて、ゆるゆるコースと聞いていたが、実際は中程度の傾斜が九十九折りにずっと続く。
なぜか身体が重い。
さらに前日にもうっすら雪が降ったようで、つぼ足だと一歩一歩がキュッキュッと滑る。すぐにアイゼン装着。
時々八ヶ岳や富士山、甲斐駒ヶ岳をチラ見できる広葉樹林が続く。
落葉しているので明るい森だが、やや退屈。
なので写真はない。
ちなみに今回からアップルウォッチで行程の進捗度合いが分かるようにした。
元々ヤマレコのアプリで地図表示はできていたが、今年に入ってさらに加わった機能だ(世界初!)。
超便利。「あぁ~、退屈」と思い始めたときに「なんだ、あと少しで頂上じゃん!」と元気が出た。
さて、標高1400m辺りから積雪が10㎝に。
1600m辺りで稜線に出るといきなり30㎝前後になった。
この辺りから頭上で
ごぉぉぉぉぉーっ!
と轟音。
ひしひしと胸に重なり始める嫌な予感。
三角点も森の中。
でもそこからトレースの先を見通すと、真っ青な空が見える。
森が途切れているようだ。その空に向かって歩を進める。
最後の上り坂の先に紺碧の空が広がっている。
ドキドキ。
ワクワク。
登り切った向こうには、どのような景色が広がっているのだろう?
この瞬間が山登りのクライマックスだ。
三角点から進むこと約200m。
ついに展望台(雁ヶ原・標高1644m)へ出た。
森を抜けると突然木が1本も生えていない大雪原だった。
さすが天空のビーチをいわれていることはある。
そして雲一つない大空の向こうに八ヶ岳がどっかーん!
左の蓼科山から右の編笠山まで全体を1枚の絵画のように一望できる。
今まで入笠山、守屋山、飯盛山など八ヶ岳の展望台といわれる複数の山に登ってきたが、ここが一番美しく見えた。
八ヶ岳の左には霧ケ峰、美ヶ原。
右には木々に遮られつつも金峰山、茅が岳、富士山。
そして振り返ると甲斐駒ヶ岳が、どアップで見下ろしてくる。
だが実際は嫌な予感も的中……。
ウルトラ暴風地帯だったのだ。
またもや推定風速20m。
しかも雪の下はビーチゆえに細かい砂利で、これが顔面に散弾銃のように突き刺さって来る。
正直、前回の那須岳より辛い。
だが、景色は絶品。
もっと甲斐駒ヶ岳へ近づきたい。
それには傾斜60度&谷底まで数百mはありそうな斜面をトラバースしなければならない。
でも絶景のために勇気を振り絞り、リードを握りしめて渡った。
するとそこは甲斐駒ヶ岳&奇岩ゴロゴロのまさに特急絶景ポイント。
そこでも大撮影会を開始。
撮影中も砂がサングラスをくぐり抜けて目に入りまくる。
痛いっ! 痛いっ! 痛いっ!
ランチは風を大幅に軽減する雁ヶ原の脇の森の中で。
モツ煮込みうどん。
でも風でぜんぜん沸騰しない。
午後1時30分に下山開始。
ヒップそり試みるが、根っこが出ているところが多くて最長で10m。ほとんどが5m。
しかも積雪が足りなくてお尻が痛い。
それでも、泰楽はそれなりに楽しんでいた。
14時30分ゴール。
帰路はたった1時間。トータル5時間10分、5.8㎞の山行でした。
もう、てんくらの風速は信用しない。
ちなみに翌日に人間用のゴーグルを買いにモンベルへ行き、てんくらのことを愚痴ったところ、ヤマテン(山の天気予報)というサイトを教えていただいた。
https://i.yamatenki.co.jp/
予報している山頂が59しかなく、しかも翌日までしか分からないという大きなネックはあるものの、バツグンの的中率らしい。
今度からこちらを利用したいと思う。
※この日からヤマテンも利用。だが2024年4月現在は、てんくらの方が当たる確率が高いと思っている。