あみだくじの木の根に頭を抱える……。
名山は登るより間近で眺める方が好きだ。
富士山はその代表。
谷川岳も然り。
あの一ノ倉沢から仰ぎ見る猛々しい山肌は、
季節を問わずいつ眺めても神々しい。
また、この山はめちゃくちゃ雪深い割には、
ワンコも乗せられるロープウェイで比較的簡単に登れるらしい。
それゆえ大人気。
天気に恵まれた日には山頂まで行列ができるようだ。
なのでワンコ連れには不向き。
そういった訳で谷川岳を間近に眺められる山頂を探したところ、
まさに理想の山を見つけた。
それは白毛門(しらがもん・1720m)。
ここは一ノ倉沢から谷を挟んだ向かい側にあり、
その山頂から谷川岳が、どっかーん!と見えるらしい。
ところが大きなネックも……。
その道中は急登一直線。
あまりのキツさにピッケルを持った人間でも途中敗退続出。
ワンコ連れなんてとんでもなさそう。
だが、諦めるのは早い。
その途中の松ノ木沢の頭(まつのきさわのかしら・1484m)までなら何とか行けそうだ。
そして2019年12月29日。
「てんきとくらす」(山頂天気サイト)を確認すると、
いつも荒れ模様の谷川岳方面が珍しくA(快晴)予報。
午後12時時点の予報は最低気温‐5℃・風速2。
まさに理想のコンディションだ。
このチャンスを逃すわけには行かないと、
今シーズン初の雪山登山に出かけた。
午前8時50分に無料駐車場に到着。
クルマはすでに11台。
着替えて9時20分出発。
最初の500mは森林の中&ジグザクのコース。
前日に降雪があったようで積雪はモフモフの30㎝。
なのですぐにアイゼンを装着。
傾斜は30度くらいありそうだが、
九十九折なのでそれほどキツくない。
サクサク進む。
予想外に気持ちいい~。
そしてスタートして50mで下山者に会う。
下山中、しかも気温‐3℃なのに、なぜか半袖姿。
(その理由はあとで分る)
「松の木沢の頭まで何時間くらいですか?」
「う~ん。きょうは雪がふかふかで歩きづらいから2時間強ですね」
ならば12時前には到着する。
普段下山が遅くなって冷や冷やすることが多いのでホッとした。
とはいえ、嫁の体調が万全ではなかったので、
彼女を先頭にゆっくり進む。
ところが雪に目がない泰楽(ゴールデンドゥードル)は、大はしゃぎ。
「母ちゃん、なにトロトロ歩いてるの? オレが先に行っちゃうよ!」
と追い抜いて振り向きドヤ顔する。
しかし、その後はずっと一直線の急登に。
しかもあみだくじ状に木の根が張って行く手を阻む。
所々の傾斜は60度くらいに。
泰楽、一気にテンションダウン。
時々立ち止まり、下山者とすれ違うとすり寄って一緒に下りようとする。
(リードは付けています)
仕方なくお尻を押しながら登る。
私もなぜかペースが上がらず。
だが、常に左側に谷川岳が見えるので気持ちが折れずに歩を進める。
結局3時間20分かかって登頂。
気温‐5℃&薄手のベースレイヤー1枚で汗だくだく。
しかし、登った甲斐は大いにアリ!
山頂からは一ノ倉岳と谷川岳がどどど、どっかーん!
そこから反時計回りに
浅間山、榛名山、赤城山、武尊山、日光白根山、至仏山、
そして登山道がつながる白毛門
がぐるりと並ぶ。
ランチはチキンラーメンをトマトソースとグリーンカレー風味に。
具は野菜炒めセット+軟骨つくね+とろけるチーズ。
妻はトマト風味が好みだったようだが、
私には少々酸っぱ過ぎた。
なので味はグリーンカレーに軍配。
だが二人で具沢山&2袋は多すぎた……。
お腹たぷたぷの帰路。
最初の300mは一気に急降下のボブスレー。
所々45度くらいの傾斜。
妻がGo For Itで突っ込むのでついて行ったが、実はかなりの恐怖。
体感スピード時速60km。
あまりの速さ&雪面凸凹で顔面雪だらけになり
どどどどど~~~っ!
と滑り落ちていく。
でも、1回下りきると雪がふかふかなのでケガをすることなく爽快!
あっという間に半分くらい下りられた。
ところがどっこい。
その後は、あみだくじ根っこに四苦八苦。
登るときはあまり感じなかったが、上から見るとまさに崖。
嫁は下りが得意なのでホイホイホイ!と下りていく。
(慣れた人はこれで汗だくになる)
泰楽も前半は頭を抱えていたが、
嫁が無理やり足を引っ張るとぴょんぴょんぴょんと下りられるようになった。
一方で私は最後までびくびく・オロオロ……。
といった感じでなんとか下山。
4.3km・6時間38分
の山行でした。
途中ランチがあったとはいえ、標準タイムは4時間。
激遅い。
負け惜しみを言わせていただくと、
谷川岳方面は、ほかにもっと楽で絶景の山(三国山や日白山など)があるので、
ここにあえて行くことはないかなぁ。
ちなみに白毛門の山頂に立った方によると、
松ノ木沢の頭では見えなかった頂の向こう側の山脈が見通せるので、
感動は倍だそうです……。