犬連れでなくても楽しいコースを厳選!
年末が近づいてくると気になるのが雪山だ。
わが家の愛犬(バーニーズマウンテンドッグ・ゴールデンドゥードル)は、雪山に連れて行くといきなり目が輝く。
そして
「お父しゃん、走っていい?」
とその瞳で見上げてくるので
「いいよ」
と答えると水を得た魚のごとくぴょんぴょんと跳ねまわるのだ。
入笠山人間にとっても雪山は別天地だ。山頂から見渡す絶対的白無垢の峰々と陶酔的紺碧の鮮やかなコントラストは、空気が研ぎ澄まされた真冬でしか味わえない。
三国山
雪山の醍醐味は、千尋の谷のごとく奥深い。
入笠山(長野県)のようにゴンドラに登って簡単に味わうこともできるが、日本にはワンコと登れる雪山が無数にあり、その一つひとつに独特の味わいがある。
だが人生は意外に短い。
体力あります。
ガソリン代あります。
時間だってあります。
という期間は多くの人にとってトータル20年前後ではないだろうか。
そしてワンコの命はさらに短い。
だから登る山は効率よく選択する必要がある。
2014年2月から犬連れ雪山登山をはじめ、今まで31の頂を踏んできた。
その中で特に初心者へお勧めできる雪山ベスト3(5座・関東周辺の山限定)をご紹介する。
これらの山々は、犬連れでなくても楽しいはず。
なお、「関東周辺」というのは、わが家が日帰りでしか行っていないからです。
対象となる雪山の基準は以下。
●千葉県北西部からクルマで3時間以内
●基本的に往復10㎞・6時間以内コース(休憩込みの実測)
●スノーシューとトレッキングポールがあればOK(12本爪アイゼンとピッケルは不要)
●はしご・鎖場無し(つまり大型犬OK)
ランキングの選出方法は、以下をそれぞれ5点、合計15点満点で点数を付けた。
「コースの手軽さ」(簡単に登れる)
「コースの楽しさ」(途中で飽きない)
「頂上からの眺望」(絶景を楽しめる)
上記3つの中で意外に差がつくのが「コースの楽しさ」だ。
頂上がいくら大絶景でも、途中が暗い森の中で、景色をほとんど楽しめないところだとリピートする気にはなれない。
まぁ、犬には関係ないけど。
(例:西岳(八ヶ岳))
また、多少登るのが辛いところでも、帰りに思い切り尻セードを楽しめるコースなら犬も大喜び。
「また登ろう!」という気持ちになる。
さて、ではランキングを発表します!
👀
👀
そして2位は同点で3つの山を選びました。
つまり合計5座です。
それでは!
コースの手軽さ:5 コースの楽しさ:4 頂上からの眺望:3 合計12点
3㎞・2.5時間コース(休憩込み、以下同)
赤城山の一つ。地蔵岳の魅力はなんといっても手軽さ。
東京のど真ん中から2時間ちょっと。
駐車場(赤城山第一スキー場)にはトイレがあり、休憩をしなければ2時間で往復できる。
しかも安定して雪があり、頂上からの景色も悪くない。
山頂手前の日本庭園のような霧氷地帯は広大な美術作品だ。
第2位:守屋山(標高1650m・長野県)
コースの手軽さ:5 コースの楽しさ:4 頂上からの眺望:4 合計13点
7㎞・5時間コース
地味な存在だがトータルバランスが優れている。
コースは基本的に森の中。でも落葉する樹木が中心なので冬季は明るい。
頂は西峰と東峰の2つ。眺望は東峰の方が優れていて八ヶ岳が間近に見える。
とはいえ、15分ほど離れた西峰からの眺めも絶品で、諏訪湖を見下ろせるうえに御嶽山も拝める。
復路の60%が尻セードで下れるのも魅力(他の登山者に要注意!)
第2位:赤面山(標高1701m・福島県)
コースの手軽さ:4 コースの楽しさ:4 頂上からの眺望:5 合計13点
6㎞・6時間コース
これまた穴場。
なぜなら多くの人は隣にある百名山の那須岳に登るから。
でも、わんこ連れにはそこがいい。
元スキー場の明るいコースを人混みを気にせずに登れる。
この山の最大の魅力は山頂を取り囲む霧氷地帯だ。
上の画像の枝先すべてが宝石のように輝く霧氷なのだ!
はるか彼方まで天然のスワロフスキーが続く。
こんな場所見たことない。
山頂からの眺めも立派。
那須岳・朝日岳・三本槍岳がどっかーん!でした。
第2位:黒岳(標高1792m・山梨県)
コースの手軽さ:5 コースの楽しさ:3 頂上からの眺望:5 合計13点
4.6km・3時間コース
富士山周辺ゆえに雪が積もる週末は年に1回程度。
しかも雪を求めて北側の日向坂峠から登るマイナーコース。
そのため、基本的に薄暗い。
頂上も森の中……。
ところがどっこい!
頂上脇の展望台からの景色は悶絶の大絶景!
樹林帯を抜けるといきなり河口湖越しの富士山が顔面に突き刺さって来る。
しかもすそ野からの全体像。
その嘘くさいほど完璧な構図は葛飾北斎が監修したとしか思えない。
そこでのランチは格別だった。
帰路の半分は程よい斜面で尻セードも楽しい。
そしていよいよ単独の1位です。
コースの手軽さ:5 コースの楽しさ:4 頂上からの眺望:5 合計14点
5㎞・4時間コース(黒斑山山頂まで)
駐車場は初心者に優しいトイレ付。
コースは「表」と「中」の2つから選択可能。
スタートは表コースがお勧め。しばらく明るくなだらかな樹林帯を歩く。
途中に北アルプスを臨める場所が2か所。
標高2300mを過ぎると木々にこんもりと雪が積もるメルヘンの世界に!
北八ヶ岳に似ている。
この樹林帯を抜けるといきなり浅間山がどかんっ!
ここから頂上までずっとこの雄姿を眺めながら歩ける。
多くの人は山頂で浅間山のガトーショコラを味わって下山するが、それはかなりもったいない。
ぜひその30分先の蛇骨岳へ向かってほしい。
メルヘン森を100m行くとやがてトラバースになり、浅間山が右側をずっとついてくる。
まるで落下してくる満月のような存在感。
ここがこのコースの極致ポイントだ。
右から左へ(晴れていれば日光白根山)武尊山、谷川岳、草津白根山、四阿山、火打山、そして威容を放つ北アルプスの壁を見渡せる。
さらにさらに目の前には迫りくる浅間山。
圧倒されて窒息しそうになった。
帰りは程よい傾斜の中コース。標高2000mくらいまでかなり尻セードできる。
1カ所ロングコースもあり。
他の登山者に注意!
これらベスト3(5座)は、すべて特に危険な場所はない。
体力的にも「100mなら全力疾走できる」または「10kmなら街中をウォーキングできる」と思える人なら問題ないだろう。
参考までに4位以下のランキングも紹介しておく。
ワンコ連れ登山で有名な入笠山の点数は、それほど高くない。
その理由は頂上まであまり景色が楽しめないこと、頂上に登っても見どころの南アルプスや富士山が意外に遠いこと、そして何より人が多すぎることだ。
この山ではちょっと苦い経験をしたことがある。
数メートルだけ二股に分かれて、すぐに合流するコースを登っているときのこと。
60歳くらいのおばちゃんが下山してきたので、リードにつないだ犬を覆い隠すような体勢で立ち止まった。
すると彼女は、わざわざこちら側のコースを進んできて、すれ違いざまに
「けっ!」
と吐き捨てるような声を発した。
たとえどんなにかわいらしい犬でも嫌いな人は嫌いだ。
入笠山は犬と一緒にゴンドラに乗れるので愛犬家に人気だが、そんな人がいることも忘れないようにしたい。
また、頂までのラスト約200mは、かなりの急登なので甘く見ない方がいい。
あと、北八ヶ岳の北横岳もロープウェイで山頂近くまで行けるので人気だが、こちらは「遠くて日帰りできない」「ロープウェイは犬連れ不可」なので選択肢には入れていない。
中級以上になって下から隣の縞枯山へ登るのは可能かもしれない。
(下りだけ犬無しで経験済み)
最後に犬連れ登山で絶対に守るべきこと。
・他人がいる場ではノーリードにしない
(無人でも完璧に呼び戻しができるまでノーリードにしない)
・排泄物は必ず持ち帰る
これができない人が目立つと、胸を張って犬を連れていけなくなるので何卒よろしくお願いします!
※ノーリードについて
以前、那須岳で人混みの中をノーリードのゴールデンレトリバーと歩く人がいた。
しかもその犬は飼い主の側にしっかり付くことなく、半径10mをウロウロ。
ときどき「かわいい~」と声を発する登山者の手をクンクンしに行っている。
おそらく飼い主は
「うちの犬はしつけのできていない人間の子どもよりはるかにマシだぜ。絶対に噛まない、吠えない」
と思っていたのだろう。
でも、「噛む」「噛まない」は問題ではない。
前述のように「犬は大嫌い、見るのも嫌だ」という人も少なからずいるのだ。
犬連れ登山をするなら、そのことをわかってほしい。
ブーツなど犬連れ登山グッズについてはこちら↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/5835