不動滝コースは厳重に注意です……。
2025年4月26日、午前は久慈川をカヌーでのんびり下った↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/9700
川旅は、ツツジは無かったものの十分に満足できた。
でも、それでゴールデンウィーク初日を納得したらもったいない。
なぜなら、ここ奥久慈エリアは登って楽しい低山の宝庫だからだ。
昨年「低山ナンバーワン!」宣言をした奥久慈男体山は、じっくり楽しみたいので明日に取っておく。
午後スタートとなるこの日は、より手軽に登れそうな篭岩に登ることにした。
ちょうど登山口近くにある「つつじヶ丘」が見頃を迎えているようなので、セットで行ってみようと思う。
こんどこそ満開のツツジを拝めるのか!?
篭岩は山頂ではない。
だが、直下にあるはしご場が空前絶後の恐怖感で、そこを乗り越えた先にある岩の上からの風景は絶品らしい。
なお、篭岩の先に篭岩山という山頂もあるが、今回は時間の関係で篭岩までとした。
さて、カヌー後は近くに唯一あるコンビニ(ファミマ)で昼食を取った。
その後、ゴールの河原から7㎞離れたつつじヶ丘へ向かった。
このカヌーと登山の親和性の高さが、久慈川の最大の魅力だ。
つつじヶ丘には一般の駐車スペースが5台分、登山者用のスペースが3台分あった。
その脇に立派なトイレもあり。
つつじは8部咲きといったところ。
目が潰れそうなほど鮮やかな朱色の花々がトンネルとなって迎えてくれた。
奥には展望台もあった。
これから登る籠岩や明日登る予定の奥久慈男体山、そして茨城県の最高峰である八溝山(標高1022m)などを見渡すことができた。
(急いでいたので写真ナシ。
レポートに熱がないのは、人工的なツツジには感動しないようです。アラフィフになって気づいてすみません――)
それでは、今回のメインイベントである篭岩へ。
つつじヶ丘から車道を200mほど歩くと、篭岩への登山口がある。
メジャーなのは、ここをまっすぐへ進んで不動滝方面に行き、篭岩経由で右の階段を下りてくるコースらしい。
だが、篭岩に到着するには10mくらいのはしごを登る。
泰楽は1万%無理。
なので、嫁さんと交互に登る予定だが、登らないと先に進めないコースならピストンすることになる。
その場合、難易度は右の階段コースの方が低いらしい。
それにこちらは途中で菜の花や桜が咲き乱れる里山がある。
だから今回は右側コースから登ることにした。
登りはじめは、急な階段でぎょっとした。
だが、それは20mくらいで、すぐに普通の傾斜の登山道になった。
とはいえ、端々に抱えられない程大きな岩がゴロゴロ。
そんなところが奥久慈らしい。
このコースは山桜の大木↑だらけだった。
しかしながら満開は2週間ほど前の模様。
それに山桜のほとんどは枝先で花を咲かせる。
したがって、根元からはあまり楽しめない。
山桜は、少し離れて山肌全体を眺めて楽しむものだ。
単調なコースを黙々と歩く。
1㎞ほど進むと里山に出た。
たしかに菜の花や桜の木がぶわっと広がっていたが、見頃はとっくに終了していた。
このころから雨がぽつぽつ。
天気予報は、14時から16時の間が「折畳」。
5年ぶりくらいにレインウェアを着る。
その後、再び森の中に入る。
しばらく進むと篭岩展望台に到着した。
遠くは煙っていて山座同定ができない。
まぁ、富士山や北アルプスが見えるわけじゃないからいいか。
展望台の手前の東屋で5分ほど雨宿り。
すると見る見るうちに晴れてくるではないか!
篭岩へのルートは展望台の脇から伸びていた。
いきなり鎖の下り。
今までのんびり歩きていたので緊張感がぐっと上がる。
10mくらい下ると、ついに現れた。
篭岩に登るはしごだ。
ほぼ垂直に10m程そびえ立っている。
こんな建築現場にあるような、はしごらしいはしごを山で初めて見た!
こりゃ泰楽は無理だ
冒険家精神あふれる嫁さんがトップバッター。
岩壁を目の前にすると、毎回目を輝かせる彼女。
これは喜んでくれるはず!
私と一緒に待つ泰楽が、はしごを見上げてずっと「ぼくちゃんを置いて行っちゃうのですね!?」と鼻をクンクン鳴らす。
私がいくら「お父さんがここにいるよ」と話かけても無視――。
嫁さんの姿が岩に隠れて1分後。
突然頭上から「うわわぁ~」と悲鳴と驚嘆が混じるような声がこだました。
「ちょっと、泰楽をつないで早く来て!」
緊急事態!?
大至急、泰楽のリードを木につなぎ、「お母さんが大変らしい。大人しく待つように!」と泰楽に言い聞かす。
泰楽は目を丸くして私を見上げている。
私は目を合わせて力強くうなずき、はしごを登りはじめた。
ここでびっくり仰天
はしごが揺れる揺れる。
左右5cmくらい常に揺れる。
本当にこれで大丈夫!?
ドキドキするが妻が待っている。
行かないという選択肢はない。
泰楽は今どんな表情をしているのだろう?
だが、下を見たらお漏らししそう。
上だけを見つめて登る。
やっと10m登り切ったと思ったら、さらにちょっと傾斜がゆるくなったはじごが3mつながっていた。
実は私は高所恐怖症偏差値65なんです。
アウアウアウ……
這うようにしてやっと平地に到着すると、嫁さんは10m先に立っていた。
奈落の底を見下ろしながら――。
これは半端ない高度感。
彼女が立つ足場の幅は70cmくらいしかない。
嫁さんは「すごいでしょう!」と振り向いた。
たしかにここは人類が立つ場所ではない。
手前は多少広くなっているのでぐるっと見渡す。
岩壁にしゃがんだら入れそうな穴がボコボコ開いていて、へんてこりんな空間だ。
「誰が最初にここへ登ろうと思ったんだ?」とぼんやり考える。
はっと我に返り「これはあんた好きでしょ?」と声をかけた。
嫁さんは思い切り首を振った。
「いくら何でも怖すぎる。まずはしごのぐらぐらが怖い」
常々彼女を命知らずの冒険野郎と思っていたが、自分なりに「これは絶対イケる!」と確信してから行動しているそうだ。
そしてここは許容量オーバーらしい。
「でも来てよかったね。ここは人生で一回は来た方がいいよ!」と満足げに下りて行った。
さて、心配していたこの先のコースは、はしごの上ではなく、下に続いていた。
したがって、泰楽でも行けそう。
だが、ここからは想定外の連続だった!
篭岩から不動滝方面は雰囲気が一変。
どこにも気を抜く場所がない。
とにかく急斜面と鎖場の連続。
雰囲気的に山梨県の百蔵山↓の下りを思い出す。
https://large-dog.iehikaku.com/archives/2614
違うのは、岩壁のトラバースもあるところ。
ここは泰楽のリードを握りしめて慎重に進んだ。
とはいえ、この程度は千葉県の小鋸山↓などで経験済み。
https://large-dog.iehikaku.com/archives/8838
泰楽は、私たちの心配をよそにアイベックスのように軽やかに進んだ。
しかしながら、私たちは絶望感を味わうことになる。
想定を上回る難易度の渡渉が発生したのだ。
私たちの考える渡渉は、ゴアテックスのミドルカットならば濡れない深さ、またはぴょんぴょんぴょんと直線的に岩を伝って川を横断するコースだ。
ところがここは、そんな親切心は一切なかった。
平気でゴルジュの壁面を歩けと求めてくる。
その手前で私たちは絶句。
みんなどうしているの!?
水深15~30cm。
落ちたら発熱確定だ。
へっぴり腰で岩を掴んで進む。
そんな時に無敵となるのが泰楽だ。
濡れることに一切躊躇はない。
口笛を吹くような表情で、ざぶざぶと私たちについてくる。
そこをやっと抜けたと思ったら、目の前にあったのはピンクのリボンと2mの垂直岩登り。
その壁面は、沢の水でびちょびちょ。こんなの滑るに決まっているじゃない!
段々と腹が立ってくる。
それは嫁さんも同じだったようだ。
「これって登山じゃないよね? キャニオニング(沢下り)だよね? 私ウェットスーツ着ていないんですけど!」と岩を睨みつけていた。
幸いロープが設置されていたので、彼女が先に登り、泰楽は私がお尻を押して登らせた。
ほっと一息――。
ではなかった
ここからは苔がたっぷり乗った岩をぴょんぴょんと渡ることになる。
その際に、よろっとしたので岩壁に手をついたらちょっぴり出血。
そして行きついたところはなんと!
10mの高さの滝の上だった――。
どう考えてもおかしい。
まともな登山コースではない。
登山道ではなく、完全に修行道でしょ。
どうしてヤマレコの正式コースに入っているのだろう?
とはいえ、過酷なのはここまでだった。
滝の上からは脇に一般的な登山道が伸びていて、無理なく滝壺まで下りることができた。
泰楽は、そこでいきなり木をくわえてドヤ顔をはじめた。
確かに今日のコースを一番楽しんだのはオマエだよ。
その先は道路を通って、つつじヶ丘の駐車場まで戻ってきた。
2時間55分・3.5㎞の修行でした。
そう言っても、間違いなく篭岩は一見の価値がある。
次回行くなら里山コースをピストンかな。
ちなみにコース中につつじは、ほとんどなかった。
この日は、久慈川の河原でキャンプ。
純米大吟醸とおでんでいい気持ちになり、そろそろ熱燗、と思っていたら雨がざぁ~
しばらくデリカの後ろのドアで宴会を継続。
21時を過ぎて気温6℃。
冷えてきたので21時27分に就寝。
翌日は、かつて低山ナンバーワン宣言を出した奥久慈男体山に登る予定だ!
つづく
コメント