犬連れ登山「手軽なのに真っ赤な紅葉も味わえる穴場の山」石尊山(群馬県)

真っ赤に色づく紅葉地帯が2ヵ所も!
11月18日: 石尊山 てんくらA

「生瀬富士(茨城県)の紅葉は血の色の如く赤い」
ヤマレコにこのような記録があり、1年前からその山へ登る計画を立てていた。
初日に生瀬富士、翌日はすぐ近くを流れる久慈川をカヌーで下って、紅葉をお腹いっぱい味わうことを夢見ていたのだ。

ところがいざ紅葉の季節になってみると、どこもかしこも猛暑の影響で色づきが遅いらしい。生瀬富士なんて未だに春のごとき緑に覆われているそうだ。

11月18日現在で紅葉を楽しめる山はないか?
「ブログ 登山 関東 紅葉」
で検索し、画像のサムネイルを確認する。

すると、ひと際真っ赤な登山道が見つかった。
石尊山(標高1049m)

知らない――。
ブログを読んでみると、手軽に登れる低山で、紅葉の穴場だという。
ヤマップ等で現在の様子を調べる。
先週あたりが紅葉のピークだった模様。
まだ間に合う!

グーグルマップで場所を確認。
すると10年近く前に何度かカヌーを漕いだことがある四万湖のすぐ近くではないか!
そのことを知った瞬間、頭の中でイメージが膨らむ。
久慈川でカヌー=寒い 四万湖でカヌー=静水なので寒くない。
石尊山=紅葉の期待大 四万湖=紅葉のすばらしさは体験済み

10月まで「流れのない湖なんて漕げるか!」というのが、嫁さんも含めた家族全員の意見。
だが11月に入って、いつの間にか「こんなに寒いのに川なんて漕げるか!」になっていた。

四万湖の紅葉の様子を調べる。
2週間前がピークだった模様。
でも個人的な狙いはモミジ。
後半戦こそ赤くなる。

それに最近の四万湖は、吉永小百合さんのCMの影響で大人気らしい。
でも寒くなった今なら静かな環境で漕げるかも。
犬連れにとっては好都合。
ということで今週末は
「日帰り石尊山&四万湖の紅葉三昧ツアー」
に決定。

8時10分、駒岩公民館駐車場(無料)に到着。
ぎりぎり5台停められるスペースに5番目で停められた。
穴場でよかった~。

8時25分、登山口に向かってGO。
真っ青な空が広がる快晴。
気温2度。
今年初めて吐く息が白い。
15時から降雪の予報。
四万湖ツアーも考慮すると、それほどのんびり登れない。

最初の200mくらいは住宅地を歩く。
ちょっぴり迷っていると、石材店のおばちゃんが出てきて「こっちよ~。あら大きなわんちゃんね!」と脇の小道を指さしてくれた。
ありがとうございます!

おかげで無事に登山口(標高550m)へIN!

登山道はしっかり草刈りされ、「これでもか!」というくらい案内板が立てられていた。
先ほどのおばちゃんといい、登山者ウェルカムの姿勢がうかがえる。
とはいえ、そこは低山。
スタートからしばらくは笹藪を切り開いた杉林コースで、地面はジメジメ。
この日の先行者は10人もいないはずだが、大人気だったら田んぼの様になっていたかも。
それに春から夏はヤマビルが出るそうなので秋がベストタイミングの山なのでしょう。

また、コース自体の傾斜は中程度で九十九折はなくて基本的に真っすぐ。
なのでけっしてスキップして登れるような感じではない。
キツさ的に黒檜山(赤城山)を思い出す。

そんな杉林を1.2㎞進んだところで鳥居とご対面(標高750m)。

ここから広葉樹林に突入。
日差しが地面まで届いて一気に明るい雰囲気になる。
周辺を見回すとほとんどの樹木が落葉している。
やはり紅葉終了か?

でも、モミジに限ってはオレンジに色づいており、緑も多い。

それにここのモミジは背が高い。
どれも10m以上ある。
なので360度視界が遠くまで抜けて気持ちがいい。

ここからは、見渡す限りの落ち葉絨毯の上を九十九折に登っていく。


紅葉はぽつぽつという感じだけど、これはこれでいいか。

周囲にだーれもいないので、泰楽と木の棒を投げて遊びながら登る。
泰楽は「紅葉よりも棒」。


とにかく棒さえあればご機嫌で、どんな急登でもカモシカのように登っていく。

標高850mくらいで急にモミジの紅葉がなくなる。
これで終了?
諦めるしかないか……。

ちょうどその辺りで老夫婦が座って休んでいた。
5m手前で「犬が通りますが大丈夫ですか?」と声をかける。

奥さんが「大丈夫ですよ。大きいですねぇ」と笑顔を返してくれた。
すれ違いざまに「これなら熊避けになりますね」と旦那さん。
「そうなんですよ。今年は本当に怖いですからね」と私は泰楽の頭をポンポンする。

すると彼は「ここも危ないですよ」と私たちの背後を指さした。

「えっ!?」


そこにはくっきりと熊の爪痕が
幸い新しいものではなかったが、生々しい痕跡にぎょっとする。

ここでちょうど山頂方面からソロの男性が下りてきた。
大至急、一番大事なことを聞いてみる。

「こんにちはー。この先はもう紅葉ないですかね?」
男性は待っていましたとばかりに
「すぐその先が真っ赤ですよ。でも、それより先にもっと広い真っ赤な場所があります。もしかしたらモミジは今がピークかもしれません。去年より2週間遅い」

彼が指さす50m先に目を凝らす。
なんと木々の間から「赤」が見え隠れしているではないか!

老夫婦と顔を見合わせてニヤリ。
「ありがとうございます。ではお先に!」と両者に頭を下げ、脱兎の如く登る。

標高約900m。
そこに待っていたのはこれだ!

今回初の真っ赤地帯。

そこは尾根になっていて谷も真っ赤だった。

ここには真っ赤系のモミジが10本くらいあり、どれもピーク。
風が吹いてもほとんど落葉していなかった。

私はオレンジでは満足しない。
紅葉は真っ赤が一番。


ここのモミジが今回でもっとも赤かった。
まさに「血の如く!」

見上げて写真を撮り、泰楽を呼んで写真を撮る。
白い泰楽に真っ赤なモミジ。もうこれ以上のコラボがあるでしょうか!?


「いいね~」
「今度はこっちに行ってポーズしてみようか」
「かわいいねー!」

夫婦で親バカタイムに突入。
時間の経過をまったく忘れる。

しかし、その夢の世界も30mほどで終了してしまう。
だが、先ほどの男性いわくここは前座的存在らしい。
期待で頭がくらくら。

「あそこよりすごいところがあるってよ。どうする、どうする!?」
同じことを何度も嫁に問いかける。

「ホント、すごいね」

「いいとこに来たね」
最初は笑顔で返事をしてくれたが、しつこいので段々と無視。

仕方なく泰楽に
「こんなに赤い山はめったにないよな」
「そういやお前は犬だから赤が見えないんだっけ?」
などと話しかけながら進む。


泰楽は何度同じ話をしても笑顔で聞いてくれる。
優しい。

こうして落葉しきったさびしいトラバースの道を進む。

そして、そこはいきなり現れた。
標高950m。
モノトーンの世界に突然「ドンっ!」と登場する「赤の世界」


どんなに目を凝らしてもずっと「赤」「赤」「赤」

いったいどこまで続いているのだろう。
今まで「赤面積ナンバーワン」は妙義山だったが、ついに抜いた(密度は負けるけど)。
しかも背が高いので空間がより広く感じることができ、視界が突き抜ける分だけ青空と赤のコントラストが美しい。

これです、これ。ブログで見たのは。1歩、2歩、3歩。赤の世界に踏み入れる。
そこですでに「赤中毒」
もう思考回路崩壊

登山道を無視して、より赤い場所へ駆け下りる。
地面は、20㎝積もった落ち葉でふかふか。
より夢見心地を増幅させる。

「泰楽! 赤いよ」
「ここに座ろうか」
「いいねー、かわいいよ!」

何分写真を撮っていたか記憶にない。
やっと我に返ると、ところどころ淡いピンク色もあることに気がついた。


メグスリノキだ。
個人的にコシアブラのレモンイエローと並んで、このパステル系も好き。
赤一辺倒の世界でいいアクセントになっていた。

結局、この赤の世界は200mほど続いていた。
私に釣られて泰楽も大はしゃぎ。

標高1000mくらいからは、再びモノトーンに。
とはいえ、幅2mくらいの尾根道で、両側の景色が程よく見渡せて気持ちがいい。


個人的にはこのくらいの幅が怖くもなく、退屈でもなくちょうどいい。


ラスト30mは急登。
なぜこの角度でロープがない!?

それでも四輪駆動の泰楽は余裕。
先頭を歩く嫁のお尻をぐいぐい押す。
「いいぞ。もっと押せ!」

そしていよいよ頂上まであと3m、2m、1mーー。

うわお~っ! 

一気に視界が広がってまぶしいぃ~。
1時間50分、2.3㎞で登頂成功。


そこに待っていたのは360度の大展望だった。
山頂標識の裏から反時計回りに
雪を頂いた仙ノ倉山、白砂山、浅間山、榛名山、赤城山、日光白根山
などが見渡せた。

そのなかで浅間山の存在感は別格。
この日は残念ながら雲がかかって下3分の1しか見えなかったが、
圧倒的なデカさだった。

真ん中の富士山のような山容が浅間山。
本当は富士山も見えるらしいがこの日は100%雲のなかでした。


また、山頂から見下ろす山肌のグラデーションも美しかった。
黄色系は標高500mくらいがピークかな。
嫁さんは「赤」よりも「グラデーション」の方が好み。
私ばかりテンションが高いと申し訳ないのでよかったー。


下山時も真っ赤な紅葉を満喫。
行きとは日の当たり方が違うので、ぜんぜん飽きない。


この山は第一・第二モミジ地帯以外の場所でも、ぽつぽつとモミジが紅葉していた。

しかし、標高835mを境にきっぱりと緑地帯となった。
おそらく来週は標高800mくらいが色づくのだろう。
自然の法則はおもしろい。

帰りは「こんなに傾斜がきつかったっけ!?」と膝を心配しながらゴール。
3時間28分・4.7㎞の山行でした。

片道約2.3㎞だから杉林が半分を占めることになる。
だが、その先の紅葉が素晴らしいので感覚的には杉林は3割程度かな。

ちなみに杉林のなかにぽつんと色づきはじめたモミジは、「ズシンっ!」とくるインパクトがありました。

石尊山は、真っ赤な紅葉・山頂からの眺望・お手軽コースを同時に楽しめる貴重な山だった。
私の知る限りこのバランスはトップクラスだ。
(妙義山は犬連れでは山頂に行けないし、日向山は真っ赤な紅葉が少ない)
しかもロープ場など危険個所がなく、人も少ないので犬連れでも安心。
特にモミジフリークなら絶対に満足できる山だと思う。
ただし、意外に傾斜がきついので初めての登山としてはおすすめしない。

4.7㎞では満足しない人は、石尊山の先にある高田山まで行く手もある。
しかしながら高田山への道のりは、紅葉なしのうえにアップダウンを繰り返す細尾根。
すれ違った方から「犬連れは絶対無理よ」と言われた。

確かにわが家の場合は、自宅から3時間かけて4.7㎞の山登りでは物足りない。
なので大至急、四万湖カヌーへ向かうのであった。
さぁ、次は四万湖ブルーに映える紅葉を味わえるのか!?

つづく↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/5546

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