犬とカヌー「湖面から真っ赤な紅葉をたっぷり味わう」四万湖(群馬県)

50m進むごとにモミジ祭り!

石尊山登頂(11月18日)↓の続き。
https://large-dog.iehikaku.com/archives/5491

石尊山から移動すること約3km。
12時30分、四万湖の駐車場に到着。
ここは湖から近いだけでなくトイレ(ウォシュレット付き)もある!
ありがたい。

天気予報では15時から雪(11月なのに!)。
大至急ウェットスーツに着替えなければならない。
だが、クルマを降りると目の前に
「カヌー利用者は600m離れた中学校に駐車してください」
という看板が。

アウアウアウーー
私たちのカヌー(インフレータブルカヤック)の重量は20kg。
600mも担ぐのはご勘弁。
途方に暮れていると、隣にカヌーツアーのワンボックスが1台だけポツンと停まっていた。
その脇にガイドさんらしき人。
念のため聞いてみる。
「今からカヌーをするんですけど、ここに停めちゃダメなんですか?」
日焼けしたガイドさんはにっこりして
「きょうは大丈夫ですよ。誰も来ませんから」

よかった~。
そこであらためて周りを見回す。
おっしゃるとおりだーれもいない。
ただ「ぴゅ~っ」と北風が吹き抜けるのみ。

あれ? 最近の四万湖は吉永小百合さんのCM効果で、SUP&カヌー客でごった返しているんじゃなかったの?

「きょうはいくらなんでも寒すぎるみたいですよ。
おそらく午後はツアーのお客さんしか漕がないと思います」
とガイドさんは教えてくれた。

気温を確認すると10度。
確かに千葉県の真冬並み。
だが、真冬の九十九里で波乗りしている私にとってこの気候で水に入るのは日常。
余裕っす。

一方で嫁と泰楽は「漕ぎたい」と「寒い」が頭の中でぎったんばっこんしている模様。
余計に急がねば!

そこでふと最重要課題に気づく。
再度ガイドさんに聞いてみた。
「こんなに寒いと紅葉は終了ですかね?」

またしても彼はにっこり。
「ほとんど終わっていますが、モミジだけはいくらか残っていますよ」

セーフ!
急いで着替えて出艇場所へ向かった。
なお、一番近い駐車場からでも出艇場所まで100mくらいある。
なので中学校の駐車場からは合計700m


12時48分、いざ出発!

四万湖の最大のウリは真っ青な水質。
快晴の晩夏に漕いだときは、絵具を溶かしたような鮮やかな青さだった。
川下りをする人ならわかるかもしれないが、大井川(静岡県)よりもう少し明るいブルーだ。


本当にインチキ臭いほど青い(出典:写真AC)。

だが、晩秋で薄曇りのこのときは、ちっとも青くなく、濃い緑色をしていた。
だから余計に寒々しい。

とはいえ、今回の目的は色づいたモミジ。
水面は見ずに視線を真っすぐ向けて漕ぎ出す。
するとちょうど対岸に濃い黄色地帯があるではないか。


妻と泰楽の瞳もキラリ。
進め!


到着すると少ないものの、黄色とオレンジの葉っぱたちが待っていてくれた。
寒々しい風景のなかでありがたい。
しかし、その場所は漕ぎ出した場所よりも、さらに寒さを感じる。
なぜだ?


その最大の理由は、頭上を覆う高さ10m近くある2本の枯れ木だった。
枝にはびっしりと葉が付いていたが、どれもこれも真っ茶色
オマエのおかげで寒さ倍増じゃないか!
ぐっとにらみつける。

するとなぜだか親近感がムクムク。
あら、あなたと私はもしかしてお友だちでは?

目を凝らす。
そして
ガビーンっ!

そいつらは、それはそれは立派なモミジだった。
枯れ木ではなく紅葉を終えて冬支度をしていたのだ。
おそらく2週間前は満開のソメイヨシノと勝負できるくらい華やかだっただろう。

「なんてこったぁ~」
肩をがっくり落とす。
その視線の先には寒々しい緑の湖面ーー。

そのとき嫁がささやいた。
「あっ、対岸に真っ赤な場所があるよ!」

「なにっ!」
対岸までの距離約150m。
確かに燃えるようなが見える。

「やった~!」
私たちは馬車馬のようにパドルを漕いだ。


到着すると期待通りに色づいたモミジだった。
そのサイズ感は、がっかりした茶色モミジに負けていない。
しかもこれから最盛期を迎えるようで、見事な緑からオレンジ、赤のグラデーションを魅せてくれた。
嫁は赤よりむしろこちらの方が好み。
もちろん私だって美しいと思う。
より近づくと、その奥に背の低いオレンジモミジも控えていて、錦秋の奥行き感を演出していた。

全員、寒さがぶっ飛ぶ。
口をぽか~んと開けて流れに身を任せる。
背後に陽の光を受けて艶やかに輝く彩りがまぶしい。
泰楽もいつものような急流ではないのでリラックスしているようだ
防寒のために服↓を着せていたこともよかったかもしれない。

この一ヵ所だけで「来てよかったぁ~」としみじみしてしまった。

錦秋地帯を通り過ぎて「いやいや、いいではないですか」と独り言のようにつぶやく。
だが、四万湖のおもてなしは、こんなもんじゃーなかった。
嫁が「あっちも赤いよ!」と、また対岸を指さした。

その方向の先は、四万湖のシンボルともいえる真っ赤な橋だった。
目を細めると、橋台(橋を支える部分)の周りも真っ赤ではないか!
どうやらこの時期の四万湖の紅葉はジグザグ航行を求めているらしい。
大至急、馬車馬のように漕ぐ。


真っ赤地帯の手前で橋を見上げる。
橋も「紅」、モミジも「紅」
その背後は青空。
言うことなし!

ちなみに、この橋をクルマで渡って出航場所の脇まで行けるが、道幅はかなり狭い。
ガイドさんいわく、最近ランクルが湖岸に落ちて大変だったそうだ。
なお、この日はエクストレイルが通過していった。


その後は50m間隔ぐらいでモミジ祭り。
周りの木々はすっかり落葉して冬の装いだが、それが余計に鮮やかさを際立たせる。
無人・無風・静寂、そしてぴりりと冷たい空気。


こんな紅葉狩りは初めてだ。
気に入った。
仮に私が大富豪ならば、この湖を買い取りたいと本気で思った。


今回のコースは、湖をさかのぼっていき、突き当りは渓流との合流点になる。
近づいていくと、湖面が落ち葉にだんだんと埋め尽くされていった。

緑の水面の上に鮮やかな黄色。
それらを音もなく三角にかき分けて進むカヌー。
じっと眺めていると静けさがより増したようだ。

「いいねぇ~、ここは3回目だけどきょうが一番いいねぇ~」
胸がなんとなく暖かくなって空を見上げる。
急に雲が多くなってきたが、それでも山肌のグラデーションは美しい。


「ほら、あそこの山肌きれいだよ」と嫁に話しかけようとした瞬間、おでこに冷たいものがーー。
大至急、セリフ変更。
「〇〇ちゃん(嫁の名前)、雪だ!」
白い粒が落ちてきて、湖面にぽたぽたと波紋をつくっていた。

「どうする?」
彼女に問いかける
「帰る!」
即答。


急遽、体育会系ボート部を結成して出艇場所を目指す。
すると真っ赤な橋の周辺にたくさんのツアー客が。

すれ違う際に何人かが「あー、犬を載せてるよ!」と笑顔で手を振ってくれた。
寒くないの!?

こちらも手を振りながら空を見上げる。
青空ーー

「女心と秋の空」
ということですね。
了解。

それでも、もう十分に楽しんだのでそのまま戻る。
このように臨機応変に帰れるところが湖カヌーのいいところだ。
特に寒い時期には悪くない。

復路は、たった15分で帰還。
合計1時間11分、2.1㎞の水上紅葉狩りでした。

石尊山も四万湖も大満足の紅葉。
しかも両方とも手軽で人が少ない。
犬連れには理想の遊び場といえる。

とはいえ、どちらも私たちには手軽過ぎ。
千葉から3時間かけて行くには物足りない。
なので、やはり今回のように登山&カヌーの二本立てが理想だ。
このセットで満足度は2倍以上になった。


これで今シーズンのカヌーは最後。
だからゴール後は入念に船体を洗った。

水温推定12度
真冬の九十九里とちょうど同じくらい。
歯を食いしばる冷たさだが仕方がない。


れよりも最後が水がキレイな湖でよかった~。
(帰ってから真水でも洗うけどキレイに越したことはない)
ガタガタ震えながら20kgを担いで戻るのは、ちょっと辛かったけど。

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