犬とカヌー「急流のスリルと奇岩の迫力を楽しむ」富士川(山梨県)

とにかく水質が……。
2024年8月3日 水位:北松野―5.49m

富士川をカヌーで下るのは楽しい。
「ちょっと無理かな」と思えるような瀬に挑戦できるし、
川面から富士山を眺められるし、
河原のヤナギの木でヒラタクワガタを採ることもできる。

水質はイマイチだが、支流に移動すれば透明度10mクラス清流で、
イワナやアマゴと一緒に思い切り川遊びだって楽しめる

なので毎年春から初夏に行くことにしていた。
ところが今年は天候の都合で8月になってしまった。
真夏は水質が心配
はたしてどうなのだろうか。

高速道路を降りると、たくさんのダンプとすれ違う。
道路が細いので走りにくい。
8時ちょうど、ゴール地点の稲子川合流点に到着。
折りたたみ自転車を河原に置いてから川をチェック。


意外に透明度が高い。
3mくらい。
でもよく考えるとここの河岸は本流と混ざっていない稲子川の流れだ。
向こう側はどうなのだろう。
笹藪が濃すぎてクワガタ採りできず。


野暮用があって9時52分、十島堰の近くからスタート。

この日の最高気温は34℃の予報。
すでに30℃超。
汗だくだく。
富士川のダウンリバーは、いつも昼前から強烈な向かい風になる。
このときはもう風速5~6mが吹き付けてきた。
だが、基本的に流れが速いので漕げばしっかり進む。

水質は、やはり透明度1m程度。
長瀞のように臭くはないけど、腐った藻のような茶色いものが一面に浮いている。
絶対に落ちたくない。

と、思っていたら、スタートして100mで嫁さんが「ダメだ。暑すぎる!」と飛び込んだ。
泰楽が「クン、クン、クーンっ!(お母しゃんが心配だ!)」と鳴く。
仕方がない。「いいよ」と聞こえるか聞こえないかぐらいの声でつぶやく(単純な意地悪)。
すると言い終わる前にダイブ!


母に向かって一直線に犬かき。
飛び込みが嫌いなくせに……。

ぽつんと残されたボク――。
でもこんな汚いところ泳ぎたくないもん。
灼熱ビームを発射する青空を見上げ、ゆっくりと視線を下げる。


河岸に奇岩が並びはじめた。
シルエットだけ見れば、怪物の行列のようだ。
こんなに美しい景観なのに、肝心の水が汚い。
本当に惜しい川だ――。

肩をがっくり落として「はふぅ~」と首を振る。
すると段々と「ざざざざざぁーっ!」という轟音が響いてきた。
このコース最恐の難所、万栄橋手前の瀬(たぶん正式名称がある)だ。


大至急、嫁さんと泰楽をカヌーに載せる。
通常は50mほど続く1.5~2級の瀬。

それだけならなんとかなる。
だがここは、その先が直角の右カーブになっているので方向転換を誤ると、
ドリフトして結構な勢いで岩壁に激突する。

立ち上がって波の様子をチェック。
水位は通常より20㎝ほど少ない。
だから波の高さも低そうだ。
しかし、水位が低い分だけ水面から岩がボコボコ出ている。
その数が半端ない。
1.5級の瀬の中をあみだくじのように進まないと岩に激突してしまう。

ぜんぜん成功するイメージが湧かない。
撮影を中断して家族全員で集中モード。
突っ込む。
水しぶきを顔面に浴びてクネクネの連続。
半分くらいクリアした時点で、目の前に直径1.2の岩が。
吸い込まれる! 

思わず左手が出てしまった。
親指が「コンっ!」と当たる。
「痛っ!」
関節部分から出血。
指全体がちょっぴり太くなっているような……。

でも、当った瞬間のことは覚えている。
自分としては、やさしく岩を押すつもりだった。
しかし手のひらが開き切らなかったのだ。
だからただの突き指のはず。
それよりも今はこの瀬をやっつけなくては!。
とにかく思い切り漕ぐ!

いよいよ正面にでっかい岩壁が迫ってくる。
右に方向転換!
カヌーがドリフトする。
最後にパドルで岩壁を「コノヤロ!」


最恐の難所をクリア。
ホッとしてのんびりモードに突入。
少しじんじんする左手の親指は無視。

万栄橋を過ぎるとコースが左右に分かれる。
右は落差3mの難所があったはず。
10m進んで落差3mなので、そんなに邪悪ではない。
でも、もう濁った水の顔面シャワーがご勘弁。
左コースを選択。


ところがすぐに岩が出て結構面倒な瀬があった。


やっとスカッと爽やかタイムと思ったら、また1.5級の瀬。
その後は20分ほど落ち着く。
春はこの辺りで富士山を眺められるのだが、真夏は空気がガスっていて姿を見せてはくれなかった。

さて、このまま終了したかったのだが、富士川はそんなにやさしくない。
あとゴールまで1㎞というところで、再度岩がぼこぼこの瀬が登場。
コースの選択は正解だったが、腕がついて行かず岩にカヌーが「ゴンっ!」と張り付いてしまった。


目の前でスローモーションのように宙を舞うワンコ。
泰楽だけ沈してしまった――。

そして向かい風の中、ほとんど遊ばずに1時間43分・5.9kmでゴール
水位が低いゆえに歩くこと2回(各2mづつだけど)。
水位は―5~5.5mがベターだと思う。


このコースの地形は仁淀川に似ている
河岸に大きな奇岩が多く、川幅もそこそこ広い。
ゆえに伸び伸びとしていて美しい風景だ。
ところが水質は真逆で茶色い。
道路はダンプが多いし、もう真夏に漕ぐことはもうないかなぁ。

さぁ、気分を切り替えて美しい支流で川遊びだ!
つづく↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/7487

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