犬とカヌー「ハードな小滝の瀬の直後に岩畳の絶景が!」長瀞(埼玉県)

観光名所の岩畳をのんびり漕げる喜び
2024年5月4日 水位:親鼻橋1.42m

関東でカヌー(ダウンリバー)の代表選手といえば、
・御岳
・長瀞
・那珂川
だろう。

もちろん全部下ったことがある。
だが、長瀞は1回だけだ。
しかも観光名所である岩畳を避けて上流を下った。
理由は小滝の瀬(2.5級)にビビっていたから――

以前、紅葉登山のついでに小滝の瀬を下見して、
「ダメだこりゃ!」
と思いつつ嫁さんには
「犬と一緒じゃ危険でしょ」
と言い訳をしていたのだ

だが月日が流れてちょっぴり自信が付いた。
全国リバーツーリング55MAPによると、
このルートは小滝の瀬とその手前にある鉄橋下の瀬(セイゴの瀬)以外は、
のんびり下れるという。

時は5月初旬。
長瀞は新緑が輝いているはず。
もしかしたら前回の久慈川↓のようなパステルグリーンのパッチワークに加えて、
藤の花も満開かもしれない。
https://large-dog.iehikaku.com/archives/6807

観光名所である岩畳にそれらが組み合わされれば、天下無敵の絶景に違いない。
ならば行くしかない!


7時50分、期待に胸をパンパンに膨らませてゴール地点の高砂橋に到着。
ここはライン下りのゴール地点でもあるので、
邪魔にならない場所にクルマ回収用のチャリを停める。


スタート地点は皆野中学校裏。

小滝の瀬対策で7年ぶりくらいにヘルメットをかぶる。
ちなみに上流を下ったときは8月で、ちょっと下水のような臭いがした。
今回は5月なので大丈夫だよね?


8時57分出発。気温17℃。無風。雲一つない快晴。
気持ちいいー!

思い切り息を吸い込む。
やはりちょっと臭い……。
つまりこれがアベレージなのだろう。

カヌーの聖地なのにどうして??

次は水質チェック。
水中に防水カメラを入れると手が冷たい!
15℃くらい。
ぎりぎりグローブ無しで浸かれるかな、くらい。
3月の九十九里海岸並みだ。

肝心の透明度は1mくらい。
絶不調の那珂川と同等だ――。


100m進むと釣り人がひとり。ヤマメを放流しているのかな?
避けるために1級の瀬があるルートを選ぶ。
その100m先にも釣り人。
もしかしてこの時期はダウンリバーに不向き?
でもその先はひとりもいなかった。

1.1kmで親鼻橋を通過。
ここまでで1級の瀬が2回あった。
ぜんぜんのんびりじゃない!


しかも新緑の時期は、とうに過ぎていたようで、
パッチワークも藤の花も一切無しでまぶしい蛍光グリーン一色。
それはそれできれいだけどね。

なお、親鼻橋でも駐車してスタート可能だ。
ただし駐車代が1000円かかる。
また、ここはライン下りとラフティングのスタート地点でもある。
受付開始が9時なので、すでに乗船客でごった返していた。


1.4㎞で鉄橋に到着。レンガ造りで風情がある。
ここだけ時間が止まっているようだ。
その先に白波が見える。
ツーリングマップでは2級の瀬。
緊張する。


ちょうどライン下りの舟が来た。
目の前を通り過ぎる。
何人かが泰楽を見て「かわいい!」
ありがとう!

舟のライン取りをじっと見つめる。
ぐんぐんと真っすぐ進む。
意外に楽? 

ホッとした瞬間、いきなりガクンっと消えるように舟体が落ちた。
落差1mはありそう。
アウアウ……

その後もライン下りの舟が次から次へとやってくる。
やるしかない!

1つめの波で3艘のリバーカヤックがサーフィンをしていた。
「こんにちは~!」と笑顔で挨拶。
でも若干緊張中――。

瀬に突っ込む。
バチンっ!バウンっ! バインっ! 
全身が激しく上下する。

ザブンっと頭から水を被る。
爽快!
でも必死に漕ぎ続ける。
瀬の中で休むとコントロール不能なるからだ。


そんな中、泰楽はしっかり踏ん張って立っていた。
最初の1年は1級の瀬でも「あれぇ~!」と落ちていたのに成長したねぇ

50m進んでも激しい瀬が続く。
だから漕ぎ続ける。
最後に1mの落差が見えた。
「これがここのメインイベントだな!

ドインっと落ちる。
すると目の前に1mの水壁が立ちはだかり、
船首がバチンっ!とそいつをぶち抜けた。

その瞬間「やっと終わった~」と力を緩めた。
すると船首がググっと右に向いた。
焦るが右に引き寄せられる。
なんとか立て直したが、ちょっとくやしい。

なんて思っていたら50m先にまた白波が!
さっきより高い!
バチンっ! バウンっ! バインっ! 

しかもさらに距離が長いではないか!


龍の背のような三角波が向かってくる。
余裕で2級オーバーだ。

結局この状態が120mほど続いて右側に亀の甲羅のような大岩が出現。
漕いで漕いで漕ぎまくる。
でもどんどんどんどん吸い寄せられる。
そして最後は「くっそ~!」と声を出しながら、パドルを岩に突き刺して衝突を回避。
つまり避け切れなかった――。
自己評価70点。くやしいー! 

そんな中、泰楽は喜んでいる様子。
ずっと仁王立ちでしっぽをぶるんぶるん振っていた。
やっと慣れた?


ここからはお待ちかねの穏やかタイム。
左側に小山のような岩がある地点で休憩した。

岩の上でじっと川を眺めていると、次から次へとラフティングのボートがやってくる。
今まで北海道から四国までの川を下ったけど、こんなに多い川は初めて。
さすが長瀞。


そのうちの3艘が対岸に停まった。
我々も漕ぎ出して何をしているのかガイドさんに聞いてみた。
そこから支流をシャワークライミング(沢登り)するとのこと。
ゴールは100m先にある天然の滝だそうだ。
(日本の川は滝ような堰堤だらけ)
舟でしか行けない場所なので参加者の満足度は高いだろう。


その先もまったりコース。湖のように穏やか。
でも小滝の瀬は必ずやってくる。まさに嵐の前の静けさということか。


ついにゴゴゴゴゴーと聞こえてきたのでスカウティング(下見)。
先にラフティングの人たちも停まって確認していた。
ラフティングでさえ危険なのか?

だが、目の前にすると大したことないように見える。
瀬の後半に落差があるが80㎝程度。
鉄橋下の方が高い。
どう見ても2級はなさそうだ
水位が低めだからか?
余裕でしょ! 

だが大事をとって嫁さんはビデオ係に。
(彼女は根っからの冒険家だが、腕力がないのでカヌーには慎重)

ここはそのまま岩畳とつながっているので周囲の岩の上にギャラリー多数。
その多くがギャルギャル
ちょっぴり緊張。

泰楽を先頭にして突っ込む。
水しぶきが上がる。
泰楽は踏ん張っている。
イケる!


漕ぎ抜けた。
視線の先でサンダルを履いた外国人カップルが拍手をしてくれている。
やっぱ余裕じゃん!

両手を上げて右側の川岸にいる嫁さんにポーズをキメる。
すると船首が右側へクルンっ!
ちょうど彼女へ向けてストップしたように見えたはず。
でも本当は失敗。惜しい……。
90点!


ここからが長瀞ダウンリバーのメインステージ
有名な岩畳という観光地で、両岸に700mくらい1枚岩が続く。
これは見事。
岩の上にはギャラリーが50~60人いた。
外人さんが半分。多くが泰楽に向かって手を振ってくれた。
こんな観光名所を漕げるなんて贅沢だ。


もう安心なので嫁さんと船長(後ろの席)交代。
次から次へと通過するラフティングボートをのんびり眺める。


岩畳の終点はライン下りのゴール&スタート地点になっており、
200人くらいの観光客でごった返していた。

やっぱ長瀞の人気は、すげ~
前の席で寝そべって飲み物を片手にぼんやり見ていたら――。

いきなり2級近い瀬が現れた!
聞いてない!

50mほど続いたと思ったら、すぐに次が現れた。

パドルが川に落ちそう。
でも寝そべっているので手が出せない。
ふくらはぎで抑える。
こんなはずでは!? 

結局、この瀬は200m続いた。
それでも船長(嫁さん)は漕ぎ抜けた。
彼女史上、最大・最長の瀬をやっつけたのだ!
「うれしいー!」
嫁さんは歓喜の雄叫びを上げた。

そして、ついにゴール手前の高砂橋が見えた。
「意外に楽しかったな~」とスタートからの出来事を振り返っていると、
またまた想定外の瀬が登場した。
大波が迫ってくる。
このタイミングで2級!? 

バチン!
船体が大きく傾く。
重心を反対側へ移そうとする。
でも寝そべっていたので移しきれない。

マジ?マジ?マジ? 
ずずずー。
ドッポンっ! 


見上げると嫁さんと泰楽が目が点になって見下ろしている。
自分だけ沈したのだ。
くやしい――。

そんな感じで2時間14分・6.2㎞でゴール。
なにかと忙しかったので短く感じた。
長瀞は数百mごとに1級強の瀬がある。
ぜんぜんのんびりできる川ではなかった。
その点は御岳と同じ。
でも御岳のように瀬の中に岩がないので難易度は高くない。
メリット:ちょっと厳しい瀬の連続と大迫力の岩畳。観光名所を漕げる!
デメリット:臭い&ライン下りに気を使う

嫁さんは、過去最大・最長の瀬を漕ぎ抜けたことに大変ご満悦で、絶対リピート宣言をしていた。
私は臭いが気になるなぁ。

さて、次は近くのサクっと大霧山に登って、ささっと帰りますか。

つづく

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