犬とカヌー「連続するダイナミックな瀬を楽しむ!」富士川(山梨県)

泰楽、生まれてはじめて家族以外の人とカヌーに乗る
水位:清水端―1.15m

8月5日、富士川の飯富橋から塩ノ沢駅の間をダウンリバーした。
ここは初めて下るコースで、インスタで知り合ったNさんに教えていただいた。
今回はそのご夫婦と愛犬ゆずちゃん(柴犬)と下る予定。

水位は―1.15m(清水端)と6月に鹿島橋から富士川橋を下った時より50㎝も少ない。
はたしてダウンリバーになるのか?

8時5分に待ち合わせのローソン着。
Nさんご夫婦&ゆずちゃんと初対面。

ご挨拶の後、対岸のスタート地点へ移動。

この地点での水量は十分。
川の真ん中は水深1m以上ありそう。
夏の富士川は水質も心配だったが特に臭いはなく、
透明度も2m近くありそうだった。
富士川としては、まずまずのコンディション。

だが、Nさんによると今回のコースにはエグい瀬が2つあり、
それ以外にもそこそこの瀬がたくさん。
なので小型犬のゆずちゃんと奥さんは乗船せずにゴール地点の塩ノ沢駅で待ってくれるとのこと。
ゆずちゃんは、おとなしくて本当にいい子。
なので犬見知りする泰楽としては珍しく仲良く出来そうだったのに残念!

9時8分スタート。
Nさんの愛艇はカナディアンカヌーだ。
そこで早速あることに気づく。
カナディアン速い!
もちろん腕の差もあるのだろうが、あっという間に50m以上離れてしまった。

そして200mくらい進んだところで最初の難関が登場。
屏風岩の瀬。
難易度は2級程度らしい。

Nさんは流れに乗って一気に加速。
ジェットコースターのようにウインっ!ウインっ!と激しく上下し、
時々波に飲まれたかのように背中が消える。

そして姿を現すとくるっと右折し、
瀬の脇で停船(エディ・イン)した。

見た目より波が高い? 
これってヤバくない? 
若干ビビりつつ数十m遅れて我々も突入。
波の列は鋭角な三角形を描くように続き、
私たちはその頂点に向かって必死に漕ぐ。
やはり波は高い。
90㎝前後。

バチンっ!バチンっ! 
激しい音と共に波頭が私たちの顔面にぶち当たる。
実力ギリギリで乗り越えているスリル。
大きな波の背後に広がる青空。
ジリジリと焦げる全身に降りかかる冷たい波しぶき。
気分最高!

「うおぉ~っ!」
「きゃ~っ!」
「う~ワンっ!」

全員雄叫びを上げて漕ぎ抜ける。
あっという間にNさんの待つ場所にたどり着いた。
私も彼のようにさっと右折を試みる。
だが頭のイメージとは大きくかけ離れて、船体は思い切りドリフト。
強大な力が横向きになった船体を下流へ引きずっていく。

「あら? 瀬はここで終わりじゃなかったのね!」

どうやらNさんは、
我々が手強い瀬を乗り越える姿を撮影するために、
わざわざ途中で停船してくれていたのだ。

それに気づくのは数分後。
離れていくNさんーー。

「やばいやばい」
焦ってパドルにさらに力を込める。
すると余計に側面から波が当たる。
しかも一見まっすぐに伸びる瀬の列が、
実はねじれており、
カヌーを凄まじい力で回転させようとする。

そして飛び切り大きな波頭が。

バチンっ!

轟音と共に宙に浮く泰楽。
まるで走馬灯のようにゆっくりと流れる場面――。
気がつくと泰楽は2m離れた川面で木の葉のように上下左右に振り回されて浮かんでいた。

龍の背のように連なる大波に投げ出された我が愛犬。
「おとう―しゃ~~~ん!」
とすがるような眼差しを向けている。

だが、我々も濁流の中の木の葉状態。
つまり無力。
「がんばるんだぞぉ~」
と叫びつつ、精一杯瀬が終わる地点まで漕ぐことしかできない。
遠ざかっていく泰楽に後ろ髪をひかれつつ、
視線を正面に戻して20m先の瀞場まで漕ぐ。
そして泰楽を拾い上げようと振り向いた。

だが、ここで視界に入ったのはNさんの姿。
彼はスマホをこちらに向けていた。

はずかしぃ~。未熟な姿を撮影されてしまった!↓

まぁ、失敗を笑い合うのも複数人で下る楽しさだ。
「やっちまいましたぁ~」
と苦笑いで叫び、泰楽がドンブラコッコと流れてくるのを待った。

しかしながら、この時点で安心してはいけなかったようだ。
Nさんいわく、最大の難所はここではないらしい。
ここからさらに200mほど下った先に屏風岩二段目という瀬があり、
そこはワンランク上の難易度(3級弱)だというのだ。

途中で1級程度の瀬を越えて、
屏風岩二段目の手前に到着。

Nさんと一緒にスカウティング(偵察)する。

確かに大きめの波が立っているが、屏風岩の瀬ほどではない。
しかもコースが真っすぐで途中に岩などの障害物も見えない。

「どうやら屏風岩の瀬と二段目の難易度が入れ替わったようですね。
今日の屏風岩の瀬は、今まで下った中で一番キツかったです。
ゆずを連れてこなくて本当によかった」

ほっと胸を撫で下ろして再び乗船。
Nさんの後に続く。
彼が瀬に突入すると、突然がくんっ!と背中が下がったが消えてしまうほどではない。
私たちも
「屏風岩の瀬と比べれば楽勝でしょ」
とパドルを握る手に力を込める。

波高60㎝。
高めではあるが、流れが素直でリズムよく乗り越えられる。

「ひゃっほー、ひゃっほー、ひゃっほー!」

我々にとってちょうど楽しめるレベル。
このときもNさんは撮影隊を引き受けてくれていた。

この瀬を乗り越えた後に、
さっと右折する秘訣も教えてもらった。
河岸の近くには、必ず速い流れと遅い流れの境目がある。
それはよく見れば分かるはず。
瀬を乗り越えた後の自分は速い流れにいるので、
遅い流れにパドルを突っ込み思い切り漕げば、
さっと曲がれると言う。

早速試してみると、流れの境目を見つけるのがイメージよりかなり岸寄りにあるので難しかった。
それでも見つけられれば、なるほどさっと曲がれた。
Nさん、ありがとうございます!

その後、瀞場で一休み。
お互いの船体を近づけて停船しようとする。
そこでふと思った。

「泰楽がNさん艇に飛び移れそう」
「そうしたら泰楽どんな反応をするのだろう?」

面白そうなので両方の艇を河岸に引き上げた後、

「泰楽をそちらに乗せてもらえませんか?」

と提案してみた。
Nさんは笑顔でOK。
泰楽人生初の経験を実験!

「泰楽! こっちに乗ってみな」
とカナディアンのデッキを指さす。
泰楽は素直に
「そんなの簡単ですよ!」
と飛び乗った。
そして我々は
「ばいばぁ~い」
と手を振って先に艇を出した。

遠ざかっていく私たち。
「えっ! えっ! 聞いてないですよ!」
と目を丸くして仁王立ちする我が息子。

野田知佑氏は海外へ行く際、
椎名誠氏などに愛犬ガクを数カ月単位で預けていた。
大人になるには、親離れは必要不可欠な行程。
心を鬼にする。

「うぉぉ~ん」

吠えるのではなく、泣くような切ない声。

カナディアンが私たちを追い抜くと、
泰楽はダッシュで後ろに移動して我々を見つめる。

でも、悲しいのは彼だけ。
Nさんも私たちも大笑い。
そのまま十数分、よその子になってもらった。
これで泰楽は一皮むけたはず。

コースの3分の1くらいのところに波高島駅がある。
ここでもクルマが近づけてスタート・ゴールが可能とのこと。
スカウティングをする。

しかし、最近の豪雨で河原が削られて、2級弱の瀬も出現。
とても河原に近づける状態ではなくなっていた。
残念。

その後は結構強い向かい風が発生。
流れも強いので押し戻されることはないがペースダウン。

いくつか1級程度の瀬を乗り越えてゴールの塩ノ沢駅に到着。
2時間14分・8.3㎞の川旅でした。

このコースは1級から2級強の瀬の連続。
真夏に思い切り波しぶきを浴びて漕ぎたい!というときには最高の選択だと思う。

塩ノ沢駅では、すでに奥さんとゆずちゃんが待ってくれていて、
我々とカヌーをスタート地点まで運んでくれた。
今回Nさんご夫婦には、何から何までお世話になりっぱなし。
本当にありがとうございました!

なお、その後我々はいつものように川遊び&キャンプの予定だった。
場所は6月に地元の人から教えてもらった秘境↓。
https://large-dog.iehikaku.com/archives/4778

ところが現地に到着してすぐに嫁さんが、
チャイロスズメバチに刺されてしまった。

私も同じ場所にいたが、
「今日はやけにアブが多いな。真夏は仕方ないか」
と蜂と気づくのが遅かった。

なので川遊びはナシ。
自分の迂闊さに深く深く反省したのでした……。

コメント

タイトルとURLをコピーしました