本当の川好きは出合えば情報交換を欠かさないもの
那珂川をカヌーで下った後は、支流に移動して川遊び。
途中のコナラ林でミヤマクワガタを探すが不発。
15時過ぎに支流のキャンプ地に到着。
ここは車高が高い4WDでなければ入って来れない河原。
この日もジムニーとランクル70の先客がいた。
(お二人中一人は日帰り)
いつもはテーブルを広げたすぐ脇に、心が洗われるような透明な流れがある。
しかし、今回は様子が違った。
「さっき山から掘り出されました!」
といった感じのゴツゴツの岩が転がり、水深も通常の半分くらい。
なのに川底にはこげ茶色の苔が張り付いている。
おそらく豪雨によって上流でがけ崩れがあり、その後しばらく晴天が続いているのだろう。
天国的環境が、工事現場的環境に変貌していた。
とはいえ、ここの底力は強力だ。
全部で3つある淵の最初のヤツに潜ると、10匹ほどのチビヤマメが群れていた。
その奥で20㎝クラスがこちらを睨んで「ふんっ!」と姿を消す。
さすがの魚影の濃さだ。
しかしながら透明度は激減。
いつもはクリスタルブルーの視界が20mは突き抜けているのに今回は10mにも満たない。
たぶん、がけ崩れの土砂が今でも流れてくるのだろう。
昨年、4~5匹の尺イワナと遭遇したポイントも浅すぎて魚影ゼロ。
一昨年まで水深2mあった第二の淵は1mになっていた。
年々埋まっていく……。
嫁さんと泰楽のテンションもイマイチ上がらない……。
最後の期待は第三の淵。
ここは5m四方のプールで、最深部は3mある。
「頼む!頼む!頼む!」
心で繰り返しつつ、ゴツゴツの岩をまたいでコケそうになりながら進む。
そして目に入ったのは、いつもと変わらぬ美しい泉!
と、感じだのは逆光のせい。
目を凝らす手前半分が茶色い。
落ち葉が堆積していたのだ。
いつもは直径5㎝の玉砂利が敷き詰められた美しい川底なのに……。
その理由は多分こう。
豪雨よる土砂で淵の手前半分が埋まり、
その後晴天が続いて流れが緩やかになって落ち葉が積もったーー。
しかしながら奥の水深は2mをキープ。
プールの面積は半分になってしまったが、飛び込みは十分に楽しめた。
さらにうれしい出会いも!
その淵の上流部分でイワナとヤマメの混合チームに遭遇したのだ。
平均22㎝。
全部で20匹はいたと思う。
「魚がいっぱいいるよ!」
大至急、嫁さんたちを呼んだ。
「うっき~っ!」
彼女と泰楽が川面に顔を突っ込む。
2秒後。
「あんたが落ち葉を巻き上げて見えないよ!」
なのでシュノーケリングは終了。
後は飛び込みを繰り返すのみ!
ところがどっこい。
泰楽が先週(中河内川)と打って変ってノリが悪い。
飛び込みどころか泳ぎも嫌がる。
大好物のおもちゃを持って「おいで~~~っ!」と誘う。
だが、付き合ってくれたのは2回だけ。
「何ごと!?」
じっくり観察すると結構な勢いで震えている。
水温が冷たすぎるのだ。
静岡県と栃木県では同じように見える渓流でも水温は5℃くらい違う。
ごめんよ泰楽。
次回はラッシュガード↓を着せてあげよう。
反省をしていたら、いつの間にか嫁さんがいない。
きょろきょろすると下流に戻って対岸の岩壁とにらめっこをしていた。
「何ごと!?」
駆け寄る。
「しっ!」
人差し指を唇に立て、もう片方の人差し指を岩壁に向ける。
カラスアゲハの大群だ
岩壁から染み出す湧き水を飲みに10頭以上集まっている。
地元の千葉県でも子どもの頃はよく見たが、ここ20年くらいはお目にかかっていない。
エメラルドブリーンに輝く翅はやっぱり美しい。
嫁さんも寒がり出したのでさらに下流へ歩く。
しばらく進むと森の中から支流が流れ出していた。
鮮やかなライムグリーンに囲まれた美しいせせらぎ。
妖精が飛び回っていそうなメルヘンの世界だ。
寒がりチームはここでUターン。
私だけより下流へ。
100mくらい先に直径1mの岩がゴロゴロ転がる大規模ながけ崩れ跡あり。
そこを終点とする。
キャンプ地に戻って薪を拾う。
19時30分にカンパイ!
なぜかこの日は嫁さんが焚き火隊長を買って出る。
薪を両手に持って「任せとけ!」と力こぶをつくる。
最初から盛り盛りのキャンプファイヤーの組み方だ。
徐々に燃やさないの?
いきなりこんなに燃えやしないよ。
ところがどっこい。
いきなりファイヤー!
先週の滝登りといい、彼女は見かけとは正反対に豪快だ
出会って約30年。
未だに新たな発見がある。
十数年前まではこんな場面では仲間と一緒にマダガスカルで買って来た太鼓を叩きながら、ウンバボ踊りに興じていた。
だが、今はもうその元気も付き合ってくれる仲間もいない。
ただ、じっと燃え盛る炎を見つめて赤ワインをちびちび。
そして数分ごとに
「あれは、どうなったんだっけ?」
「あれ、じゃ分かりません」
という会話を繰り返す。
毎回「あれ」の内容を説明できないまま段々と瞼が重くなっていく。
これでいいのだ
22時30分、ぎりぎり記憶がある状態で就寝。
標高が高いので適温(20℃くらい)。
熟睡。
5時24分起床。
朝食はベイシア(スーパー)で買ったドーナツ。
川の水で歯を磨いた後、お隣のキャンパーに挨拶をしに行く。
「おはようございます。これから釣りですか?」
「おはようございます。釣りじゃなくてソロキャンプが目的なんですよ」
「そうなんですか。ここにはよく来るんですか?」
「いやいやはじめてです。昨日帰った人に教えてもらいました」
「どうでしたか?」
「人が少なくて、川も近くていいですねぇ。いつもジムニーでしか来れないようなところでキャンプをしていますが、その中でもここはいいです」
野営地の好みが似ているようだったので、そこからめっこり情報交換をした。
栃木県の河原野営地は結構開拓したと思っていたが、意外な穴場(秘境)を教えてもらえてうれしかった。
その穴場情報はこちら↓
その後はクルマでさらに上流へ。
そこでは湧き水が汲めて、深さ3m以上の淵がある。
(ただし、釣り人が多い)
到着すると、こちらの様子も激変。
駐車スペースのすぐ近くに20m近くの流れるプールが2つあったのだが、どちらも砂利で浅くなって遊泳不可。
見回すとがけ崩れが2ヵ所あった。
がっくりしつつ上流の巨大堰堤下の淵に移動。
堰堤は昨年と変わらぬ様子。
人工物だが青空とのコントラストが”ザ・真夏”で、シーズン・イン・ザ・サンを絶唱したくなる。
だが、その下に潜って予想どおりの意気消沈。
前回は水深3mあったが今回は2mになっていた
以前の深さなら高さ4mから飛び込めた。
でも、今回は危険なので2mの高さからダイブ。
泰楽はこの日も寒がる。
私たち人間チームも浅くてイマイチなので1時間で撤収。
湧き水を汲んでクルマに戻る。
駐車スペースに到着するとこれから入渓する釣り師がいた。
「おはようございます。これから釣りですか? だいぶ浅くなってしまいましたね」
「そうですね。でも上流はそれほど変わっていませんよ」
「上流ってどれくらい先ですか!?」
目を輝かせてたずねると、彼は愛犬に視線を移した。
「ワンちゃんと遊べるところですよねぇ、4~5㎞歩けば深い淵がありますよ」
つまり往復10㎞前後。
絶対に無理!
だが、ほかの穴場情報も教えてもらうことができた。
私からも秘境情報を提供する。
(私の場合は潜った上での情報なので結構喜ばれる)
本当の川好きは川のことをよく知っており、出会えば情報交換をするものだ。
川好き万歳!
今回の川遊びは、豪雨の影響で100点満点ではなかったが、川は常に変化するものだから仕方がない。
次回に期待すると同時に、川を愛する人たちの温かさをしみじみ感じる旅でした。
このときの穴場情報はこちら↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/5264
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