犬とカヌー「いつでも『空飛ぶカヌー』を体験できる川」男鹿川(栃木県)

透明度バツグン!冷たくない!淵が多い!
水位:独鈷沢0.54m

8月最後の週末は、今シーズンで一番夏を満喫したい。
理想は透明度の高い川でダウンリバーをして、途中で思い切り飛び込みを繰り返す。
その後は、さらに透明な川へ移動して渓流魚と戯れる。

しかし、残念ながら首都圏にそんな場所はない。
そもそも透明度の高い川で、カヌーを漕げるところがない。
みんな浅い急流だからだ。

ここでいう透明度が高いとは、
仁淀川(高知県)や神崎川(岐阜県)のレベル。
つまり「空飛ぶカヌー」↓を体験できるレベルだ。

神崎川(岐阜県)

唯一体験できるとすれば栃木県の男鹿川。
だが、この川は5年前に下ってえらい目に遭った。
直角カーブが多く、しかも突き当りは尖った岩ばかり。
当時、その岩に当たりまくって最後はインフレータブルカヤックが20㎝くらい裂けてしまった。
その結果沈没……。
10数万円のカヤックがお陀仏となってしまった。
以来、恐ろしくてこの川には行っていない。
そのときの様子↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/23

ところがである。
7月に那須方面の河原でキャンプをしていたら、
お隣のイケイケのジムニーキャンパーさんから、
「男鹿川の近くにも最高の河原キャンプ地がありますよ」
「その河原は車高が高い四駆でないと入れなくて、川の透明度はバツグンです」

という秘境情報をいただいた。

これを聞いた瞬間、行きたくてウズウズ。
寝ても覚めてもそのことばかり考えてしまう。
どうせ行くなら近くの男鹿川も漕がなきゃ損!

久しぶりに近況を調べてみると、
犬連れで川遊びをしている人の情報が数多く見つかった。
男鹿川は2015年の豪雨で多くの淵が埋まり、
透明度も低下していた。
だが現在は、かなり復活しているようだ。

懸念点は、釣り人の多さと邪悪なカーブ。
この川は渓流魚だけでなく鮎も放流しており、
釣り人の招致に積極的なのだ。

あまり多いようなら様子だけ見て、秘境で遊べばいい。
カーブは、その都度ライニングダウン(下りて引っ張る)すればいい。
そう考えて出かけた。

7時30分、ゴール地点の独鈷沢ふれあい公園駐車場(無料)に到着。
ゴール後にスタート地点に駐車したクルマを取りに行くための自転車を置く。


先客1台。
河原へ下りる階段の入口にアユイングのノボリがはためいている。
若干不安。
アユイングとは鮎のルアー釣りのことだ。

でも、河原を確認しに行くと無人。
もしかして今のうち?
鮎釣りは正午前後がピークだと思うので、大至急、スタート地点へ向けてアクセルを踏む。

スタート地点は支流にあるどんどん滝。
8時着。
河原へは、駐車スペースから山道のようなところを30mほど下って行く。
下見に行ったら、最後の5mが湧き水大噴射中の崖になっていた。
20kgのカヌーを担いでどうやって下りる!?
まぁ、嫁さんと2人で担げばなんとかなるだろう。

実際にはひとりで担いで噴射口に、よっこらしょ、と置いたら、
勝手にスルスル落ちていった。
結果オーライ。


標高約650m。
気温24度。
下界は軽く30度を超えているだろうが、
こちらは滝壺から大量のマイナスイオンが、ぶわぁっと吹き付けてきて、
すこぶる清々しい。


5年ぶりにその滝壺を覗く。
前回は豪雨から3年経っていたが、生き物の気配がなかった。
しかし、今回は立って眺めているだけで複数の魚影を確認できる。

もう我慢できない。
嫁さん、泰楽とうなずき合う。
そして潜る。

期待通りの透き通りっぷり。
透明度は10mを超えていた。
そして気づく。
あれ!? 冷たくない。
水温推定20℃。

蛇尾川など那須方面の渓流は、
真夏でも鼻がもげるほど冷たい。
だから真冬用のセミドライスーツを着て遊んでいた。

なので「栃木県の渓流=いつでも極寒」と思っていたが、
男鹿川はロングジョン&タッパでちょうどよかった。
なお、この川に潜るのは3回目だが真夏は初めて。

さて、肝心の魚影の正体は、
ウグイ、ヤマメ、イワナだけでなく鮎もいる! 
清流オールスターズの競演。
もう、大盤振る舞いの状態だ。


有頂天になっていたら、あっという間に10分経過。
いかん、いかん。こんなことをしていたら秘境で遊ぶ時間が足りなくなる。

8時40分にスタート。
水深20㎝。
ここが浅いことは織り込み済み。
前回は最初の100mを歩いた。

今回も30m進んでスタック。
水深10㎝。
仕方なく歩きはじめる。
だが、いつまで経っても漕げる深さにならない。

じりじりと照り付ける太陽。
なぜかカヌーから降りない泰楽。
さすがにこのままだと辛い。


とうとうそのまま400m歩いて本流との合流地点に到達してしまった。


ここから一気に水量アップ。
水深30㎝。
しかも流れが速い!
小走り程度のスピードで快調に進む。


川底の石がびゅんびゅん後方へ飛んでいくのが見える。
圧倒的な透明度。
濃い魚影。
両岸からせり出す青々とした樹木。
爽快なスピード感。
印象は水量が2分の1の神崎川(岐阜県)だ↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/47

でも、こちらの方が釣り人は少ないようだ。
今までひとりも出会っていない。
しかも水が温かい。

上機嫌になっていたら、すぐにクリスタルブルーの淵が登場した。
大至急、水中メガネを付けて深さを確認。
推定1.6m。
ちょうどよい場所に大きな岩もある。
飛び込みOK。

漕ぎ始めて100mで飛び込み祭りがはじまってしまった。
潜ると、鮎の群れに交じって丸々と太ったニジマス(約25㎝)も発見。
もう何でもありの川だ。

最近の泰楽は調子がいい。
おもちゃさえ見せれば、結構高いところからでも飛び込む。
なので一緒に飛び込む動画を撮った。

嫁さんカメラ↑は成功したが、
私カメラは水しぶきが上がって泰楽が飛び込む瞬間が映っていなかった。
そこでテイク2に挑む。

ところがどっこい。
泰楽は石像のように動かない。
なぜ? 

嫁さんいわく
「さっき飛び込んだときに、あまりに流れが速くてビビっている」

仕方がないので再度漕ぎ出した。
すると、また100m進んだだけで美しい淵が! 
今度の深さは1.8m。
しかも二つの淵が8の字型につながっていて、
身体一つで浮かんでいるだけで30mはびゅーんと流してくれる。
シュノーケリングしながらだと、後方に飛んでいく川石のスピード感がたまらない。

嫁さんは、その遊びが大好物。
そして泰楽は、そんな嫁さんがいつも心配。
なので彼も並行して泳ぐ。
微笑ましい

このままだといつまで経ってもゴールにたどり着けない。
苦渋の決断で先に行こう。

その後も軽快に進む。
ずっと誰にも会わない。
この解放感を味わうためにカヌーを続けているのです。

直角カーブの度に歩く作戦は成功。
嫌な想いをせずに進む。
それでも油断をしていたら直角ではないカーブの岩に当たって嫁と泰楽が沈。

ガハハハと笑っていたら、
次は私が流れの真ん中の岩に当たって沈。

晴天。
程よい水温。
軽快な流れ。
そして全員で大笑い。

そんな感じで進み、淵があれば潜り、流された。
流され疲れたらカヌーでしかたどり着けない河原で休憩。
360度無人。
目の前には関東随一の透明な流れ。
聞こえるのは蝉時雨とせせらぎのみ。

私たちは青空を見上げながらクーラーバッグに入れていた氷水をがぶ飲みし、
泰楽は自分で見つけてきた木の枝をかじり続ける。
時間が止まるひと時。





「もう淵は飽きたな」

と思いはじめたタイミングで、
水深2m以上ありそうな淵が登場。
対岸は高さ10数メートルの岩場。
視界に人工物なし。
秘境感満載。
これは無視できない。
また飛び込む。


水深2.2m。
川底には鮎多数。
何度も泰楽を誘うが無視。
そんなに怖かった??

その後はコース上に
ハリウッド映画のセット? 
ディズニーランドのアトラクション?
と思えるような巨大な岩が立ちはだかる場面も。


全員で
「あっ、あれはなんだ!?」
「あぶないぃ~~」
「バウバウぅ~~」

とディズニーランドごっこをしていたら、
なんてことはない左カーブだった。

最後の淵は日当たりバツグン。
納得の空飛ぶカヌーを味わえた。


全員、8月最後の夏を満喫してゴール。
5.5㎞で3時間40分もかかってしまった。
おそらく遊びに費やした時間は2時間以上。
それでも、あと1時間遊びたかった。

ちなみに出会った釣り人は3人だけ。
皆さん親切で笑顔で挨拶を返してくれた。

ゴール地点では、川遊びを楽しむ人たちで賑わっていた。
理由は、たぶん周辺で駐車場があるのがここだけだから。
その中には3頭のセントバーナードもいた。


飼い主さんは気さくな方で
久しぶりに超大型犬と思い切り触れあえた。
一番大きいのはこの子↓

体重は93kg

最後の最後までベリーナイス。
男鹿川ってこんなに楽しかったっけ?
勝因は
・真夏に行ったこと(冷たくない&アブいない)
・直角カーブを歩いたこと

上記を守って毎年通いたいと思う。
さて、次は本当の秘境を目指して移動だ!

つづく

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