根子岳最高の魅力を発見!
前日天気予報 ヤマテン:晴れ―12℃・9m てんくら:A曇り―10℃・11m 実際:曇り時々晴れ -13℃・12m
1月21日に根子岳(長野県)に登った。
すぐ隣の四阿山(百名山)には、去年と一昨年の二回登っており、
北アルプスの眺望は過去最高を記録している。
だが、我が家には少々距離(11㎞)が長い……。
その様子はこちら↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/91
でも、あの北アルプスどっかーん!は捨てがたい。
ならばお隣の根子岳でもいいのでは?
むしろ北アルプスにより近いのでそっちの方がいいのでは!?
おまけに1月下旬から2月上旬はスノーモンスターも出現するらしいぞ!
ということで狙いを定めていた根子岳。
ヤマレコで調べたところ往復7㎞・5時間で楽しめちゃうらしい。
ところが前日の天気予報を確認すると、
曇り&超低温(-12℃)&強風(11m)とのこと。
ならば別の山にするか?
日帰り守備範囲の那須・新潟・八ヶ岳方面を調べる。
しかし、那須・新潟は豪雪&爆風(20m前後)、
八ヶ岳は積雪少とのこと。
結局、根子岳が一番いい天候のようだった。
超低温(-12℃)&強風(11m)は覚悟の上。
曇りでも北アルプスが拝めれば本望!
8時35分、駐車場に到着。
収容可能台数は7台で最後に入れられた。
後から来たクルマを見ていると、この奥にも駐車スペースがある模様。
9時ジャストにスタート。
最初の1㎞は牧場のなかの車道を歩く。
この時点では超低温&強風は両脇が樹林帯なので体感できず。
しかし、森の切れ目から突然地面に積もった粉雪が吹っ飛んできた。
高圧洗浄機で横っ面に氷の針をぶっ刺されたような衝撃。
この一発ですでに鼻がもげそう。
とっさに温度計を確認するとー13℃。
約1㎞歩いて登山口が見えたところで、
ヤマレコの地図をダウンロードしていたアップルウォッチからバイブレーション。
はて?
画面を見ると
「残りの電池残量が10%を切りました」
92%で出発して25分しか経ってないのに!
あまりの低温でイカレテしまったらしい。
この先を想像し、若干憂鬱になりながら登山口に到着。
トレースが一人分しなかい!
しかもその足跡の深さは20㎝オーバー。
気合を入れつつ、スノーシューを装着。
風は7~8m程度だったが、100m先は真っ白。
とはいえ、曇天は想定内。
それでも高曇りで左へ目をやると北アルプスの峰々が堪能できれば御の字。
と期待していたが、何度首をひねっても、山脈方面は分厚い雲の中……。
ならば浅間山の雄姿は?
と右に首をひねるが、同じく真っ白なスクリーンが広がっているだけ……。
「きっとお昼時にはウハウハ絶景を味わえるさ」
と期待して歩を進める。
四阿山と同様の牧場コースなので傾斜も同じくらいだと思っていたが、
こちらの方が少々キツイ。
さらにたった一つのトレースも、見つけてすぐに牧場へ入ってしまい、強風で消されてしまった。なので、スマホでヤマレコ地図を見ながら右往左往。
予定より先に進まない。
でも、いい意味での想定外も。
10分に1回、20秒くらい、ほんの狭い範囲だが雲がさっとなくなり、群青の空が広がるのだ。
そこでやっと気づく。
「霧氷がスーパーきれい!」
あまりに気温が低いせいか、霧氷の厚さが通常の倍くらいある。
なので通り過ぎる木々の枝のすべてが、完全無欠の真っ白。
まるで純白・巨大サンゴ礁。
刹那の青空とのコントラストが、80年代のバブルテイストコマーシャルのようで、
くらくらしてしまう。
まさにデキすぎ。
でも、風速は徐々に力を増していった。
全速力時は12m程度。
顔面を晒していると火傷のようにヒリヒリ。
バラクラバ&サングラスでしのぐ。
1時間30分、1.8㎞で東屋に到着。
予定の倍の時間。
あまりの遅さに呆然。
とにかく行けるところまで、とスマホが指す矢印に従う。
するとすぐに森の中へ。
先が見えないほど続く白樺の森の入口だ。
そもそも白樺の幹は白。
それでもって霧氷も白。
だからどんな樹木よりも白。
この森の木は、ほとんどすべてが白樺なので、正真正銘の白い森だった。
今までそれほど高い木がなかったが、この森の白樺は10mクラス。
なので囲まれ感が半端ない。
目を凝らして遠くを眺めても白の幹とサンゴ礁のような純白の枝。
しかも、繊細なシルエットなので、定期的に繰り返す青空タイムのときは、
一本一本の枝の輪郭が凛と浮き上がって、すべてが貴婦人のように美しい。
「はじめて気づいた。私、360度の大展望よりも、真っ白な稜線よりも、ここの霧氷が好き!」
嫁は真っ白貴婦人の連打で、ノックアウトされてしまった。
その瞬間↓
霧氷よりも樹氷を期待してしたのだが、今年は積雪量がまだ足りていないのか育っていなかった。
だが、これはこれでいい。
とはいえ、ここまで立派な霧氷を作り出す空気の冷たさはエグい。
保温材に包んだポカリスウェットを飲もうとしたら、凍っていた。
白い森を味わうこと1.1㎞。
次に待っていたのは、純白の壁だった。
つまり、風よけの樹木がない。
でも壁の向きがいいのか、体感風速は3~4m程度だった。
だからといって余裕ではない。
傾斜は中級コースくらいだったが、踏み固められていないのでモフモフなのだ。
スノーシューを持参していなかった人が、ここでUターンしてきた。
でも、スマホを確認すると山頂まであと500m。
意外に近いことを知って、やる気が出る。
踏み抜きを繰り返し、えっちらおっちら登り切ると、
「うわーっ!」
という歓声が。
南方面の雲が晴れて、富士山が顔を出したのだ。
4時間14分、3.4㎞で登頂成功。
やはりコースタイムの倍の時間を費やしてしまった。
それにお目当てのスノーモンスターも、まだ成長中で写真を撮るほどのヤツは1匹もいなかった。
とはいえ、家族全員が五体満足で登れたこと、
そして2000mを超える頂なのに風が弱い(3~4m)ことに対して神に感謝する。
山頂で使い捨てカイロで保温したサンドイッチの時短ランチタイム。
その間の山頂からの眺望は相変わらず。
すぐ近くの浅間山でさえ一瞬しか顔を出してくれない。
なにより一番大好物の北アルプスの面々は、終始分厚い雲の中だった。
リベンジ確定。
そう決心し、下山開始。
広大な山肌を下っていると、先行者の集団から
「きゃ~~っ」
と、街中でキムタクを見つけたような黄色い歓声が
なになになにごと!?
と、ファンの集いが指さす先に目を凝らす。
やっと、お出まししました、北アルプスの尊容。
大地を覆いつくす雲海の上に姿を現した面々。
雲の流れによって、あちらが出たら、こちらが隠れる。
それでも、私でも判別がつく槍ヶ岳もはっきり。
「これよ、これ。待っていました!」
私も黄色い歓声を上げそうになるが、
アラフィフおじさんなのでぐっとこらえてシャッターを押しまくる。
すると、ふと冷めた視線に気づく。
「この熱い時間に誰?」
嫁だった。
「やっぱり霧氷の方がいい」
私の雪山ナンバーワン風景は、
広大&純白な稜線(例:日白山・平標山)。
次に横一列の北アルプス(例:四阿山)。
だが嫁は、広大&長身霧氷がナンバーワンだということに今日気づいたそうだ。
20年以上一緒に暮らし、同じ雪山好きでも好みはそれぞれ。
お互いの価値観は尊重しなければならない。
「すいません、すいません」と下山を再開させた。
帰りの傾斜&圧雪具合は尻セードに最適だった。
長距離コースもあり、かなり楽しめる。
だが調子に乗って尻を強打。
しかも2回。
これでこの日は再起不能に。
現役ボブスレー選手を引退し、泰楽とモフモフ競争をして駆け降りる。
6時間31分、7.52㎞でゴール。
楽しく上り下りしたが、時間は想定を大幅に超えてしまった。
それでも、嫁のナンバーワン冬景色が分かったのは大きな収穫。
来年は快晴&激低温日を狙って再訪したいと思う。
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