高山病さえなければ……。
2022年1月8日 ヤマテン晴れ風速6m てんくらA晴れ風速12m 登山天気晴れ風速12m
実際快晴―8℃風速8m
今回は西天狗岳の先の東天狗岳も登るつもり。
駐車場がある唐沢鉱泉の手前の林道に入ると、いきなりワゴン車が路肩で逆立ちしていた。
おそらくすれ違うために端に寄ったときに雪に埋まった溝に落ちた模様。
かなりビビる。
しかもその後も3台同じような光景を目撃する。
明日はわが身。
やはり冬の北八ヶ岳は侮れない。
8時15分に唐沢鉱泉の駐車場に到着。
満車状態で1㎞くらい手前から路駐の車が並んでいた。
突き当りをUターンしてすぐの路肩に駐車している軽自動車に前進してもらい停める。
ウルトララッキー。
そんなこんなで9時スタート。
標高1868m。
気温ー11℃。
今回は本格的におニューの冬靴と12本爪アイゼンを使用する。
泰楽(ゴールデンドゥードル)の脱げないブーツも前二足は下ろし立て。
スタートから積雪30㎝。
モフモフでワクワク。
第一展望台までは中程度の傾斜を九十九折に登っていく。
シラビソがメインの森で基本的に暗い。
最初の1時間は軽快に登る。
しかし唐沢鉱泉分岐(標高2189m)を過ぎた辺りから息が苦しくなる。
高山病?
そこから第一展望台まで1時間(コースタイム50分)。
さぼっているつもりはないのに大幅にペースダウン。
しかし、展望台に着いた途端に疲れが吹っ飛ぶ。
360度の大展望&八ヶ岳ブルーの空。
目の前に西天狗岳。
その脇に赤岳。
北アルプスも白馬岳から乗鞍岳まで全部丸見え!
しかも快晴&風速5m程度の微風(ここでは)。
3回目のチャレンジにして最高の天気。
その景色が目に入った瞬間に「うわゎっー!」と声が出てしまい、周囲にいた人に「何ごと!?」と振り向かれた。
その一人が中央アルプスの麓に住んでいるベテラン登山者で、見えている山を端から端までぐる~っと教えてくれた。
ここまででも十分登ってきた価値がある。
体力に自信がない人はここでUターンしても後悔はしないだろう。
しかし、それでは登頂の半分しか魅力を味わえないことになる。
つまり頂上まで登れば、この2倍の満足感が味わえるのだ。
そのことを知っているので、ほとんど休憩せずに進む。
すると途端にどどどぉ~んっとスノーモンスターがお出迎え。
八ヶ岳にモンスターが出現するなんて知らなかった。
蔵王まで行かなくても会えた!
なんか得した気分。
12時30分に第二展望台に到着。
歩を進めるごとに巨大化するモンスターとそびえ立つ西天狗岳に目を奪われる。
とはいえ、第二展望台からは木々が邪魔で北アルプスは見えず。
眺望は第一展望台の方がいい。
そこから先は再度明らかにペースダウン。
50m進むごとに息が苦しくなる。
いつもはすぐに私との距離が開き、「待ってぇ~」と泣き言をいう嫁さんが度々振り向き「あんたの実力はそんなもんだったっけ?」という視線を投げかけてくる。
悔しいぃ……。
もう時間がない。
ここで東天狗岳の登頂を諦める。
第二展望台からはいったん下る。
これは精神的にも肉体的にもキツい。
登り返すと森林限界を超える。
眼前に迫るのは、どどどどど~んっとそびえる西天狗岳の山肌。
直径数十㎝以上のゴツい岩に覆われている。
けれども今回は、その岩をフカフカの雪が覆い、どこでも自由に歩ける状態だった。
はじめて12本爪アイゼンでキックステップをやってみる。
急斜面でもつま先がザクザク刺さって、グイグイ登れる。
これは楽。
振り返ると蓼科山と北アルプスがど~ん!
気持ちいいぃー!
そんな感じなので、結構な急斜面だったが楽しく登れた。
そしていよいよ山頂に到着!
13時24分。
スタートから4時間24分。
通常3時間10分なので、ものすごく遅いペース……。
それでも充実感は過去最高クラス。
奥深い八ヶ岳ブルーの下、360度の悶絶級の大パノラマが展開していた。
山頂では第一展望台からは八ヶ岳自体の山体によって見えなかった浅間山も姿を現した。
そしてここでも登山マニアのおじさんたちと遭遇。
北アルプスと戸隠連峰の山々の名前を教わる。
↑左:赤岳。右:阿弥陀岳
↑右端:蓼科山。真ん中手前:霧ケ峰。真ん中:美ヶ原。
その背後にどどどどどと並ぶのが鹿島槍ヶ岳や奥穂高岳など北アルプスオールスターズの面々。
↑左の「どーん」と量塊感があるのが奥穂高岳。右の目を細めると「ちょんっ」と尖って見えるのが槍ヶ岳
↑乗鞍岳
↑御嶽山
気温ー8℃。風速8m。快晴。
周りにいる誰もが「今まで登った八ヶ岳で一番天気がいい」と笑顔全開だった。
ここでランチの予定だったが時間がない。
仕方なく泰楽用のサツマイモを頬張る🐶
14時に下山開始。
期待していた尻セードは10mくらいのが2コースのみ。
おそらく毎年トレースが変わるので今年はダメだった模様。
16時12分ゴール。7時間7分。6.4㎞。
嫁さんは、途中で無意識にひみつのアッコちゃんの「すきすきソング」を替え歌にして「おせぇ~、おせぇ~」と熱唱していた。
マジで悔しいぃ……。
理由は、やはり高山病だと思う。
対策として睡眠&水分を十分に取ることを心に誓った。
帰りの林道では、逆立ちした車ではなく、
体重100kgは優にありそうな威風堂々の雄鹿に出会った。
距離5m。
この日は本当にラッキーだった。