千葉県の中で過去もっとも満足できた山
12/3 晴れのち小雨 気温7℃(8時時点)
前回
「千葉県に山らしい山はない」
と書いた↓
しかし登山コースが整備されているところは結構登っている。
鋸山、伊予ヶ岳、富山、清澄山、鹿野山、三石山、御殿山、烏場山、嶺岡浅間、大塚山などなど。
どこも標高400mにも満たない低山だが、
それなりに傾斜があり「登っている感」は味わえる。
とはいえ、やはり温暖な気候&低山ので、
2000mクラスの「別世界感」は、ほとんどない。
そんな中、もっとも気に入っているのが高宕山だ。
今回は紅葉の時期を狙って登ることにした。
8時10分、石射太郎山登山口に到着。
すでに満車(10台)。
奥に縦列駐車する。
8時20分スタート。
しばらく平凡な杉林の斜面。
当日はサッカー日本代表がスペインを破った翌日です。背番号22は泰楽の誕生日(8月)
12分でコース中にある石射太郎山の展望台に到着。
大体の登山者はここで
「おっ、意外にいいじゃん!」
と感じるものの、さっさと通り過ぎる。
ここはクルマから降りてたった12分で結構な絶景を味わえるのは非常にお買い得。
時間や体力に自信のない人は、
ここでUターンしても十分満足できるだろう。
しかしそれではもったない。
この展望台の左側には高さ3mのほどのゴツい2つの岩が鎮座している。
ここに来たらぜひそいつらを登頂するべきだ。
とは言うものの、登るのはちょっぴり大変。
岩の斜面に苔が付いていてツルツル滑る。
なので四つん這いになってムーンウォークを繰り返す。
そしてほんの少しの出っ張りに指先をかけてよじ登る。
その先は……。
ナイフのように切り立った数十mの絶壁。
見下ろすとつま先から頭のてっぺんまで、
ゾワゾワが突き抜ける
高いところが大好きな嫁は狂喜の雄たけびを上げていたが、
私は怖くて下を見ることができない……。
それでも柵なしでこの恐怖感を味わえる山は千葉県には少ない。
(柵ありでも鋸山と伊予ヶ岳くらい?)
しかも駐車場からわずか12分。
これは価値あり。
(落ちたらもちろん即〇なので注意)
しかし、お楽しみはまだまだ。
実は石射太郎山の山頂は、そのゴツい2つの岩のさらに左側にある。
山頂も見晴らしバツグン。
なぜか大量のみかんがお供えしてあった。
(次の展開に前のめりになって写真なし)
「来てよかったぁ。日本代表万歳!」
と三人で両手を上げた直後に何気なく後ろを見る。
視線の先には「お立ち台⇒」という看板が。
ここに来たのは3回目。
(嫁は初めて)
そんなところあったっけ?
しかし「台」という文字で3週間前に奇岩で有名な妙義山へ行ったばかりの私はピンっと来た。
「⇒」に従い傾斜45度くらいありそうな急な崖を下って行く。
するとありました、「お立ち台」が
この岩の右側と奥は数十mの絶壁。
その恐怖感と解放感はまさに妙義山の大砲岩級↓。
ここに立つには2mくらいの垂直な壁を飛び降りなければならないので泰楽はお留守番。
二人で代わりばんこに登った。
もうこの時点で帰ってもいいくらいの満足感。
だが、まだスタートして1時間も経っていない。
石射太郎山の展望台へ戻って高宕山へ向かう。
基本的に広葉樹の緩斜面の尾根道。
紅葉はとっくに終わっていたが、
落葉によって日差しが指し込んで明るい。
気温9℃。
湿気ゼロ。
ヒルなし。
時々頬をかすめるそよ風が心地いい。
大好物のタイプのコースだ。
さらに所々千葉では珍しい一枚岩の登山道になるので秘境感もある。
滑りやすくて危ないけどね
台風の爪痕も散見。
整備してくれた方々に感謝
途中で「浅間様」の看板に騙されて道迷い。
500m・20分のロス。
後半のハイライトは2つ。
一つは長い長い階段。
なぜこんなところに?
よっこらしょ、よっこらしょと登り切ると寺のお堂が。
高宕観音堂だ。
切り立った巨大な一枚岩に沿って張り付くように建てられている。
その脇を通って山頂へ向かう。
おそらく手彫りのトンネルを抜けていく。
異次元への入口のようでワクワクする。
その先にもう一つのハイライトであるはしご場が登場。
60度くらいの傾斜が数mあるので泰楽は無理かもしれないと思っていた。
その場合は泰楽を残して代わりばんこで登頂するつもり。
半分無理だと思いながら泰楽のお尻を押す。
案の定踏ん張って「無理です。無理です」。
「まぁ、まぁ、そんなこと言わずに」とさらに押す。
同時に嫁が「泰楽ちゃ~ん」と連呼。
「そんじゃやってみますかね」
と後ろ足を蹴り上げた。
すると2秒で嫁の腕の中に到着。
相変わらず彼は自分の筋力を知らなすぎる
そして少々長いロープ場を超えて行く。
この程度は伊予ヶ岳、妙義山を経験した泰楽にとって朝飯前
そしていよいよ山頂。
でも狭くて満員状態。
犬コロの泰楽は蹴飛ばされるかもしれない。
なので嫁と代わりばんこに登頂。
(混んでいたので写真無し)
直下でカップラーメンのランチ。
すぐ近くになかなかのスリルの展望台もあり。
どかーっんと視界が開けて気持ちいい~~っ!
下山は高宕大滝コース。
前回はピストンだったのでこちらは全員初めて。
名前から沢沿いを歩くと想像していたが、さにあらず。
森の中でアップダウンを繰り返す。
しかも往路以上に足元が一枚岩になる場面が多い。
なので往路以上の秘境感。
傾斜がきついので復路でよかった。
こんな大きな岩を人が削って階段にしている!
たまに真っ赤な紅葉や大展望が飛び出すので意外に飽きない。
半分くらい下ったところで高宕大滝の上の林道に出る。
看板によると落差30m!
まさに大滝。
でも下からは見上げることはできない。
なので写真なし。
ネットなどの写真はどうやって撮った?
大滝を擁する渓流は千葉県ではトップクラスの透明度。
もう少し深ければ泳いでもいい(でも夏はヒルだらけだろうけど)
暗くて崩落しそうなトンネルもたびたび出現。
出口がピクチャーウインドーのよう。こりゃまた風情がある
そしてお待ちかねの真っ赤な紅葉もあり。
はるか頭上の岩壁に張り付くような深紅が広がっている風景は見ごたえあった。
道迷い20分込みで5時間17分・7.4㎞。
奇岩・景色・紅葉・手軽。
千葉県ではベストバランスの山行でした。
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