犬連れ登山「バリルートでロープ場と竹林と富士山を楽しむ」富山(千葉県)

コース途中の竹林が美しい! でも山頂からの富士山は!?
2025年2月22日

「千葉県でもっとも富士山が美しく見える山を見つける」シリーズ第3弾。
今回は日本百低山に選定されている富山(349m・南房総市)に登った。
ここは江戸時代の人気小説「南総里見八犬伝」の舞台にもなった場所だ。

実はこの山は3回目。
過去2回の印象は「普通」。
2回とも山頂では空が霞んで富士山がよく見えなかったのだ。

だが、ネット情報などで確認すると、皆さん満足している様子。
富士山も東京湾からいきなりドーンっ!と鎮座している。

ちょうど年末に「南総里見八犬伝」の映画を観てきたばかり。
そんなこともあって興味が湧いて三度目の正直に賭けてみることにした。

ただし、登山コース自体の印象も普通だったので、今回は200mだけバリエーションルートを通るコースを選択した。
こちらはロープ場の連続で、なかなかのスリルを味わえるらしい。
泰楽が無理だったら引き返して、正規ルートで登る計画だ。


このコースを時計回りに進む。左の赤丸の部分がバリエーションルート。


7時25分、伏姫籠穴の駐車場に到着。
5~6台停められるが、この日は一番乗りだった。
クルマの後ろにあるのは、きれいなトイレ


7時43分、登山開始。
気温1℃。快晴。
まずは伏姫籠穴に向かって、緩やかな傾斜の木段を登る。


100mぐらい登ると、ウッドデッキのような30帖くらいの舞台が現れた。
何に使うの?


さらに50m進むと、伏姫籠穴があった。
これは「里見八犬伝」で、伏姫と愛犬八房が隠れて過ごしたといわれる洞窟だ。
小説の舞台が、なぜ現実のあるのかは謎。


覗き込むと本当に八つの霊玉が置いてあって、リアルに再現されていた。


伏姫籠穴の10m先がバリルート(尾根ルート)の登山口だった。
立て看板に「上級者向け」と書いてある。
ちょっとドキドキ


しばらく中程度の傾斜が続く。
荒れ果てていると覚悟していたが、そこそこ整備はされている。
ありがたい。


登山口から100mで稜線に出た。
と思ったら、ここから急登がはじまる。
コースが短い低山の場合は、一気に標高を上げたいのでウェルカムだ!


左側に青い海が見えた。
その向こうに薄っすらと陸地が。
伊豆半島だ!
とんがった天城山もしっかり確認できる。

テンションが上がって急な坂をガシガシ登る。
地面が砂のようにさらさらした土なので、かなり滑りやすい。
下りコースにしなくてよかった~!


100m進むと正規ルートとの合流点に出た。
結局、バリエーションルートに危険個所はなかった。
右に行けば富山。
左は富山西尾根登山口に続いている。
そちらに視線を向けると木立の向こうに海が広がっているではないか。
もしかしたら富士山が見えるかも!?


10m進んで目を凝らす。
すると、う~っすらと白い三角形が浮かんで見えた。
富士山だ!
期待通りコンビニのあんまんをひっくり返したくらいデカいが、ガスっていて全体像が分かりにくい。
だが、てんくらの見晴らし予報は◎
山頂に到着するころにはガスが去っているでしょう。
回れ右をして富山の山頂へ向かう。

ここからは日射しが差し込む明るい稜線。
ぽかぽか陽気なので暑い!
中綿ジャケットを脱ぎたい。
でも今日のザックは小さくて入らない。
どうしよう?

と考えていたら、あることに気づいた。
「富士山から離れて行ってるじゃん!」
だからといって富士山に向かって行ったら下山してしまう。
まぁ、山頂から富士山全体が見えればOKでしょ。


気持ちを切り替えてずんずん進む。
下調べ通り、このコースはロープ場が多い。
でもそのほとんどは、なくても登れる傾斜。


むしろアスレチック感覚で、嫁さんも泰楽も喜んでいる。


だたし、足場が狭いトラバースに設置されているロープもいくつかあった。
このコースの地面は、ずっとさらさらで滑りやすい。
なので、こちらは大変重宝した。


そして、今回で唯一ロープがなければ登りにくいほど急な傾斜が登場。
うんしょ、うんしょと登った先は――?


八犬山だった。
「おぉ、小ピークもあるのか!」と身体をぐるりと回転させて、眺望を確認。
100%藪の中
さっさと先に進む。


するとずぐに竹林に入った。
これがまた青々としていて清々しい空間。
まさに竹林トンネルだ。
360度、鮮やかな緑に囲まれる。
真冬なのに、ここだけ爽やかな春風が吹き抜けていた。

「そうだ京都、行こう」と頭の中でヘビーローテーションして、ゆっくり歩く。
ここが今回のコースでは、山頂を除けば一番の見どころだった。


竹林を抜けたら、こじんまりとした休憩所になっていた。
眺望が横浜方面だけ開けていて、海に浮かぶ高層建築物などを確認できた。


そこから先は千葉の山らしい濃い緑の場所と日射しが足元まで届く明るい場所が交互に現れた。

印象的には、幅を狭くした高宕山の稜線
ただし、高宕山のような倒木は、ほとんどない。
2019年の台風の影響は避けられたようだ。

その間、時々左側に海が登場する。
だが、相変わらず富士山は真後ろで生い茂る木々の向こう。
山頂から眺める景色に胸をパンパンに膨らませながら進む。


スタートして1時間15分、山頂脇の展望広場に到着。
結局、ここまで他の登山者はゼロだった。


大至急、やぐらに登って富士山を確認。


あそこにはっきり見えているのが伊豆大島


その右側が伊豆半島
それにつながる箱根の山々があって、次は富士山があるはず――。


ところがどっこい、そこにあったのはもくもくの雲だけ――。
テレビCMに出てきそうな真っ青な空。
そして、360度視界良好なのに富士山だけ雲隠れなのだ。

カエルが歌い出しそうなぽかぽか陽気の下、目を乾き切るほど見開いて、霊峰のシルエットを探す。
でも100%もくもくオンリー。
まったく見えない。
残念!

私は先々週に鋸山で、過去最高の富士山を目撃している↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/9115

だから今回は、嫁さんにこれだけを見せたくて来たのに!
まさか3戦3敗とは……。

肩をがっくり落としていると、後ろから声を掛けられた。
「今日は17時前には見えるはずですよ。このやぐらは去年(2024年)の12月に建て替えたばかりです。ぜひまた来てください」

登山道の整備をしてくださっている地元の方だった。
午後は知人に会う約束が2件もある。
仕方がない。
お礼を伝えた後、
「あそこにこんな形とサイズで富士山があるんだよ。だからきっと富山の眺望は素晴らしいんだよ」
と嫁さんに説明した。


なお、富士山方面はやぐらに登らなくてもしっかり見えます
以前は登らないと樹木で見えなかった記憶があるから、そこにも手を入れたんだろう。
これは、かなりうれしい!
やぐらの上で場所取りして、ランチを楽しむわけにはいかないから


富士山の反対方向に70~80m歩くと富山(北峰)の山頂だ。
ここから景色は千葉県の山々方面のみ。
記念撮影だけして南峰へ向かう。

山頂周辺の滞在時間は約20分。
その間、6組とすれ違った。
やはり反対側から登る人がほとんどのようだ。


ここから南峰までの登山道は整備が行き届いていて歩きやすい
これなら登山初心者や小型犬連れでも安心だろう。
途中に東屋と仮設トイレがあった。
トイレは仮設タイプだが、紙もしっかりあった。


南峰はお堂があるのみで眺望ゼロ。
行かなくてもよかったかな。


少し戻って、周回コースで下山する。
ここの入口にも立て看板に「危険」の文字が。
でも、ネット情報では登りのコースよりはマシとのこと。


確かにロープ場は少なかった。
だが、その一つひとつが本当にロープが必要なレベル


一ヶ所は、約50度の傾斜が10mくらいあって、初心者にはまったくおすすめできない

また、登りコースよりも緑が濃くて雰囲気が暗い
登りで使わなくてよかったー!


唯一の危険を感じたのは、やはりトラバース。
しかもそこは滑落防止のロープがなかった。
恐る恐る足を踏み入れる。
一歩、二歩――

歩いてみると、足場の幅が50㎝くらいあったので泰楽でも余裕だった。
ただし、ここもさらさらの滑りやすい土質なので注意が必要なのは間違いない。


ラスト1㎞は舗装道路(車両通行禁止)
誰もいないことを確認して、泰楽と棒を投げて遊びながら進む。


わが家の登山は、飼い主ばかりが楽しんでいるような負い目があるので、ここでご機嫌取りをする。

3時間5分(休憩約50分含む)、4.2㎞でゴール。
今回のコースは、ロープ場の連続だった。
だが、そのほとんどが無くても進めるレベル。
なのでわが家としては不安なく、アスレチック感覚を楽しむことができた。

海と竹林が美しい、ロープ場が楽しい、明るい稜線が多い、富士山がどーん!(予想)。
今回のコースによって富山の印象は大いにアップした。

とはいえ、富士山の眺望は海辺にそそり立つ鋸山には敵わないはず。
やはり、「千葉県でもっとも富士山が美しく見える山」鋸山かな。

なお、今回のコースは、初心者または小型犬連れにはおすすめできない。
そのような人は、福満寺から登ってピストンする一般的なコースを選択した方がいいと思う。


ちなみにこの後は、知人宅に直行。
ランドシーア(ニューファンドランド)の女の子(1歳)と思い切り遊んだ。


とにかくデカい!(47kg)
パワフル!

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