初心者と下るならこの川を選ぶ
水位:黒羽1.05m
那珂川は関東の四万十川だ。
くわしくは後述するが、見渡す限り広がる水面にぷかぷか浮いているときの多幸感が似ている。
四万十川。大河を下るときのこの「ぼっち感」がたまらない!
ネックはどちらも濁った水。
でも、あの開放感は、ほかではなかなか味わえないので那珂川には最低年に1回は行ってしまう。
今回は鮎釣り師が少なそうな9月下旬。
4時53分、自宅を出る。
常磐道で行くはずが間違って東北道に入ってしまう。
なのでゴール地点の興野大橋先には8時25分到着。
予定より1時間オーバー!
着岸地点の漁協脇はきれいに草刈りされていた。
ありがたい。
水面を覗くといつもよりきれいな気がする。
透明度は3mくらいありそう!?
チャリを置いてスタート地点の大松橋へ。
途中で興野大橋の上から川の様子をチェック。
すぐ上流に2級近い瀬が見える。
しかも途中でカーブしている。
嫌な予感――。
着替えて9時24分に出発!
気温27度。追い風がそよそよと吹き心地よい。
那珂川の特徴は、ゆったりのんびり。
このキーワードを聞くと四万十川を思い出す。
違いは四万十川は山深い森林に囲まれて流れていくが、那珂川は平野を蛇行している。
とはいえ、瀬が少なく広々とした流れを昼寝をしながら下れそうな雰囲気は同じだ。
なので初心者と一緒に漕ぐときは必ずこの川を選ぶようにしている。
だが、漕ぎ出してびっくり。
意外に流れが速い!
川底の石も河岸の草木もびゅんびゅん後ろに流れていく。
時速7~8km。
ジョギング並みのスピードだ。
それでも那珂川は優しいコース。
なので後ろの船長席を嫁さんと交代する。
そしてスタートして200mで「ゴゴゴっ―!」という轟音が響いてきた。
1級の瀬だ。
しかし、この瀬は右側の河岸だったので、真ん中を漕いでスルー。
幅の広い川は、コースの選択肢が多くてありがたい。
この解放感とスピード感に誘われたようだ。
嫁さんが「暑い! もう私入ります!」と宣言して飛び込んでしまった。
「あうあうあう。お母しゃんが危ない気がする――」
目が点になる泰楽。
クンクンうるさいので「いいよ」と声をかけると同時に飛び込んだ。
ぷかぷか浮きながら離れていく二人。
毎度のことながら独りぼっちのボク――。
しかし、この孤独感は長くは続かなかった。
200m先に2回目の瀬が登場。
大至急、泰楽と嫁さんが乗り込む。
200mくらい続く1級の瀬。
船長は嫁さん。
全員「ひゃっほー!ひゃっほー!」と叫びながら乗り越える。
360度見渡す限り無人。
この日の水の透明度は高いはず。
鮎釣りには向いていると思うのだがなぜだろう。
今度は私が飛び込む。
冷たい!
たぶん水温は18~20℃。
春の九十九里並みだ。
それでも気温が高いので気持ちいい~。
「泰楽おいで!」と叫ぶ。
嫁さんと同じように二人でぷかぷかしよう。
だが彼は船上で私をガン見するのみ。
2回呼んでも、3回呼んでもただ「じ~っ」
なぜだ?
「お父しゃんは助けなくていい」と決めているのか?
うじうじしながら一人でもできるシュノーケリングをすることにした。
若干泥臭い気がするが、本当に透明度は高いのか?
水面に顔を付けた瞬間、小魚がばっと散った。
そしてすぐに濁りの中に消えた――。
透明度は2m弱。
なんだいつもと同じじゃん。
つまらないので乗船。
ちょうど脇に飛び込みができそうな岩があったので休憩場所に。
岩の下に潜ると、水深は2m以上あった。
大至急、泰楽を誘って飛び込む!
彼は狙い通り後に続いた。
でも泳いだ先は嫁さん――。
なぜだ!?
その後も広漠とした水面と1級弱の瀬が交互に続く。
那珂川(中流)ってこんなに瀬が多かったっけ?
コースの半分を過ぎた辺りで4つくらいあった。
しかも一つひとつの瀬が100m以上と長い。
最長は矢沢のやなの前で300mくらい続いた。
でも、瀬というより高さ30㎝の波が連続するお子様向けのアトラクションという感じだった。
さて、びゅんびゅん進んでいよいよ興野大橋手前の瀬が見えてきた。
「ゴゴゴっー!」と音を立てて白い連なりが左にカーブしている。
近づくと予想よりデカいではないか!
高さ60㎝以上ある。
船長交代! 私が後ろの席に座る。
中腰になって視界を確保。
突っ込むぞ!
と気合を入れたら、あれれ~?
今度も川幅が広いゆえに瀬の脇を余裕で通過できた。
こちらの瀬も長い。
200m以上続く龍の背のような白波を横目で眺めつつ興野大橋をくぐる。
そして400mほどでゴール。
1時間49分・8.09kmの川旅でした。
距離の割に短時間。
それだけ流れが速かったのだろう。
速い流れが大好物の嫁さんはご満悦
でも私としては前回透明度抜群の男鹿川を下ったので、ちょっぴり残念。
潜るのに躊躇する水質だった。
なので次回はより水がきれいであろう上流を狙いたい。
次は上流の支流へ移動して川遊びだ!
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