吠える理由は「要求を通したい」か「恐怖を感じているとき」
※この記事はバーニーズマウンテンドッグをどのようにしつけたかを記録したものです。
しつけによって実現したいのは次の5つの目標。
1.リードを引っ張らない
2.無駄吠えをしない
3.勝手に食わない(拾い食いしない)
4.噛まない
5.留守番できる
「しつけにこだわる理由」はこちら↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/4051
前回は「1.リードを引っ張らせない方法」を紹介したので、今回は次の「2.無駄吠えをさせない方法」について書こうと思う。
2.無駄吠えをさせない方法
専門書等を読むと、犬が吠える理由は大体が「要求を通したい」ときか「恐怖を感じている」ときだそうだ。
要求のほとんどは「食べたい」「遊びたい」「さびしい」「苦痛を取り除きたい」。
前太の場合、食事は毎回計測して十分に与えているし、遊びは毎日の散歩や週一の波乗りの間にたっぷり行っている。
なので「食べたい」「遊びたい」で吠える場合は、徹底的に無視をした。
(吠えずに「遊びたい」と目で訴えてきたときは、都合が合えば応じた)
そこで困ったのが仕事中。
当時は脱サラしたばかりで仕事部屋は、前太のサークルがある1階のリビングだった。
しかも、仕事中はサークルから出していたので、頻繁に近づいては私の太ももにパンチを繰り出し、「ワンっ! ワンっ! ワンっ!」と遊びを要求して、耳をつんざくほど吠えた。
それでも休憩時間以外は、見向きもしない姿勢を貫いた。
すると段々と吠えなくなり、2ヶ月ぐらい経つと「そろそろ休憩して一緒に遊びませんか?」と吠えずに目で訴えるようになった。
どの犬も「さびしい」と最初に吠えるのは家に来た初めての夜だろう。
前太のときもブリーダーから「今夜からしばらくは夜鳴きしますから覚悟してください」と言われていた。
すると案の定、ギャン泣き。
「ボクちゃん、さびしいです!」
2階の寝室まで響き渡った。
だから最初の1週間は、かわいそうなので夫婦交代でよちよちをしに行った。
しかし、その後は一切無視。
幸い前太は淡白な性格だったようで、10日目くらいから鳴かなくなった。
問題は「苦痛を取り除きたい」とき。
こればかりはしつけで止めるわけにはいかない。
この吠え方は、ほかと違うので一緒に暮らしていればすぐにわかる。
気づいたら身体に触るなどして原因を特定。
場合によっては動物病院へ直行した。
また、真夏の夜中に「暑いですぅ~」と吠えることが1度だけあった。
前太は夏でも扇風機だけ、つまりクーラーなしで寝ていた。
(現在の愛犬である泰楽(たいが)も同じ)
バーニーズの原産国はスイス。
だからほかの飼い主にこの話をすると、驚愕⇒ドン引きとなるケースがほとんどだ。
だが、これにはワケがある。
そもそもわが家は、住宅性能表示制度の最高等級を上回る断熱性能(2004年当時)があるので、真夏でも比較的ひんやりしている。
それに真夏でもキャンプをする(高原のみ)ので、スイス原産犬であっても暑さに耐性を持ってほしかった。
(海には5月から9月まで連れて行かない)
結果は成功。
老化で寝たきりになるまでクーラーなしで過ごしていた。
そんな前太でも1度だけ暑さで吠えた。
↑実際の画像。「あっ暑いですぅ~!」
そんなこと1度もなかったので、あわてて温度計を確認すると30℃。
しつけは健康維持が前提。
さすがに無理でしょ、とエアコンのスイッチを入れた。
もうひとつの吠える理由の「恐怖を感じているとき」については、「要するに怖がらせなければいい」と考えた。
ところが前太は、かなりの怖がりだった。
特に打ち上げ花火が苦手。
初めて一緒に花火大会へ行ったときのこと。
知人宅の屋上でワクワクしていたら、打ち上げが始まった途端、狂ったように階段を駆け下り、忽然と姿を消してしまった。
花火そっちのけで捜索すること30分。
庭の隅のフェンスの下でガタガタ震えていた。
またある日、冷蔵庫の修理のために70歳くらいのおじいさんが家に入ったときは、恐怖のあまりダイニングテーブルの下でおしっこを漏らした。
たぶん、おじいさんの腰にぶら下がっていた工具が怖かったのだと思う。
とはいえ、そこは大型犬。
基本的には大らかで単純だ。
「お父しゃんと一緒なら怖いものはない!」と信じ込ませることに注力した。
そのプランの格好のターゲットとなったのは、近所のボルゾイ(オス)と秋田犬(オス)。
両者とも365日、24時間営業で血気盛んだった。
ボルゾイは、路上でこちらを見つけると必ず二本足で立ちあがって威嚇した。
その身長推定175㎝。
遠くから見ると白いアバターのようで私も恐怖を覚えた。
秋田犬の場合は、近づくといつも暴れ馬のように後ろ足で「ザクっ! ザクっ!」と連続で地面を蹴る。
「すぐにでも飛びかかってやる!」という気迫がびんびん伝わって毎回冷や冷やしていた。
前太は彼らを見かけると、恐怖を通り越して思考停止。
「何も見えていませんよ」という表情であさっての方向を見て、できるだけ離れて歩こうとした。
彼は怖いものを見ると「それは空気だ」と自分に言い聞かせるタイプだったのだ。
「なぁ~~~んも見えていません!」
だが、ここが父ちゃんの男気見せどころ。
両雄に出会うたびに、あえて先頭に立って近づくようにした。
そしてすれ違う瞬間に犬同士の間の壁となって、相手の飼い主に明るく「こんにちはぁ~!」と声をかけるようにした。
※10数年後に専門書↓を読むと、この「愛犬に背中を向けて間に立つ」という態度は正解だそうだ。
「父ちゃん頼りになる!」と絆が深まる。怖かったけど、やってよかった~。
「これで噛まれても厚着をしているので大ケガはしないはず」「それにそんなことをさせる飼い主なら、心おきなく慰謝料をいただこう」と腹を括ったのだ。
普段リードを引っ張りまくる前太も、このときばかりは私の後ろをコソコソついてきた。
そして、効果はすぐに現れた。
嫁さんによると、そのボルゾイは時々庭に放たれていることがあり、前太は散歩中にその前を通ると、やはりあさっての方向を向き、「ボクは何も見えていません」と道路の反対側を歩こうとしていたそうだ。
ところがある日こと。
そんなことを知らない私を含めた家族全員でボルゾイのお宅に近づくと、図太い鳴き声が聞こえた。
「来れるもんなら来てみやがれ!」という彼の叫びだ。
すると前太は、「あいよぉ~」とボルゾイに近づき、吠える彼の口をフェンス越しにクンクンし始めたのだ。
これを見て一緒に歩いていた嫁はつぶやいた。
「お父さんと一緒なら怖くないんだ……」
この「虎の威を借る狐」的な行動は、前太のもっともわかりやすい特徴だ。
つまり、彼の性格は
ズルい。
とはいえ、この性格を引き出せたことで、しつけが上手くいき始めたのは事実。
その証拠は、おいおい説明します。
まとめると「無駄吠えをさせない方法」は、無視すると恐怖心を取り除くだと思う。
※まれに生まれつきハイテンション過ぎて吠える犬もいるらしい。
この場合は獣医行動診療科認定医↓などの専門家でないと手に負えないケースが多いそうです。
http://vbm.jp/syokai/
※ちなみに前太は、亡くなる1カ月前から認知症によって夜鳴きした。
正確には「夜」ではなく、1日20時間くらい「ウオンっ! ウオンっ!」と超大型犬ならではの重低音で鳴いた。
最初は理由が分からずオロオロしたが、獣医に相談すると認知症ならではの症状とのこと。
仕方ないと思い、とにかくご近所に騒音をお詫びして回った。
そして昼は起きて、夜は寝るように、日中はずっとラジオをかけた。
さらに夜間は安心して寝られるように、嫁さんが添い寝を始めた。
でも、最期まで夜鳴きは止まらなかった。
1カ月間の平均睡眠時間は、嫁さんが2時間、私が4時間くらいだったと思う。
次は「拾い食い」について書きます↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/4120
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