流れも風景も美しく淵が深い
水位:神野0.95m
わが家の夏休みは混雑を避けて9月に取る。
昨年は徳島県の透明極まりない海部川をカヌーで下り、日和佐川で思い切り遊んだ。
だが、心残りもある。
それは海部川が土砂降りだったことだ↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/3251
なので今年も、ほぼ同じスケジュールで楽しむことにした。
(正確には1泊足して3泊4日)
前日の夜に千葉県を出て、8時27分に海部川のゴール地点である神野に到着。
合計10時間27分の道のりだった
神野に折りたたみ自転車を置いて、8時50分にスタート地点の皆ノ瀬に到着。
去年クルマで下りられた河原までの道が若干崩壊。
ジムニークラスでないと進めない。
入口手前のスペースに駐車する。
9時28分、ダウンリバー開始。
日本中豪雨の連続だが、ここの地形は、ほとんど変わっていない様子。
ほっとする。
気温25度。
天気は薄曇り。
だがこれから雲が取れていく予報。
期待に胸が膨らむ。
出発して20mで1級の瀬。
その先に去年は鮎の塊が泳ぎ回る淵があった。
すぐに潜る。
ところが鮎がいない。
「えっ? えっ~!?」
50m流されたが対面したのは1匹のみ。
しかも水温が冷たい。
推定20度。
海パン一丁なら10分も持たない。
とはいえ、水の透明度は相変わらず1級品。
10mは透けて見える。
これで快晴になればプラス5mはイケるかも。
鮎の代わりにモクズガニを眺めながらシュノーケリングを楽しむ。
足元はおニューのワークマンのベアマリンシューズ。
1900円という期待の新人だが残念な結果に。
とにかく岩場で滑る。
清流では無理。
磯遊び専用に決定。
磯遊びで使用した様子↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/7321
この淵の先は200mほどの瀞場。
絶品のクリスタルブルーの川面にメロメロになりつつ下る。
やはり美しい川を下るのは最高のストレス解消法だ。
この瀞場が終わると1級強の瀬が数十メートル続く。
真っすぐなので去年は楽しく下れた。
今年も同じ状況のはずだが、よく見ると左側の岸が金網に覆われていた。
ぶつかると危険かもしれない。
この瀬の突き当りは25mプールのような大きな淵。
「ヒャッホ―!」と瀬をやっつけてからカヌーを降り、全員で川遊び開始。
まず、嫁さんと泰楽が身一つで流される。
この二人は、流れが速ければ速いほど喜ぶ。
今回も3回は往復していた。
私は飛び込みと潜りに集中。
水深は2.6mだった。
水深はこれで測る↓
流される嫁さんと泰楽の後について行ったら視界の端に動く巨大な物体が。
まさかあれでは!?
目を凝らすと予想的中。
鮎の群れだ。
推定100匹以上。
しかもみんな20㎝前後のグッドサイズ。
直径2mくらいの塊になって泰楽たちの足元を右往左往していた。
ここまでビッグな塊は初めて見た。
もうここでずっと遊んでいたい!
しかしながら、スタートして1㎞も進んでいない。
断腸の思いで再びカヌーに乗り込む。
しばらく瀞場を進むと、去年「東山魁夷の森」と名付けたエリアに入る。
清々しい針葉樹に囲まれた静謐な水辺。
同氏の作品「緑響く」↓とイメージが重なるのだ。
https://www.higashiyama-kaii.or.jp/%E7%B7%91%E9%9F%BF%E3%81%8F/
泰楽は前回ここで、生まれて初めて水中に顔を入れて棒切れを拾おうとした。
結果は失敗だったが今年はどうだろう。
水に沈むくらい重い棒切れを泰楽の目の前に落としてみる。
落とすまで「その棒をくれるのですか!」とはしゃぐ泰楽。
ところがそれが水中に沈むと、途端に頭の周りに「?」が並び出す。
どうやら犬の視力は水の反射に弱くて水中の物が見えないらしい。
そこで泰楽は前足をちょんちょんと出して水中の棒を探し始めた。
おっ、意外に賢い?
そして何度か顔を水面に突っ込むと、ついに棒切れを噛んで拾い上げた!
よくやった!
父ちゃん号泣!
うれしすぎてその後3回も披露していただいた。
そしてのんびりタイムに突入。
全員が好きなときに川に入って、飽きたら上がってビールや氷水を飲む。
30分くらい遊んだら再出発。
しばらく桃源郷のような瀞場が続く。
しかし、ほんわかタイムはここまで。
実は海部川は、全然やさしくはない。
ここから先は直角カーブと1級強の瀬の連続だ。
救いは直角カーブの突き当りの岩が尖ってないこと。
なのでそれほど緊張しないが、ほとんどゆっくりできない。
200m必死に漕いで10mの淵がある、という感じを繰り返す。
その淵が、ことごとく美しい
だからこのきびしい状況も楽しめる。
ところがそうも言っていられない事件が発生。
瀬の真ん中に大きな岩があり、10m手前から「あそこ危ないよ! あそこ危ないよー!」と叫びながら必死に漕いでいた。
だが、すすすすすーっと吸い込まれるように衝突。
そのままカヌーが張り付いて全員が沈してしまった
赤丸の岩にカヌーが張り付いた
その際、嫁は最後の粘りでカヌーと岩の間にパドルを入れてしまった。
結果、パドルはポッキリ――。
彼女は以前、御岳(多摩川)でも同じことをしている。
人間の力が流れのパワーに敵うはずがないのに!
そんなことで以降は私ひとりで漕ぐことになった。
スタートしてたった1.5㎞での惨事。
嫁にとっては、かえってラッキー?
おまけに雨も降ってきた。
去年とまったく同じ空の色じゃん!
不幸は幸運に転換させなければ気が済まない。
ちょうどパドルを折ってしまった瀬は「さんげんいわばし」という橋の手前にあった。
その橋の下は今までで一番深そうな淵。
脇には高さ4mの岩壁。
これは楽しめそう
泳ぐ。
潜る。
深い。
岩に登る。
思い切り飛び込む。
気持ちいい~
ベルトコンベアーのように飛び込みと潜りを5回は繰り返した。
水深は4m。
今回の旅の最深記録だ。
これでパドルポッキリと雨は帳消しです!
この川はカニカゴが多い。
クルマで近くまで行ける淵には必ずと言っていいほど仕掛けてある。
この淵にも仕掛けてあって、潜って釣果を確認するとモクズガニとテナガエビが2~3匹ずつ入っていた。
気分を上げて再出発。
立ち直りの早い嫁は「私にも漕がせろ」とパドルを取り上げて瀬に突っ込んで行った。
私は雨雲を眺めながらやけ酒
このようにパドルが折れても雨が降っても笑顔でいられるのは、川が美しく、淵が深いから。
結局、雨は止むことはなかったが清々しい気分でゴール。
同時に雲が切れて青空が見え始めた……。
7.7㎞・4時間ジャストの川旅でした。
クルマ回収のチャリは6.6㎞・22分。
地図上では6.7㎞のコースだが、遊びながらなので7.7㎞も漕いでしまった。
しかも4時間もかけて。
これはわが家のダウンリバーでは最長記録。
それだけ海部川が楽しかったのだ。
天気と同時に釣り人も気になっていたが、結果はたった4人。
全員笑顔を向けてくれた
海部川は、この部分も含めて前回下った男鹿川(栃木県)に似ている。
だが男鹿川のように河岸の岩壁は尖っていないし、それぞれの淵は倍くらい深い。
また、透明度の高いブルーの流れという意味では仁淀川(高知県)にも似ている。
スケールを2分の1にした感じ。
しかし、仁淀川は透明度が高いところとそうでないところの差が激しいが、海部川はずっと綺麗。
トータルバランスは相当高い川だと思います。
来年こそ青天の日に漕ぎたい。
さぁ~、次は日和佐川で鮎突きだ!
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