犬連れ登山「山頂までの2㎞すべてが眺望抜群の稜線歩き」三峰山(長野県)

日本の名山を眺める中心地点
2025年2月1日 てんくら:A 12時の見晴らし◎ -8℃風速4m

稜線歩きが好きだ。
ただし条件がある。
1.白一色に雪化粧している
2.ホイップクリームのように表面が滑らかでふわふわ
3.野球やサッカーができるほど広大


たとえばこんな感じ。

このような南極探検隊気分が味わえる稜線は新潟県に多い。
だが、年が明けてからの土曜日は雪、雪、雪の連続。
なにがなんでも登らせてくれない。

どこ行きゃいいんだ!?
頭を抱えるとき、いつも希望の地となるのが八ヶ岳方面だ。
この地域は八ヶ岳ブルーという言葉があるくらい晴天率が高い。
前回の天狗岳も大当たりだった↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/8924

一方でデメリットも。
雪が少ないのだ。
北アルプスの展望台として知られ、毎年楽しみにしている高ボッチ山(1664m)なんて、1月下旬になってもコースの半分がまっ茶っ茶の模様。

やっぱりどこ行きゃいいんだ!?
このまま延期を繰り返していたら春になってしまう。
まずい、まずい、とヤマップを眺めていたら、高ボッチ山の北東にある山が気になった。

三峰山(1888m)
デッカい稜線がある山だ。
でも、人気度は圧倒的に高ボッチ山の方が上のようだ。
おそらく西側にある鉢伏山(1928m)が邪魔して北アルプスの一部が見えないからだろう。

鉢伏山は、千葉県から日帰りで行くのは厳しい。
でも、三峰山ならギリギリ帰って来られそう。
それに高ボッチ山よりも標高が200m以上高い……。

大至急、てんくらとWindy↓で積雪を調べてみた。
https://www.windy.com/

なんと高ボッチ山どころか、より高い鉢伏山よりも雪が積もっているではないか
デッカくて真っ白な稜線と北アルプスの眺望を、思いっ切り味わいに三峰山へ出発だ!

なお、一般的な登山口は手前で土砂崩れがあったそうで現在通行止め(2025年6月開通予定)。
そのため登山者は、さらに手前のチェーン着脱場に駐車するそうだ。


7時20分、駐車スペースに到着。
ネット情報では、普通車ならば9台停められる。
ところが7台目なのにぎりぎり。
理由は4mぐらい間隔を空けて停めているクルマが2台もあったから。
どうして他人のことを想像できないのだろう?
不思議で仕方がない。
(下山後に撮影)


7時50分に登山開始。
ミズナラやクスノキなどの森の中を進む。
標高1290m。気温-7℃。無風。
ずっとゆるい傾斜。


でも雪がない!
ところどころホルスタインの模様のように5㎝くらい積もっているだけ。
しかもカチンコチンに凍っている。
大至急、チェーンスパイクを履く。
スノーシューはクルマに置いてきたが正解のようだ。


途中でカラマツの森に変化。
落葉して足元まで日差しが入ってくる。
「ここが霧氷で冬化粧したらめちゃくちゃきれいだろうな」
ちょっぴり気分が上がって空を見上げた。
パソコン画面に映し出したような真っ青!
幸運に感謝。

だが毎度おなじみの事件発生。
フリースの上から着けていたアップルウォッチが落ちたのだ。
すかさず温度計を確認。
-10℃。
この腕時計は高性能気温センサーがあるかのように、きっちりこの気温で落ちる。
こうなったら地図確認はスマホでやるしかない。
念のためアップルウォッチは素肌に着けなおし、その上にフリースを被せた。


1.4㎞進んだ地点で水場があった。
暑い日に来たらありがたいだろう。


ここから傾斜が中程度になる。
積雪も一気に増えて20㎝くらい。
でも登山道はしっかり踏み固められているのでチェンスパでも歩きやすい。
樹種も変化してお気に入りのダケカンバの巨木も登場した。
これはますます霧氷時が期待できる!

傾斜を登りきると再び足元が明るくなり、右側の視界が抜けた。
その突き当りに白銀に輝くデッカい山の連なりがドーンっ!

 

L

中央アルプスだ。
全体的にうっすらガスに包まれているが、シルエットははっきりしている。
なかなかいいではないか。


またまた気分がワンランク上がって少し進むと古峠に出た。
コースはここを左折するが、右折すると約300mで和田山南峰の頂上らしい。
そこからは富士山と八ヶ岳を眺められるそうだが、今行ってもうっすらガスの中のはず。
気になるなら帰りに寄ろう。

古峠からは約300mの中程度の傾斜だった。
そして積雪は30㎝に。
でも踏み固められているので問題なし。
途中で右側に浅間山が顔を出してくれた。
おいおい、どんどん大スターが登場するじゃん。

そこを登ったらいきなり急な下りに。
嫁さんがすかさずヒップそりを出す。
今年初のボブスレーだ。
ところが雪がもふもふ過ぎて、ちゃんと滑ることはできなかった。
泰楽もウキウキで彼女について行ってしまった。
二人の背中を見送る私。
一度そりをした跡があるから、後からなら滑れるかもしれない。
でも背中に付けたそりを出すのは面倒。
下りきった嫁さんにそう伝えると、彼女は泰楽に自分のヒップそりをくわえさせた。


そして彼は「任せてください!」と鼻を高くしてこちらへ登ってくるではないか。
さすが半分レトリバー犬、役に立つ!
おかげさまで今年初のボブスレーを10mだけ堪能することができた。

楽しんだ後には苦があるものだ。
その先には、今回最大の登り返しが待っていた。
と言っても400mくらいなので泣きたくなるほどではない。

そして登りきるとご褒美が待っていた。
稜線に出た途端、真正面に真っ白なデッカい山が。
北アルプス南端の乗鞍岳だ。

「うわうわうわぁー」と写真を撮っていたら、10m先を行っている嫁さんが「うっわー!」と絶叫した。
大至急、駆け付けて彼女が指さす方に目を凝らす。


むむむっ!
乗鞍岳の左側にさらに大きい山があるではないか!
御嶽山だ。
これはデカい。
あまりの存在感に言葉が出ない。

さらにその左側には中央アルプスも。
なんじゃこの顔ぶれは……。


アンビリーバブルで頭をふりふりしながら振り返ると、そこにもド迫力の山塊が。
八ヶ岳
だ。
蓼科山なんて目の前の近さ。
富士山もちょこんと顔を出してくれた。

そもそも三峰山も北アルプスの展望台といわれている。
なるほど、この山は日本アルプスを眺める中心地点なのね。
しかも今のところ吐きたくなるような急登はない。
もしかしたら、かなりお得な山かもしれない。


ここで恒例のようかん&天然カキ氷を堪能。
天狗岳レベルの超絶ふわふわ感はなかったが、繊細な雪解け感の後に続く濃厚な甘さで、その後の足取りが間違いなく軽くなった。
泰楽は、毎度おなじみのふかし芋。


家族全員がニコニコで約200m進むと和田山北峰の山頂に到着した。
ここは北側のみ展望が開けている。
やっと三峰山の山頂が確認できた。
枯草が露出している。
やっぱり雪が少ないか……。


だが、その先にはお待ちかねの北アルプスの面々も。
三角形にとんがった常念岳が目立っている!


とはいえ、ゴールまではあと2㎞もある。
はるか遠くの山頂を眺めてちょっとうんざり。


ところがどっこい、ここからが楽しいのなんの。
なんと2㎞すべてが眺望抜群の稜線歩きなのです! 

人工物がほとんど見えないデッカい稜線。
正面には北アルプス。
振り返れば八ヶ岳と富士山。
左側には南アルプスと中央アルプス。
右側には浅間山と四阿山。
なにこれ、日本の眺めたい山全部じゃん。

天気予報では気温-8℃の風速4mだった。
しかし、この超絶景の稜線歩き中は無風、しかも背中がぽかぽかしてきた。
温度計を手に取るとプラスの0.5℃。
袖をめくるとアップルウォッチが復活していた!


見上げると八ヶ岳ブルー並みの碧空
多幸感にぷかぷか浮きながらのんびり進む。


唯一残念なのは稜線が雪に包まれていないことだが、大きな大きな枯草の斜面を眺めると鹿の群れが日向ぼっこをしていた。
この時点でリピートは確定なので、これはこれで良しとしましょう


雪が少ないとはいえ、吹き溜まりには50㎝くらい積もっている場所もある。
なので、ぷかぷか歩いていると頻繁に踏み抜いた。
すると泰楽が駆けて来て「ボクの背中を使って立ち上がってください!」と身を寄せてきた。
正真正銘の良い子だ


振り向けばいつも八ヶ岳。
半径1㎞以上無人。


一歩踏み出す度に、ぐんぐん迫ってくる北アルプスの巨大な壁。
跳ね返されそうな、吸い込まれそうな……。


そんな感じで景色に見とれてばかりいたので、4時間もかけて登頂。
4.7㎞の道のりだった。

L

山頂からは、右側から浅間山、四阿山、美ヶ原、北アルプス(鹿島槍ヶ岳、常念岳など)↑、鉢伏山、御嶽山、中央アルプス、

南アルプス(仙丈ケ岳、北岳、甲斐駒ヶ岳など)↑、八ヶ岳、霧ヶ峰など名山オールスターズを望むことができた。


もちろん富士山も、はっきりくっきり登場。

それでも完璧ではなかったのは、大好物の槍ヶ岳方面が雲に覆われていたのと、そもそも乗鞍岳方面は鉢伏山が邪魔で見えないから。


とはいえ、北アルプスはほとんど見えるといっていいだろう。
こんなに眺めのいい山頂はなかなかない。

じっくり味わいながらランチにしよう、とワクワクしていたら、いきなり北西の風がびゅーっ!
天気予報は正解でした。
むしろ風は予報よりも強いくらい。


なので大きな岩を風よけにして昼食をとった。


帰りは優しい曲線の蓼科山と対面しながら下山。
北アルプスの次は八ヶ岳がぐんぐん迫ってくる。
あぁ~、なんて贅沢。


デッカい稜線とデッカい山。
登山においてこれ以上の組み合わせがあるのでしょうか


しかもこのとき私たちはビリケツだったので半径2km無人
だから泰楽と思い切り遊びながら下ることができた。


泰楽は定番のヒップそり投げを足腰が立たなくなるほど堪能。


嫁さんは、駆け回る泰楽を目を細めて見守りながらこうつぶやいた。
「同じように広くても牧場(高ボッチ)と稜線は違うね。
牧場は平面。
稜線は高低差があって景色に変化がある。
ここは本当に雄大だよ」
(ちなみに晴天時の高ボッチ山には登ったことがないので正確には比較できません)


話を聞きながら正面に目をやると、いつの間にか蓼科山から南アルプスに交代していた。
まったく同感です。
期待の3割増しで良い稜線だ。

結局、7時間19分も費やして9.5㎞でゴール。
片道約4.7㎞中、古峠から先2.7㎞はずっと眺望がいい。
全長2㎞のデッカい稜線。
霧氷も期待できる。
多少アップダウンはあるが9.5㎞でもきつくはない。

だいたいどんな名山でも登っていると「ここは嫌だな」という部分が一つ以上はある。
ほとんどが急登だけど。
だが、三峰山は一つもなかった。
「ここの傾斜はきついな」と思ってもすぐに終わってしまう。
なのでトータルバランスでは、今まででトップクラス。
間違いなくリピート確定となりました。
次回は山頂の積雪30㎝&霧氷のときに登りたい。

 

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