伊勢路ならではの石畳と大迫力の大岩を犬連れで楽しむ
2025年9月18日
2泊3日の三重県遠征。
1日目は度会町の一之瀬川をカヌーで下った↓
https://large-dog.iehikaku.com/archives/10561
せっかく千葉から三重まで来たんだから、川遊びオンリーではもったいない。
三重県観光といえば、「伊勢神宮」「鳥羽水族館」「熊野古道」が頭に浮かぶ。
調べたところ前二者は、犬連れ不可。
(伊勢神宮は無料預かりあり)
熊野古道(伊勢路)は、観光協会に電話すると次のような回答だった。
「犬連れに対して規制はありませんよ。ぜひ遊びに来てください!」
ただし、途中の神社仏閣については、それぞれのルールがあるようだ。
ならば熊野古道を泰楽と歩こうではないか!
目的地は、最短距離で石畳と山頂からの絶景を味わえる天狗倉山だ。
2日目の朝は、河原で起床。
大至急、カップラーメンを食べて天狗倉山の登山口に向かう。
7時50分、登山口である馬越公園に到着。
ここには駐車場(5台分)と立派なトイレがある。
ただし、たどり着くまでのルートは、もしかしたら登山より難関かも。
ラスト300mが、本当に一台がぎりぎり通れる細い車道。
ランクル300クラス(車幅)は、来ない方がいいと思う。
この公園(赤丸↑)は複数ある熊野古道のひとつ伊勢路の一部分。
熊野古道とは、和歌山県にある熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)へと続く参詣道の総称。
世界遺産にも登録されている!
伊勢路は、伊勢神宮から熊野三山を目指す道で、石畳の道と美しい海岸線が特徴。
江戸時代には、お伊勢参りの後、熊野へ向かう人々で賑わっていたそうだ。
今回は、その途中の馬越峠を経由して、絶景が広がる天狗倉山(522m)の頂を目指す。
頂とはいっても、往復で3㎞・2時間30分のお手軽コースだ。
8時7分登山開始。
スタート地点には水場もあった(行者堂)。
ありがたい。
まずは、脇道の馬越峠不動滝へ。
一般的な登山道を進む。
近づくと瀑声と共に人の唸り声のような音が聞こえてくる。
一定の音程・スピードで絶え間ない。
さらに近づくと瀑布が姿を現した。
落差は20mはありそうだ。
その唸り声は滝つぼの近くから響いていた。
そこには一人だけ入れそうなお堂があり、お坊さんがお経をあげていた。
さすが熊野古道。
本物感が半端ない。
全員で頭を下げてその場を後にした。
戻って、登山再開。
しばらくはきれいに整備された幅広の石畳を歩く。
両脇の樹木が少なく明るい。
古道というより、名前どおり公園という雰囲気だ。
途中で「展望台」と書かれた看板が立っていた。
吸い寄せられるように左に寄り道。
100mほど進むと東屋が立っていた。
そこから振り返ると尾鷲市の街並みと海が広がっていた。
なるほど!
でも、先を急いでいたので写真は無し。
石畳に戻る。
しばらく進むと尾鷲ヒノキの森に。
すくっと立ち並ぶ高木。
そこを縫うように登っていく石畳。
これです、これです、私が想像していた熊野古道は!
厳かな気持ちで、粛々と登る。
ヒノキの森だからだろうか。蚊などの虫が少ないのがありがたい。
このコースは、熊野古道のなかでも特に石畳が美しいそうだ。
確かに岩が天に上るようにどこまでも敷き詰められている。
表面が平なのに滑らない。
なぜだ?
それに大きい岩は直径1m以上ある。
このサイズをどうやってここまで運んだ?
次から次へと疑問が浮かんでくる。
途中で立っていた由緒書きによると、いつ敷設されたかは不明。
遅くても17世紀前半までであることは間違いない。
大雨が多い地域性に対応するためだそうだ。
確かにすぐ近くの大台ヶ原は、屋久島と並ぶ降水量日本一エリア。
石畳は風情の問題ではなく、交通路維持のために必須だったのだろう。
「なるほど、なるほど」とうなずいていると、息を切らしている自分に気づいた。
意外に傾斜がきつくないか!?
中程度の傾斜が断続的に続いている。
そのどれもが、10m程度の短距離なので嫌な感じはしないが、楽ではない。
とはいえ、途中で広葉樹林も多くある。
そこをよく見るとツツジも多そう。
なので清々しさも感じられる。
春と秋には、さらに楽しめそうだ。
49分・1.2㎞で馬越峠に到着。
たっぷり寄り道したので実質40分・1㎞といったところだろう。
ここには江戸時代に茶屋があったそうだ。
現在は、多くの人が北側の「道の駅海山」を出発して、ここを経由し、馬越公園へ下りていく。
だが、今回は最短ルートで馬越公園から熊野古道と天狗倉山を味わう。
なのでここからは熊野古道を外れて登山道で天狗倉山へ向かう。
登山道もしっかり整備されていた。
相変わらず虫無し、ヤマビル無し。
気温26.5℃で、暑さにもぎりぎり耐えられる。
しかしながら、傾斜が半端ない。
こちらも20mほどの短距離だが、両手を使わないと登れないほどの急斜面があった。
その手前で、地元のおじいちゃんとすれ違う。
「山頂の手前は北コースと南コースに分かれているけど、北コースから登って南コースで下りた方がいいよ。その方が岩壁の迫力を感じられて、下りるのは楽だから」
ありがたく従うことにする。
数分歩くと、確かに分かれ道の案内板があった。
左の北コースへ。
これがまた迫力満点。
まず、大岩をよじ登らないと進めない。
だからといってヘルメット必須・大型犬不可というレベルではない。
ちょうど相手にとって不足はないコース。
岩よじ登り系が大好物の嫁さんは、「ひゃっほー!ひゃっほー!」と奇声を上げて登っていく。
私は泰楽のお尻を押す――。
そしてラスボスが登場。
山頂にオベリスクのように立ち上がる大岩だ。
高さ7~8mはある。
それがコース側にせり出しているのだ。
嫁さんの興奮は絶頂に。
笑顔爆発で進んで行く。
大岩を見上げると、あまりの高さに後ろに倒れてしまいそう。
ぐっと踏ん張り目を見開く。
岩肌に亀裂が幾重にも走っていた。
ぼうっと眺める。
梵字にしか見えない!
きっとご利益があるはず。
家族全員で手を合わせる。
オベリスクの左側をよじ登ると、いきなりぶわっと光が広がった。
目の前の視界がスコーンと突き抜ける。
光の手前に屏風のような高さ2mほどの岩が連なっている。
木製のハシゴがかけられているのだから登れるのだろう。
嫁さんと泰楽に続いて光へ向かう。
屏風岩を登り切って目を見開く。
「うわ、うわ、うわ~~!」
視線を移すたびに感嘆の声が出続ける。
足元は数十メートルの大絶壁。
その向こうは青く輝く尾鷲湾。
その右側には尾鷲市の街並み。
尾鷲湾は、ちょうど霞がかかって淡いブルーに変化しつつあった。
手前には、まだまだ元気ビンビンの夏色グリーン。
迫力・恐怖・美景。
そこをぐるっと囲むように尾鷲トレイルの山々が連なっている。
180度の大パノラマが広がっていた。
ここまででたった1.8㎞・1時間30分。
寄り道しなければ1.5㎞・1時間20分。
なんてコスパのいい場所なんでしょう。
もうお腹がいっぱいだ。
でも、せっかくだから山頂にも立ちたい。
そちらは鉄製のハシゴを登らなければならない。
なので泰楽はお留守番。
登っていく嫁さんの後ろ姿に向かって「ク~ン、ク~ン(お母しゃんが心配)」とつぶやく。
だが、私が木の枝にリードを固定すると「ガマンします!」とオスワリ。
私も嫁さんの後に続く。
頭上で「広~い!」の声。
ひょこっと岩の上に頭を出すとおっしゃるとおり。
10畳ほどのスペースが広がっていた。
ここなら怖くない!
安心してぐるっと一周。
こちらは360度の大展望。
北側にも開けているので、百名山の大台ヶ原山の姿も確認できた。
ただし、海方面は樹木に遮られて見えない。
絶壁感もないので、インパクトは下の屏風岩(自称)の方があった。
とにかく山頂で2つの絶景。
しかも登山道は途中まで熊野古道。
あらためてこの山のコスパは高い!
下りは、おじいちゃんのおススメに従って南コースへ。
こちらは屏風岩の下を通る迂回コースのようだ。
確かに傾斜は格段に楽。
でも、あの大迫力の梵字岩は拝めない。
(後で調べたら「天狗岩」というそうです)
やはり、北から南へと回るコースで大正解。
おじいちゃんありがとう!
と、嫁さんと話していたら、
途中でそのおじいちゃんと再会。
草刈りをしている。
毎日周辺の山のメンテナンスをしているそうだ。
おまけに穴場の河原キャンプ地も教えてもらった。
重ねて感謝・感激。
なお、周辺で眺望ナンバーワンは、天狗倉山の先にある「おちょぼ岩」だそうです。
なぜか会話の途中で、おじいちゃんに懐き始めた泰楽
そんなこんなで3時間6分・3.4㎞でゴール。
実質2時間30分・3㎞コースだった。
「岩畳の趣」「大絶壁のスリル」「山頂での爽快さ」
これらを同時に堪能できる三重県ならではの希少な短距離コース。
ちょっと急登はあるけど、初心者・犬連れでも登頂可能だ。
場所は尾鷲市。
伊勢神宮から熊野三山へ向かう途中、気軽に立ち寄ってみるのはいかがだろう。
さて、午後からは思い切り秘密の川で遊ぼう!
つづく
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